文献情報
文献番号
202219011A
報告書区分
総括
研究課題名
開発優先度の高いワクチンの有効性・安全性等の評価に関わる医療データベース構築のための探索的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21HA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中島 一敏(大東文化大学 スポーツ・健康科学部健康科学科)
研究分担者(所属機関)
- 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
- 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
- 砂川 富正(国立感染症研究所 実地疫学研究センター)
- 神谷 元(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
予防接種基本計画(平成26年3月厚生労働省告示121号)で示された開発優先度が高い6つのワクチンの導入に向け、日本でシステムが不十分な効果と安全性評価のシステム構築が本研究の目的である。また、研究班実施年に、新型コロナウイルス感染症パンデミックが発生し新型コロナワクチンが導入・運用されたことからその評価も行った。
研究方法
ワクチンの効果評価手法として、疾病負荷の減少を評価する仕組みを構築することを目的として、ワクチン導入前のベースラインを複数の手法を用いて算出する仕組みの構築を試みた。すなわち、医療レセプトを用いた研究、国立病院機構のNCDA診療データベースを用いた研究、定点サーベイランスをひな形に、パイロット地区での医療機関と病原体検出を組み合わせた研究である。さらに、新型コロナワクチンに関しては、協力自治体と、サーベイランスデータとVRSを用いたワクチン効果の推定(2021年度)、高齢者施設における持ち込みと感染拡大リスクに対する効果の推定を行った。
また、安全性評価としては、WHOを中心とするグローバルなワクチン安全性確保への取り組みに関する研究、予防接種副反応疑い報告の因果関係の評価を迅速に実施するシステムを構築するための医療機関との双方向ネットワークの構築に関する研究、埼玉県自治体Aにおいて国民健康保険のレセプトデータと予防接種台帳をリンクするシステムの構築に関する研究、ワクチン忌避の要因分析に関する研究、新型コロナワクチンに対する市民の認識・態度・実践の調査とワクチン安全性コミュニケーションに関する研究を行った。
また、安全性評価としては、WHOを中心とするグローバルなワクチン安全性確保への取り組みに関する研究、予防接種副反応疑い報告の因果関係の評価を迅速に実施するシステムを構築するための医療機関との双方向ネットワークの構築に関する研究、埼玉県自治体Aにおいて国民健康保険のレセプトデータと予防接種台帳をリンクするシステムの構築に関する研究、ワクチン忌避の要因分析に関する研究、新型コロナワクチンに対する市民の認識・態度・実践の調査とワクチン安全性コミュニケーションに関する研究を行った。
結果と考察
疾対象疾患の疾病負荷の評価に関し、医療レセプトを用いた研究では、NDBからDeSCデータに変更することで迅速性の改善を図り、21年度に外来初診、22年度に入院率の疾病負荷の推計が可能であることを検証した。NCDAデータを用いた研究では、次世代医療基盤法に基づくシステム構築との連続性が確認されるとともに、NCDAデータのクラウド化・システム改善により分析の迅速性を日レベルまで大幅に改善した。また、COVID-19の影響により結果には制約が生じたが、インフルエンザサーベイランスの仕組みの応用により全数推定が可能であることが示された。政令市である名古屋市との共同研究により、高齢者施設において一連のワクチン接種による発生リスクの持続的な抑制、短期間の感染拡大抑制効果が確認された。これら相互補完的な研究手法で、各々の弱点を補い包括的かつ持続可能なシステムが構築できる。さらに市民アンケート調査からパンデミック下でのワクチン接種を戦略的に行う必要性も示された。一連の新型コロナワクチン接種による、高齢者施設における発生リスクの持続的な抑制、短期間の感染拡大抑制効果が確認された。
安全性の評価に関し、ML-fluを応用した双方向システムの課題である任意参加性の改善のため、CDXを用いた診療データの自動収集法について検討し、電子カルテシステムの多様性、予防接種データ記載の不確実性等の潜在的な課題を特定した。さらに参加医療機関を絞った実装実験を検討する。予防接種情報と医療情報の連携システムの構築では、フィンランドを視察し、自治体Aのデータ分析から、レセプトを用いることのメリット・デメリットと利用方法の示唆を得た。COVID-19ワクチンの安全性確保に関するGACVSを中心とした国際社会の科学的かつ合理的な取り組みのアップデートを行い、国内のWeb調査からは市民のワクチンに関する認知の不十分さと安全性への不安が接種率の低下に関連していること、行政によるコミュニケーションが不足していることが示された。
安全性の評価に関し、ML-fluを応用した双方向システムの課題である任意参加性の改善のため、CDXを用いた診療データの自動収集法について検討し、電子カルテシステムの多様性、予防接種データ記載の不確実性等の潜在的な課題を特定した。さらに参加医療機関を絞った実装実験を検討する。予防接種情報と医療情報の連携システムの構築では、フィンランドを視察し、自治体Aのデータ分析から、レセプトを用いることのメリット・デメリットと利用方法の示唆を得た。COVID-19ワクチンの安全性確保に関するGACVSを中心とした国際社会の科学的かつ合理的な取り組みのアップデートを行い、国内のWeb調査からは市民のワクチンに関する認知の不十分さと安全性への不安が接種率の低下に関連していること、行政によるコミュニケーションが不足していることが示された。
結論
診療レセプト、医療情報、感染症サーベイランスシステムを用いることで、相補的・包括的に感染症の疾病負荷を継続的にモニタリングし、ワクチンの効果を評価するシステムが構築できることが示された。安全性評価は、医療機関との双方向システム、レセプトと接種記録の連結等の有用性が示されたが、課題への丁寧な検討が必要である。パンデミックにおけるワクチン接種においては、サーベイランスとワクチン接種データデースの連結等、ワクチン効果や安全性評価を戦略的に実践する仕組みが必要である。市民における新型コロナワクチンへの理解・認知は時間経過とともに低下し、持続的に消極的化していることが明らかとなった。ワクチン忌避は徐々に増加しており、適切に対応するために、戦略的な安全性コミュニケーションを構築する必要がある。国際的な枠組みへの積極的な関与等の土壌を育てることが重要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2026-03-31
更新日
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