文献情報
文献番号
202219016A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性(AMR)対策に有用な既存の抗微生物薬を温存するための添付文書見直しと新規開発薬などの導入体制の整備及び行動変容に効果的な普及啓発・教育活動確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
松永 展明(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)
研究分担者(所属機関)
- 浜田 幸宏(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
- 木原 朋未(多田村 朋未)(筑波大学 医学医療系社会健康医学)
- 大曲 貴夫(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 国際感染症センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
14,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新規抗微生物薬開発の停滞している現在、既存の抗微生物薬を長期的に利用出来る体制の構築は、薬剤耐性菌による疾病負荷を軽減するために重要である。本研究では既存の抗菌薬の有効性を長期に温存する方法を検討する。
研究方法
(1)抗微生物薬の適応および使用法を文献調査し、抗微生物薬ガイドの概要を作成すると共に、掲載する抗微生物薬を検討する。 海外で利用可能な用法でありながら、本邦の添付文書では認められないものについて、国内の添付文書、公知申請の状況、海外のガイドラインおよび文献調査を実施し、公知申請に資する資料を作成する。臨床現場で蓄積されたリアルワールドデータを用いて、疾病に対する抗微生物薬使用割合/種類とその有効性や副作用を集計し分析する。
(2)薬剤耐性を生まない予防・診断・治療評価について、海外の報告書を検索し、解釈と方針をまとめる
(3)新型コロナウイルス感染症および感染症以外の分野を含めた行動変容につながる教育・啓発・広報活動に関する文献調査を行った。
(2)薬剤耐性を生まない予防・診断・治療評価について、海外の報告書を検索し、解釈と方針をまとめる
(3)新型コロナウイルス感染症および感染症以外の分野を含めた行動変容につながる教育・啓発・広報活動に関する文献調査を行った。
結果と考察
(1)抗微生物薬の現状評価
1)抗微生物薬の適応外使用の必要性が実態として確認された。また抗微生物薬では用法・用量に関する適応外申請が 72.9%(51/70)を占めており、特に添付文書用量と臨床用量の乖離が臨床上の問題となっていることが明らかとなった。行政通知上、保険診療における医薬品の取り扱いについては添付 文書に基づかなければならない。一方,抗微生物薬の適正使用のためには、厚生労働大臣が承認した効能または効果、用法・用量が添付文書に記載されており遵守する必要があるものの、臨床現場では乖離が認められていることも明らかとなっており、この乖離は適応外使用にあたる。抗微生物薬を正しく使用するには,その環境を整備することと並行して その実態を把握することも重要である。特定機能病院を中心に適応外薬等の管理体制は整備されつつあるが、適応外の用法・用量の臨床使用における管理は各施設に判断が委ねられ、実施する施設により相違が生じてしまう可能性がある。各医療機関においては添付文書と適正使用の指針となる各種ガイドラインに差異が生じない管理が求められているが,本研究のような実態ならびに詳細な運用を報告したものはなかった。
2)ESBL 産生腸内細菌目細菌に対するセフメタゾールおよびフロモキセフの適切な用法・用量は、腎機能に応じた研究はなされていなかった。PK/PD 解析は、AMR 対策において重要な役割を果たすと考えられる。
3)国立病院機構診療情報基盤では、参加病院の電子カルテデータの標準化を行い、電子レセプトデータ等とあわせてデータベース化している。今年度はこの利活用申請を行い、データ抽出と集計表作成を進めており、得られたデータを活用することで、抗微生物薬の有効性と副作用をより正確に把握することができるだろう。さらに、電子カルテデータを活用した場合と、電子レセプト単独の場合との比較を行い、それぞれのデータで把握できる情報やその違いについて明らかにし、日本全体の NDB データの解析結果と合わせて考察することで、日本全体での抗微生物薬の有効性と副作用について、より正確な実情を把握することを目指す。
