高齢者におけるアスピリンの一次予防効果に関する研究-消化管障害に注目したリスク&ベネフィットの検討

文献情報

文献番号
200918046A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者におけるアスピリンの一次予防効果に関する研究-消化管障害に注目したリスク&ベネフィットの検討
課題番号
H21-臨床・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(早稲田大学)
研究分担者(所属機関)
  • 内山真一郎(東京女子医大)
  • 島田和幸(自治医科大学)
  • 寺本民生(帝京大学医学部)
  • 藤田敏郎(東京大学大学院医学研究科)
  • 山田信博(筑波大学)
  • 山崎力(東京大学大学院医学研究科)
  • 及川眞一(日本医科大学)
  • 上村直実(国立国際医療センター)
  • 平石秀幸(獨協医科大学)
  • 横山健次(慶應義塾大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高血圧、高脂血症、または糖尿病を有する高齢者(60?85歳)を対象とした低用量アスピリンの血栓症一次予防試験(JPPP試験)は平成19年6月に14,659症例の登録を完了し、現在追跡調査中である。患者への啓発活動、参画医師の協力により、追跡率は98%以上と良好で、臨床研究は順調に推移している。本調査研究は平成20年10月米国ACCF/ACG/AHAが非ステロイド系消炎鎮痛剤の消化管障害に関する提言を発出したのを受けて、JPPP試験の参画症例を対象として、日本人の低用量アスピリンによる消化管障害の実態の大規模かつ詳細な調査をJPPP試験のサブ研究として行うものである。
研究方法
平成21年に行ったJPPP試験年次追跡調査票に記入を依頼した消化管障害の有無、服薬歴についてのデータベースを作成し、それをまとめると共に、その結果に基づき、より詳細な二次調査実施の為の調査票を作成し、参画医師に送った。同時に、アスピリン、非ステロイド系消炎鎮痛剤などの薬剤に起因する消化性潰瘍に関する文献調査を行った。
結果と考察
データベースより重篤な頭蓋外出血、消化管出血症例の詳細資料より原因疾患を分類し、性別、入院症例数、輸血症例数、死亡者数を調査した。114例の上記症例のうち、原因不明12例、消化管癌11例を除いた91例の出血原因としては、上部消化管病変によるものが56例(62%)であった。そのうち胃・十二指腸潰瘍が49例(88%)と大半を占めた。一般人口では上部消化管出血の原因として消化性潰瘍が占める割合は大略50%前後であり、この結果はアスピリンの関与の可能性を示唆している。また胃潰瘍(40例)が十二指腸潰瘍(9例)を大きく上回った。下部消化管出血では、大腸憩室を原因とする症例が12例と多く、ついで大腸ポリープが8例であった。また実地臨床で経験される消化性潰瘍の男女比は3:1前後と報告されているが、本研究では男女比は1に近かった。
結論
JPPP試験で行った年次調査の中から、有害事象としての消化管障害の集計を行い、より詳細な二次調査への重要な手がかりが得られ、二次調査票を発送した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-