摂食・嚥下障害の機能改善のための補助具に関する総合的な研究

文献情報

文献番号
200921025A
報告書区分
総括
研究課題名
摂食・嚥下障害の機能改善のための補助具に関する総合的な研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-長寿・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
植田 耕一郎(日本大学歯学部 摂食機能療法学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 向井 美惠(昭和大学 歯学部 口腔衛生学講座)
  • 森田 学(岡山大学 医歯薬学総合研究科 予防歯科学)
  • 菊谷 武(日本歯科大学総合診療科 口腔介護リハビリテーションセンター 高齢者歯科学)
  • 相田 潤(東北大学 大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野)
  • 戸原 玄(日本大学 歯学部 摂食機能療法学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、摂食・嚥下障害の機能改善を目的とした義歯型の補助具(以下、補助具と略す)が、舌・頬・口唇・軟口蓋等の感覚や運動障害の補助及び改善、安定した咬合位の確保等のために使用されている。しかし、補助具使用の使用状況、適応症、有効性、効果的な使用方法、作成法などは体系立てられておらず、補助具に精通した一部の術者個々の裁量に委ねられているのが現状である。
平成20年度では、本補助具(舌接触補助床、軟口蓋挙上装置、Swalloaid、ホッツ床、スピーチエイド)の「普及性」について調査研究を行い、補助具の必要のある患者の多くに適用されていないことが推計された。
平成21年度は、前年度の結果を踏まえて、補助具の中でも舌接触補助床(通称 口蓋床、PAP; Palatal Augmentation Plate )について、その「有効性」を検討した。
研究方法
1.本研究の協力施設39か所において、摂食・嚥下障害患者を対象に、調査票を作成し、補助具適応患者の把握と評価を行う。
2.従来の摂食機能訓練にあわせて補助具を装着した場合(介入群)、摂食機能訓練のみを行った場合(コントロール群)の効果を、初回評価および2週間後の評価において比較した。
結果と考察
1.補助具使用の対象者の把握と評価について
年齢、性別、病態、原疾患、原疾患発症後の装置使用までの期間および摂食機能障害の時期別を適応の類型化あるいは種別化の因子として検討した。これらの中で、舌挙上状態 軟口蓋挙上状態 構音障害 の3つの病態としての因子の割合は他の因子よりも高く、補助具適応者の把握に有効であることが示唆された。原疾患や原疾患発症から装置使用までの期間等は、ばらつきが多く、適応症として類型化、種別化することは困難であると思われた。
2.補助具による介入群とコントロール群の比較検証
従来の機能訓練に加えて、補助具を使用することで、より短期間に確実な効果が得られることが証明された。VFの結果では、「口腔内残留の減少、喉頭蓋谷あるいは梨状窩の残留の減少(咽頭部貯留の改善)、誤嚥の消失」が確認されたことから、2週間という短期間で、補助具による摂食・嚥下障害の改善を行うことができることが示された。
結論
1.補助具の適応は、原疾患や原疾患の発症からの期間でなどではなく、病態(舌挙上状態 軟口蓋挙上状態 構音障害)が、対象者の把握に有効であった。
2.補助具装着後、短期間で摂食・嚥下障害改善の結果を得ることができ、少なくとも補助具使用は、機能の代償的装置として臨床上必要な方法であることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2010-04-27
更新日
-