iTestingチャネルによるHIV検査体制の構築と確立のための研究

文献情報

文献番号
202220018A
報告書区分
総括
研究課題名
iTestingチャネルによるHIV検査体制の構築と確立のための研究
課題番号
22HB1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
今橋 真弓(柳澤 真弓)(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 椎野 禎一郎(国際医療研究センター 臨床研究センター・データサイエンス部)
  • 金子 典代(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院看護学研究科 国際保健看護学)
  • 野口 靖之(愛知医科大学 医学部 産婦人科学教室)
  • 吉田 理加(愛知県立大学 外国語学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
12,829,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2021年3月にHIVスクリーニング検査の結果告知方法について変更の通知が出され、スクリーニング検査の結果告知の外部委託が可能となった。コロナ禍における保健所業務の急増のため、保健所でのHIV検査が減少した。以上より、今後公衆衛生学的な緊急事態が発生してもHIV検査提供が維持でき、アクセスしやすい多様なHIV検査体制の構築と評価が求められている。本研究は現行のHIV検査体制に加えて様々な異なる形態のHIV検査を実践し、より受検者にとっても医療従事者にとっても受検/施行可能な検査の導入を進めるための基礎資料(マニュアル)を作成することを目的とする。
研究方法
1)疫学グループ:「国内伝播クラスタ(dTC)の検索プログラム(SPHNCS)」は、地域でのアウトブレイクが示唆されるdTCや、報告感染者以外の感染例がないと説明のつかないネットワーク構造を持つ東海地方のdTCの動向モニタリングを行った。
2)アウトリーチグループ:検査の広報(多言語対応)、検査を評価するためのアンケートの作成(多言語対応)・解析、多言語対応したiTesting ウェブサイトの作成を行った。
3)検査・診療グループ:新たにiTesting方式でHIV検査を行う性感染症診療を行っている診療所/クリニック・健診機関を開拓した。また行政と連携し、定期的および常設の検査を展開した。
(倫理面への配慮)
検査は予約からすべて匿名検査で行っている。またアンケート調査も匿名検査で行い、名古屋市立大学の倫理審査を受審の上実施した。
結果と考察
<東海地方のdTCの動向>分担研究者:椎野禎一郎
pol領域の配列情報から判定できた2021年の東海地方由来の新規感染者は、サブタイプBのdTC所属例が54、孤立例(singletons)が13、CRF01_AEのdTC所属例が4、孤立例(singletons)が7だった。過去2年、singletonsの報告は少なくともサブタイプBでは継続して増えており、パンデミック化で東海地方の流行や検査動機に質的な変化が起きている可能性が示唆された。
<検査の実施>分担研究者:金子典代 研究代表者:今橋真弓
iTesting@Nagoyaは名古屋市と協力し、本年度は計3回行い、合計802人の受検があった。3回合計の各検査陽性率はHIVは1.00%、TP抗体は15.6%、HBs抗原は0.37%、HCV抗体は0.25%であった。陽性未確認率は各回とも0%であった。
iTesting@Aichi&NMCは愛知県と協力し、令和4年度4月~3月で685件の検査を行った。各検査陽性率はHIVは0.6%、TP抗体は6.1%であった。陽性未確認率は0%であった。
<受検者アンケートの実施>分担研究者:金子典代 研究代表者:今橋真弓
第1回のiTesting@Nagoya検査会では、76.8%、第2回では、66.7%の受検者が回答した。複数チャンネルの広報を実施した第2回の方が名古屋市居住者割合、女性割合、ヘテロセクシュアル割合、検査経験が初である割合が増加した。
<検査ホームページの多言語化>分担研究者:金子典代・吉田理加
12/4実施のiTesting@Nagoyaの検査オリエンテーションホームページおよび予約サイトの多言語化を行った。日本語以外に英語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語のページを作成した。検査会社と協同し、できるだけGoogle翻訳を受検者が行った際に正しい各言語に変換できるよう、日本語の言い回しに工夫を施した。
<診療所・クリニックへのアウトリーチ>分担研究者:野口靖之
地域におけるiTestingp@Clinicサービスの普及促進の運用協力に関して産婦人科のプライベートクリニックに問題点の聞き取り調査を行ったところ、運用に協力するニーズがないのではないか?、また性風俗のスクリーニングは、結果が匿名なのでiTestingの役割をはたさないのではとの指摘があった。これについて、協力依頼が想定されるクリニックへiTesting@clinic の運用に関する事前アンケートが必要と考えた。
結論
2021年に東海地方の医療機関に来院した新規HIV感染者はサブタイプB-dTCに所属しない孤発例が増加し、CRF01_AE-dTC例は減少していた。iTesting@Nagoyaでは802人、iTesting@Aichi&NMCでは685人に検査機会を提供した。Testing@Nagoyaでは全検査会で受検者アンケートを実施し、来場者の特性把握が可能となった。アウトリーチにおいては、iTestingのホームページの多言語化を完成させることができ、今後は多言語コミュニティへの啓発活動に注力することになる。最後にiTesting@clinicの現場運営に関する問題点を具体化して依頼施設の選定につなげる予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202220018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,454,000円
(2)補助金確定額
14,454,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,505,062円
人件費・謝金 1,561,333円
旅費 1,248,862円
その他 2,803,743円
間接経費 3,335,000円
合計 14,454,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-04-19
更新日
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