動作解析装置を用いた歩行障害・ADL障害の解明に関する研究

文献情報

文献番号
200921029A
報告書区分
総括
研究課題名
動作解析装置を用いた歩行障害・ADL障害の解明に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-長寿・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松本 秀男(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 名倉 武雄(慶應義塾大学 医学部)
  • 赤居 正美(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 中澤 公孝(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 大森 豪( 新潟大学 超越研究機構)
  • 菅野 伸彦(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 津村 弘(大分大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
変形性関節症は高齢者が要支援となる疾患の第1位を占め、高齢化社会を迎える日本の医療においてその適切な診断・治療に対するニーズは大きい。本研究では変形性膝関節症を対象に、動作計測を行い日常生活動作における力学的負荷と臨床症状の関連を検証し、疾患の病態を反映する新しい評価指標を提唱することを目的とした。
研究方法
3次元動作解析装置を用いてこれまでの2年間で統一のプロトコールにより計測行った309例について分析を行う。具体的には、動作解析データの各パラメータと身体的特徴・臨床症状・X線による重症度の関連を検証する。また、外来において簡易に使用可能な計測システムを考案するため、デジタルビデオと3次元動作解析装置によるデータの比較を行い、デジタルビデオによる計測の妥当性を検証する。
結果と考察
下肢の内反変形および膝内反モーメントは、膝内反動揺性(膝内反スラスト量)と有意な相関を認めた。膝内反モーメントについては、欧米を中心に多くのエビデンスが出されており変形性膝関節症の病態・重症度・治療効果判定に有用なパラメータであることが知られている。一方膝内反動揺性(内反スラスト)については、表面マーカーより計測が可能であるため、より簡易な計測システムを確立できると考えられた。膝内反モーメントと膝内反スラストの相関は高く、新たな臨床評価指標として、膝内反スラスト量が提案される。特に、進行期、末期の関節症では膝内反スラスト量の増加は明らかであった。一方、変形性膝関節症の発症前、または軽症例のデータを蓄積することで、疾患進行の予測が可能であるかを検討する必要がある。
結論
変形性膝関節症の歩行時内側スラストと膝内反モーメントはX線重症度および臨床症状と相関が高く、わが国の患者においても変形性膝関節症の病態を最も反映する臨床的指標となると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-