見えづらさを来す様々な疾患の障害認定・支援の方法等の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202218053A
報告書区分
総括
研究課題名
見えづらさを来す様々な疾患の障害認定・支援の方法等の確立に向けた研究
課題番号
22GC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 久尚(聖マリアンナ医科大学 脳神経内科学)
  • 原 直人(国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,294,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
視覚障害の認定基準(平成30年7月改訂)の検証と、現行の認定法では視覚障害の適切な評価が難しいと指摘されている症状や状態(羞明、眼瞼痙攣、片眼失明者等)を有する者への障害認定と生活支援のあり方について総合的に検討する。片眼失明者の視覚障害の評価を行うための調査研究と「眼球使用困難症候群」について調査研究を行う
研究方法
1)視覚障害の認定基準について改定後に報告されている課題についての文献調査と課題解決のための方法について検討し、Functional Vision Score (FVS)関連研究について検討を行った。2)片眼失明者の有病率の推定と医療機関ベースの調査法について検討を行った。3)眼球使用困難症候群を検討するために、当該例の社会生活困難さの程度と各医学的検出因子(脳波、自律神経検査、機能画像検査、精神医学的スケール)による検出度との関係を評価し本疾患患者群の医学的発症機序解明を主要評価項目とする多施設研究プロトコールの作成をおこなった。4)眼球使用困難症候群の病態解明のため、羞明をともなう他の神経疾患・精神疾患の生理学的解析と臨床的検討をおこなった。
結果と考察
1)新基準の判定方法では、ゴールドマン視野計と自動視野計による視野等級の判定はおおむね一致しているものの、一部で身障等級2級と5級のように大きな乖離がみられるなど問題が指摘された。FVSを用いた研究は、近年より一般化しつつありAMA Guides の一般化により国際的な普及が進む可能性がある。2)片眼失明者の調査
片眼失明(山本斑の定義:低い方の視力<0.02, 良い方≥0.7)の頻度は2012年に平塚らが行った福島県でのコホート研究の母集団では、有病率は0.7%であった。2022年の順天堂医院での、4ヶ月間の初診患者856名における片眼のみの失明者の頻度は、初診時点では、12例(1.4%)で、その後の治療介入が行われ3ヶ月以上経過しても改善が得られていないものに限定すると5名(0.6%)が片眼のみの失明であった。また、義眼装用者においては頻回に義眼に関する医療が必要な例があることが推定された。3)眼球使用困難症候群研究の多施設研究実施のためのプロトコールが確立された。4)眼球使用困難症候群と関連する羞明をともなう精神・神経疾患の臨床的検討をおこない、眼球使用困難症候群の病態解明と治療戦略が提案された
結論
1)異なる視野検査による視覚障害認定の差異を検討するデータが獲得された。片眼失明者の有病率の推定がおこなわれ、次年度医療機関ベースでの調査を加えることで片眼失明者の支援の整備に資するデータが得られると考えられた。
2)眼球使用困難症候群について多施設研究の実施のためのプロトコールが確立された。関連する疾患をふくめた検討において、羞明の病態生理の解明の足がけができた。次年度より多施設研究を開始する。

公開日・更新日

公開日
2023-09-28
更新日
2024-06-04

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-09-28
更新日
2023-10-20

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,080,000円
(2)補助金確定額
3,080,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,919,084円
人件費・謝金 213,408円
旅費 24,540円
その他 212,968円
間接経費 710,000円
合計 3,080,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-28
更新日
2023-10-20