膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究

文献情報

文献番号
200921027A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究
課題番号
H20-長寿・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター関節疾患総合研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学 医学部 整形外科)
  • 阿久根 徹(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター臨床運動器医学講座)
  • 藤原 佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 清水 容子(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防)
  • 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防)
  • 大森 豪(新潟大学 超越研究機構)
  • 須藤 啓広(三重大学 医学部 整形外科)
  • 西脇 祐司(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学 医学部 整形外科)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
70,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護予防対策の推進により健康寿命を延伸し、膝痛・腰痛・骨折などの運動器障害による要介護高齢者を低減させるために、本研究では、運動器障害とその原因疾患である変形性膝関節症(KOA)、変形性腰椎症(LS)、骨粗鬆症(OP)による骨折の発生率、有病率の推移、予後などの疫学指標を確立し、危険因子を同定すること、日常生活活動度、生活の質や要介護度との関係を検証すること、要介護移行予測者早期発見ツールを開発し、介護予防策を提案すること、介護予防策を地域保健の現場に還元することにより、国民全体の介護予防力の向上に寄与することを目的としている。
研究方法
わが国において骨関節疾患予防を目的として行われてきた代表的な9つの地域コホート研究のうち、東京1、和歌山、広島、三重、新潟、東京2、秋田、群馬の8地域コホートの情報を統合し、大規模統合コホートを設立し、残る愛知コホートは大規模コホートの結果の検証を行うこととした。初年度から開始してきた8つのコホートの統合作業を継続し、最終的に約12,019人が参加する世界最大規模の大規模統合コホートの構築に成功した。また検証コホートとして愛知コホート(2,500人)を設定した。
結果と考察
統合コホートにおいて、膝痛、腰痛の有病率を推定した(膝痛:男性27.9%、女性35.1%、腰痛:男性34.2%、女性39.4%)。過去1年間の骨折の発生は男性2.4%、女性11.2%に、過去1年間の転倒は男性11.8%、女性18.6%に認められた。分担研究者が担当する各地域コホートからは、KOA、LS、OPそれぞれの頻度、およびそれらの合併の頻度、開眼片足立ち時間とKOA、LS、OPとの関連、骨折の危険因子としての筋力・筋肉量の検討、女性後期高齢者における血中ビタミンD濃度と転倒発生の関連、高齢者の要介護リスクの検討、KOAの危険因子および大腿四頭筋力の関連、高齢者におけるKOAの発症と進行の危険因子、高齢者の膝痛、腰痛、受信状況の実態、地域住民の腰椎変性側弯進行の予後予測、加齢に伴う骨関節疾患の実態と要因など、高齢者要介護予防に重要な結果が得られた。
結論
わが国の骨関節疾患予防を目的とした住民コホートを統合し、12,019人が参加する大規模統合コホートを構築した。このコホートにおいて、膝痛、腰痛の有病率、骨折、転倒の発生率を明らかにした。各地域コホートからも要介護予防のための重要なエビデンスを得た。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
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