入院医療と在宅ケアのあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200921018A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療と在宅ケアのあり方に関する調査研究
課題番号
H19-長寿・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加知 輝彦(国立長寿医療センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療センター 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.在宅医療を円滑に行うためには、多職種間の連携が必要である。本研究では在宅医療を行うための人材のうち訪問介護員(ホームヘルパー)に対し行うべき研修の方法を検討する。
2.平成21年4月、国立長寿医療センターに開棟した「在宅医療支援病棟」の入院患者の実態を分析し、今後の病棟運営、在宅医療支援に活用する。
研究方法
1.介護施設等に勤務する訪問介護員2級取得者48名を対象に、主として在宅医療に関わる医療、看護的側面についての講習会を2グループ、2回に分けて開催し、受講者の意見を基に希望者を募り、フォローアップ研修として現場に即応した研修会も行った。それらの研修会で得られた受講者の意見を集約し、今後の研修の在り方を考察した。
2.今回は当該病棟に平成21年4月から10月までの7か月間に入院した患者153名を対象に、その属性、疾患名、転帰等について調査した。
結果と考察
1.1回の研修会は5日間にわたり、医療・介護制度、連携支援機器、看護・介護処置、緊急時対応等につき延べ約12時間行った。受講者48名のうち19名に対し、実際の事例を中心にフォローアップ研修を行った。フォローアップ研修では現場に即したロールプレイ等も入れた。受講者の意見としては多職種協働の意義が理解できたことや、共通のことばでのコミュニケーションが図られた等、基本的に好評であったが、実際の現場での研修も重要ではないかとの指摘もあった。
2.在宅医療支援病棟入院患者の平均年齢は77歳、男女比は92:61、平均在院日数は18.7日であった。病態は悪性腫瘍が38.6%で最も多く、神経難病、呼吸器疾患、脳血管障害、認知症が続いた。入院目的は治療が約半数で、看護・介護指導、在宅医療継続のための調整などがあった。転帰で最も多かったのは自宅への退院で75.8%あったが、入院中に死亡した患者も17.6%あった。今後はこれらのデータを基に、事例を増やすとともに在宅医療継続のためのモデル作りをする予定である。
結論
1.研修終了後、多職種協働の意義がより深く理解され、また、医学用語を含む共通う言語でのコミュニケーションが可能となり、介護職種の仕事に対するモチベーション向上に有用であった。
今後、研修をより普及させ、介護職員の質の向上を図るためには、研修を行う側の質量の向上も求められる。
2.在宅医療支援病棟入院患者の経過を俯瞰したが、今後は日常診療の中でデータを集め、地域連携のもとに在宅医療のモデル作りに関与する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200921018B
報告書区分
総合
研究課題名
入院医療と在宅ケアのあり方に関する調査研究
課題番号
H19-長寿・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加知 輝彦(国立長寿医療センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療センター 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国は今後、加速度的に超高齢社会に突入することが確実視されている。
一方、病院では病床数が減少して急性疾患あるいは急性期の病態への対応が中心になり、障害を抱えて長期にわたり療法が必要な高齢患者は在宅での診療が中心になってくる。従って、現在の医療体制の変革に早急に着手しなければならない。そのためには終末期も含む在宅医療の量・質の拡充が喫緊の課題である。
本研究は、現在の入院医療と在宅医療の現状を調査し、問題点を探り出すとともに在宅医療を推進するための教育・研修の方法を考え、今後のあるべき在宅医療の構築に資することを目的とする。
研究方法
1.全国の全在宅療養支援診療所10,761か所に大使郵送でアンケート形式で運営実態の調査を行い、在宅療養支援診療所の現状を俯瞰した。
2.介護職員に対する在宅医療に係る研修を行い、今後の研修のあり方を検討した。
3.平成21年4月に開棟した国立長寿医療センター在宅医療支援病棟の入院患者153名の実態を調査し、在宅医療に果たす病院、診療所の役割を考察する端緒とした。
結果と考察
在宅療養支援診療所の多くは常勤医が1名の無床診療所であり、1か月に10名前後の訪問診療と1~4件の緊急往診に応じていた。時間外の往診も概ね1か月に1~4件行っている診療所が多かった。在宅での看取り数は1か月に1~4名が多く、10名未満を合わせると過半数になったが、診療所間の差も大きかった。
介護職員に対しする研修では医療、看護の知識、技術に関し、多職種協働の意義が理解でたが、実際の現場での研修も必要と考えられた。
国立長寿医療センター在宅医療支援病棟入院患者の平均年齢は77歳で男女比は92:61で男性が多く、平均在院日数は18.7日であった。患者の病態は38.6%が悪性腫瘍で最も多く、神経系難病、悪性腫瘍以外の呼吸器疾患、脳血管障害、認知症が続いた。退院先としては自分の家が最も多かった。
結論
現時点における在宅医療は、まだ個々の努力に支えられている側面が強く、今後、在宅医療推進会議や在宅療養支援診療所連絡会等の活動を中心に、お互いの連携を強め、より組織的に行う必要があると考えられた。
訪問介護員2級の資格を有する介護者に対する研修では一定の効果がみられたが、今後、こういった研修をより普及させ、介護職員の質の向上を図るためには、研修を行う側の質量の向上も求められる。
平成21年には同年4月に開設された国立長寿医療センター在宅医療支援病棟入院患者の経過を俯瞰したが、今後は日常診療の中でデータを集め、地域連携のもとに在宅医療のモデル作りを行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200921018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国の在宅療養支援診療所の実態を調査することにより、診療所における在宅医療の現状を俯瞰し、在宅療養支援診療所の多くは常勤医が1名の無床診療所であり、1か月に10名前後の訪問診療と1~4件の緊急往診に応じ、在宅での看取り数は1か月に1~4名が多いことがわかったが、診療所間の差が大きいことも明らかになった。
臨床的観点からの成果
在宅医療に関わる介護職員に対する教育・研修では、医学・看護学等の知識も必要であるが、実際の場に即した具体的な研修も重要であることが受講者から指摘され、今後の研修に活かす予定である。
在宅医療に関わる病院の役割としては合併症や急性期疾患の治療以外に在宅医療に携わる家族への看護・介護指導や社会資源の導入などの調整も重要であることが示された。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
9件
雑誌6件、書籍3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-