感染症指定医療機関の体制構築のための政策研究

文献情報

文献番号
202219032A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症指定医療機関の体制構築のための政策研究
課題番号
22HA2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
大曲 貴夫(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
研究分担者(所属機関)
  • 氏家 無限(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
  • 猪口 雄二(公益社団法人 日本医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
28,704,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルスのパンデミックを経て、国内の感染症指定医療機関が感染症病床症 で該当感染症患者を受け入れることに加え、危機対応として事業継続計画を準備しておくことの重要性が認識された。今後の新興再興感染症に備えて、感染症指定医療機関の平時の対応(施設基準や人的資源)が重要となる。本研究では、これらの知見や成果を活用し、各感染症指定医療機関の事前準備及び事業継続計画策定のガイダンスを策定することを目的とする。
また、公衆衛生上重大な感染症の対策に関して、感染症指定医療機関の役割は大きい。医療関係者の安全に配慮しながら、患者に同等の医療を提供できるよう準備を進める必要がある。感染症指定医療機関における危機対応計画を整備するとともに、感染症指定医療機関の医療従事者に対する研修プログラムを提供することで臨床的対応能力を向上させ、わが国の感染症対策に資することも目的とする。
新型コロナウイルス感染症に対し、感染症指定医療機関以外の医療機関の臨床的対応能力の向上に資するため、「新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワーク」(以下、「コロナ人材NW」) が策定した標準研修プログラム(本プログラムに基づいて実施される研修を含む)の開発と内容の検証を目的とする。
研究方法
① 新型コロナの経験を踏まえた病院のパンデミック時の事前準備及び業務継続計画ガイダンスを作成する。研究代表者は研究分担者・協力者等で、感染症指定医療機関の特性に応じた業務継続ガイドライン更新に関する内容等を検討する研究班会議を開催する(開催頻度は年3回程度、委員数は各5~10名程度を予定)。以下の項目について案を作成し、研究班会議の検討を踏まえて決定する。
② 新型コロナの経験を踏まえて各感染症指定医療機関が感染症の研修を実施するためのプログラムを作成する。
③ 全国医学部長病院長会議(以下、“AJMC”)に依頼し、AJMC会員大学病院による研修に参加する受講者に対してアンケートを実施し、その回答結果及び各大学病院からの報告書を基に、標準研修プログラムが中等症以上のコロナ患者を受け入れる医療機関の拡大に有効であるかを検証し、また同プログラムの長短所や課題を把握して改善点を探る。
結果と考察
本研究では、感染症指定医療機関に向けて、感染症に対する事業継続計画(以下、感染症BCP)のガイダンス及び感染症BCPの雛形を作成した。また、感染症BCPのガイダンスの理解を助けるために感染症BCPのガイダンスの解説をした動画及び、ウェブサイトを作成した。これらの資料はウェブサイトに公開されている。また感染症指定医療機関の医療従事者に対する研修プログラムを提供することで臨床的対応能力を向上させ、我が国の感染症対策の向上に資することを目的とし、2022年度感染症指定医療機関における感染症の研修実施のための模擬セミナー(一類感染症セミナー)の講演動画および当日のスライドを公開資料とした。また、国立国際医療研究センター国際感染症センターにて、年に3回行っている感染症訓練の資料を一般化し、HPにて公開した。また新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)に対し、感染症指定医療機関以外の医療機関の臨床的対応能力の向上に資するため、日本医師会や病院団体による「新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワーク」が策定した標準研修プログラム(それに基づく研修を含む)について、受講者に対するアンケート結果及び各大学病院からの報告書を基に中等症以上のコロナ患者を受け入れる医療機関の拡大に有効かを検証した。
結論
今後、継続的なガイダンスの更新と、感染症BCPの策定にあたり感染症指定医療機関への更なる支援が必要と考えられる。また臨床的対応能力の確実な向上のためには、情報更新を含め、継続した教育プログラム等が必要であると考えられ、本研究後にも継続した支援が必要と考えられる。感染症指定医療機関以外の医療機関の臨床的対応能力の向上のためには、コロナの感染状況や変異株の動向等の本研修への影響を勘案しつつ、プログラム及び研修の充実について検討を進めていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2024-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202219032C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究を通じて、これまでコロナ患者に対する入院対応を行ってこなかった医療機関に対し開発された標準研修プログラムは有効性が高いことが分かった。今後は、コロナの感染状況や変異株の動向、政府の方針、改正感染症法や第8次医療計画等の本研修事業への影響を勘案しつつ、標準研修プログラム及びそれに基づく研修の充実について検討を進めていく必要がある。
臨床的観点からの成果
本研究を通じて、感染症指定医療機関の医療従事者に研修プログラムを提供することが可能となった。
本研究を通じて、感染症指定医療機関の感染症BCPを策定するための資材を提供することが可能となった。一方で、ガイダンス公開後の意見やその他の知見を集積し、定期的な改版及び更なる資材の提供が必要と考えられる。また、感染症指定医療機関が感染症BCPを作成するにあたり継続的な支援が必要と考えた。
ガイドライン等の開発
感染症BCPを策定するためのガイダンス(感染症指定医療機関のための感染症流行時における業務継続計画策定ガイダンス)、及び感染症BCPの雛形を作成した。
その他行政的観点からの成果
現時点ではなし。
その他のインパクト
現時点ではなし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-05-24
更新日
2024-06-07

収支報告書

文献番号
202219032Z