複数の訪問看護ステーションによる地域単位の24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究

文献情報

文献番号
200921015A
報告書区分
総括
研究課題名
複数の訪問看護ステーションによる地域単位の24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究
課題番号
H19-長寿・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
村嶋 幸代(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野))
研究分担者(所属機関)
  • 永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 田口 敦子(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 有本 梓(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 山田 雅子(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター)
  • 田上 豊((株)三菱総合研究所ヒューマン・ケア事業開発部)
  • 福田 敬(東京大学 大学院医学系研究科(臨床疫学・経済学分野) )
  • 草野 とし子(滋賀県健康福祉部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度は3年間の成果をまとめると共に、主に1)訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムの地域単位での構築方法の探索、2)訪問看護・介護の効果的・効率的な連携方法の明確化、3)今後の夜間・早朝の訪問看護体制の普及に向けた課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
平成20年度より実施しているB県の4地域(二次医療圏)で、訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムを地域単位で構築するモデル事業の成果と課題を整理した。また、訪問看護・介護の効率的な提供方法について検討するため、訪問看護の利用者のうち、医療依存度や介護度の高い者等に介護職との同行訪問をモデル的に実施し、その評価のためにタイムスタディ調査および面接調査を行った。
さらに、夜間・早朝の訪問看護体制の実態を把握するため、全国の訪問看護ステーション(以下、ステーション)を対象に夜間・早朝の訪問看護体制について調査を実施し、平成15年の調査との比較を行った。また、地域単位でステーションの適切な資源配置を検討するための指標が必要であると考え、その開発を目指してData Envelopment Analysis(DEA)を用いた訪問看護ステーションの効率性測定を行った。
結果と考察
訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムを地域単位で効率的に構築する際には、地域の持つ資源の強みや人材ネットワークの熟成度など、地域特性が大きく影響すると考えられた。このため、構築方法を標準化するためには地域特性に応じた体制のあり方を検討する必要がある。また、訪問看護・介護の同行訪問は効率的であり、看護の質を向上させることが示唆された。
全国調査の結果、計画的訪問を実施していると回答したステーションは、時間帯別に、準夜帯69箇所(5.8%)、深夜帯41箇所(3.5%)、早朝帯55箇所(4.6%)であった。平成15年に実施した同様の調査と割合を比較すると、特に深夜帯において増加が見られた。さらに、B地域の全ステーションを対象に、Data Envelopment Analysis(DEA)を用いて訪問看護ステーションの効率性測定を行った。その結果、この手法によってステーションの業務をより客観的、科学的に記述できることが明らかになった。今後は、地域の資源配置を考える指標開発に向けて検討を続ける。
結論
地域単位のシステム構築の方法論の明確化、訪問看護と介護の同行訪問の効果検証、Data Envelopment Analysis(DEA)の活用可能性の検証ができたことは、次のステップである地域特性に応じたケアシステム構築方法の明確化に向けた足がかりとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200921015B
報告書区分
総合
研究課題名
複数の訪問看護ステーションによる地域単位の24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究
課題番号
H19-長寿・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
村嶋 幸代(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野))
研究分担者(所属機関)
  • 永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 田口 敦子(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 有本 梓(東京大学 大学院医学系研究科(地域看護学分野) )