(2)重要病原体(CRAB/CRPA/CRE)に対応する抗菌薬は、承認薬でわずか 1 種類、開発中の抗菌薬でも数種類程度であった。薬剤のほとんどはβラクタムと BLI の組み合わせであり、MBL をターゲットとする薬剤はほとんどなかった。重要病原体に対するパイプラインは革新的候補を欠いていた。また、外来治療に適した経口薬や小児用抗菌薬は全体に不足していた。
(3)文献調査を進めると共に、診療所医師に対するフィードバックシステム、診療所版 J-SIPHE が開始したことから、当該評価を軸に啓発活動との関連性を検討していく必要がある。
1)抗微生物薬の適応外使用の必要性が実態として確認された。また抗微生物薬では用法・用量に関する適応外申請が 72.9%(51/70)を占めており、特に添付文書用量と臨床用量の乖離が臨床上の問題となっていることが明らかとなった。行政通知上、保険診療における医薬品の取り扱いについては添付 文書に基づかなければならない。一方,抗微生物薬の適正使用のためには、厚生労働大臣が承認した効能または効果、用法・用量が添付文書に記載されており遵守する必要があるものの、臨床現場では乖離が認められていることも明らかとなっており、この乖離は適応外使用にあたる。抗微生物薬を正しく使用するには,その環境を整備することと並行して その実態を把握することも重要である。特定機能病院を中心に適応外薬等の管理体制は整備されつつあるが、適応外の用法・用量の臨床使用における管理は各施設に判断が委ねられ、実施する施設により相違が生じてしまう可能性がある。各医療機関においては添付文書と適正使用の指針となる各種ガイドラインに差異が生じない管理が求められているが,本研究のような実態ならびに詳細な運用を報告したものはなかった。
2)ESBL 産生腸内細菌目細菌に対するセフメタゾールおよびフロモキセフの適切な用法・用量は、腎機能に応じた研究はなされていなかった。PK/PD 解析は、AMR 対策において重要な役割を果たすと考えられる。
3)国立病院機構診療情報基盤では、参加病院の電子カルテデータの標準化を行い、電子レセプトデータ等とあわせてデータベース化している。今年度はこの利活用申請を行い、データ抽出と集計表作成を進めており、得られたデータを活用することで、抗微生物薬の有効性と副作用をより正確に把握することができるだろう。さらに、電子カルテデータを活用した場合と、電子レセプト単独の場合との比較を行い、それぞれのデータで把握できる情報やその違いについて明らかにし、日本全体の NDB データの解析結果と合わせて考察することで、日本全体での抗微生物薬の有効性と副作用について、より正確な実情を把握することを目指す。
(2)重要病原体(CRAB/CRPA/CRE)に対応する抗菌薬は、承認薬でわずか 1 種類、開発中の抗菌薬でも数種類程度であった。薬剤のほとんどはβラクタムと BLI の組み合わせであり、MBL をターゲットとする薬剤はほとんどなかった。重要病原体に対するパイプラインは革新的候補を欠いていた。また、外来治療に適した経口薬や小児用抗菌薬は全体に不足していた。
(3)文献調査を進めると共に、診療所医師に対するフィードバックシステム、診療所版 J-SIPHE が開始したことから、当該評価を軸に啓発活動との関連性を検討していく必要がある。
結論
1)本研究を通して抗菌薬使用方法および種類の適正化を行うことにより、医療現場の抗菌薬適正使用を推進し、患者予後の向上を推進する基礎資料となる事が期待される。
2)最新の理論に基づいた添付文書の改訂へ資する資料を作成するため、今後は他の分担研究成果も参考にプライオリティーリストやレセプトデータと検証してゆくための有用な資料となった。
3)レセプトデータ等の医療データベースは、抗微生物薬の有効性と副作用の評価に有用であると考えられる。具体的な手法を検討し、NDB データおよび国立病院機構診療情報集積基盤データベースの利活用申請を行った。
2)最新の理論に基づいた添付文書の改訂へ資する資料を作成するため、今後は他の分担研究成果も参考にプライオリティーリストやレセプトデータと検証してゆくための有用な資料となった。
3)レセプトデータ等の医療データベースは、抗微生物薬の有効性と副作用の評価に有用であると考えられる。具体的な手法を検討し、NDB データおよび国立病院機構診療情報集積基盤データベースの利活用申請を行った。
公開日・更新日
公開日
2026-07-09
更新日
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