「臨床疫学研究に活用可能な診療情報プラットフォーム構築」に関する研究

文献情報

文献番号
200919002A
報告書区分
総括
研究課題名
「臨床疫学研究に活用可能な診療情報プラットフォーム構築」に関する研究
課題番号
H20-臨床疫学・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 藤川 潤(財団法人田附興風会医学研究所)
  • 上羽 哲也(市立岸和田市民病院)
  • 山口 拓洋(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床疫学基盤整備研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦で臨床疫学研究が充分に実施されていない要因のひとつとして、既存の診療情報を臨床疫学研究に活用できていないことがある。これを可能にするしくみが構築されれば、臨床家が様々なリサーチ・クエスチョン(RQ)に応じて意味のある分析的研究が可能となる。
本研究では、臨床疫学研究に活用可能な「診療情報プラットフォーム」の構築をめざし、下記を目的として研究を行った。
1.既存の診療情報から質の高いデータを効率的に抽出できるシステムを開発する。
2.開発したプロトタイプを、実際のモデルプロジェクトを通じて試行し、有用性の高い可視化や検証を行う。
研究方法
様々なRQに応じたデータを検索・抽出できる機能を備えたプラットフォームを構築するために、臨床疫学専門家、臨床家、医療機関、IT専門家が協同し、要件定義、設計を行ったうえで、プロトタイプの開発を行った。プロトタイプを医療機関に導入し、2年間分の実際の既存の診療情報を用いて、テスト運用・検証を行った。また、プロトタイプを活用し、医療の質測定研究を行った。
結果と考察
医療機関で電子化されている既存の診療情報を汎用性のあるデータ互換形式で抽出するための診療情報プラットフォームのプロトタイプを開発した。対象データは、レセプトデータ、DPC調査データ、検査データとした。データ抽出・出力条件に応じた患者基礎情報、病歴などのCSVファイルが出力可能である。現在、医療機関に導入・テスト運用を行っており、仕様通りの稼働が実現できている。パフォーマンスについては、データ量が増えるとデータ抽出等に時間がかかり、今後の更なる改善が必要であることがわかった。
モデル事業として、初年度に開発した診療の質測定指標(QI)を用いて、急性・慢性疾患約20疾患の入院患者対象のQIを入力するためのインターフェイスを開発した。カルテレビューワーをトレイニングしてデータの収集を行わせた。入力支援システムも開発した。
結論
臨床研究に用いるために、医療機関で電子化されている既存の診療情報を、ITを活用し、汎用性のあるデータ互換形式で抽出するための診療情報プラットフォームのプロトタイプを開発し、既存の診療情報から、臨床研究で活用できるデータを抽出することに成功した。今後は、多施設共同による、臨床・疫学研究や薬剤疫学研究へと発展させることも可能である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-