  • 山田 雅子(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター)
  • 田上 豊((株)三菱総合研究所ヒューマン・ケア事業開発部)
  • 福田 敬(東京大学 大学院医学系研究科(臨床疫学・経済学分野) )
  • 草野 とし子(滋賀県健康福祉部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究では、複数の訪問看護ステーション(以下、ST)が連携して夜間・早朝の訪問看護を提供(連携体制モデル)すれば効果的・効率的なケア提供が出来ることは明らかとなっている。しかしこのような仕組みを一般化するためには、方法論や効果のさらなる明確化や、地域ケアシステムの一部としての定着、さらには地域単位での評価(自宅への退院、入院予防や在宅での看取り等)が必要である。そこで、1)夜間・早朝訪問看護・介護を提供するためのSTの体制構築方法の明確化、および提供効果の検証、2)訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムの地域単位での構築方法の探索、3)訪問看護・介護の効果的・効率的な連携方法の明確化を目的に研究を実施した。
研究方法
平成19年度はA地域の全ST(4市12か所)を対象として、法人格等が異なる夜間・早朝の連携体制モデル事業の実施、および夜間・早朝の訪問看護の必要者像の分析を行った。同時に24時間の訪問看護体制を地域のケアシステムに根付かせるため、保健所および市町村行政と協働し、定期的に会議を開催して地域の課題を検討した。平成20年度は新たにB県の4地域(二次医療圏)で、訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムを地域単位で構築するモデル事業を実施し、成果と課題を整理した。平成21年度は夜間・早朝の訪問看護体制の全国調査、訪問看護と介護の一体型モデル事業の評価、および地域単位のSTの適切な資源配置の指標開発を目指してData Envelopment Analysis(DEA)を用いたSTの効率性測定を行った。
結果と考察
本研究で得られた成果および知見は、下記の通りである。
1.夜間・早朝訪問看護・介護を提供するためのSTの体制構築方法が具体化され、夜間・早朝の訪問看護提供体制における稼働率から、大規模STでは採算が成り立つことが明らかとなった。
2.訪問看護・介護を含む24時間在宅ケアシステムの効率的な構築には、地域資源や人的ネットワークの持つ強みなど、地域特性が影響することが明らかとなった。
3.訪問看護・介護が必要な対象者像を明らかにした。
4.訪問看護・介護の同行訪問は効率的であり、看護の質を向上させることが示唆された。
結論
本研究によって地域単位のST連携体制モデルの効果や方法論は明らかになった。一方で、制度上の隘路として、複数STの連合体制によって生じる同一日の複数STからの訪問看護が診療報酬として算定されない等の課題も明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200921015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の成果は、計画的な夜間・早朝訪問看護の提供体制を地域単位でシステム化するための方法論の明確化とその効果検証を行ったことである。近年、入院日数の短縮化が進み、病院と同様に、地域においても時間帯を問わず医療を提供する必要性が高まっている。本研究は、今後さらに必要性が高まると考えられる、地域医療システムの充実に貢献し得る研究である。
臨床的観点からの成果
地域単位で夜間・早朝の訪問看護を提供することにより、スムーズな病院から在宅への移行、医療依存度が高い患者を抱えた家族の不安の軽減、誤嚥性肺炎のため再入院を繰り返した者への在宅療養の継続等の効果が見られた。夜間・早朝の訪問看護は、近年課題となっている在院日数の短縮やスムーズな在宅への移行に貢献できる可能性が示唆された。
ガイドライン等の開発
本研究では、地域単位での計画的な夜間・早朝訪問看護の提供体制の構築を広く普及することを目指し、夜間・早朝拠点の設置場所、インフラ整備、訪問看護師の確保、夜間・早朝訪問の申し送り方法、サービスの質確保等具体的なステーションの体制構築マニュアルに加え、地域単位の在宅ケアシステムのガイドライン(てびき)を作成した。
その他行政的観点からの成果
24時間の訪問看護体制の構築は、行政と協同して取り組む必要性があることが示唆された。特に、地域単位での体制構築の際には、特に保健所の支援やリーダーシップが重要であると考え、保健所の支援方法について具体的に明確化した。
その他のインパクト
先行研究を踏まえ、24時間の訪問看護体制の構築に必要なエビデンスを体系的に蓄積してきた。さらなる課題解決に向けて、地域単位のSTの適切な資源配置の指標開発を目指してData Envelopment Analysis(DEA)を用いたSTの効率性測定を行った。その活用可能性を検証できたことは、次のステップである地域特性に応じたケアシステム構築方法の明確化に向けた足がかりとなった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-