リハビリテーション関連職等が支援機器の適切な選定・導入運用時に用いるガイドラインの開発

文献情報

文献番号
202218052A
報告書区分
総括
研究課題名
リハビリテーション関連職等が支援機器の適切な選定・導入運用時に用いるガイドラインの開発
課題番号
21GC2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅川 育世(茨城県立医療大学 保健医療学部 理学療法学科)
  • 上村 智子(信州大学 医学部)
  • 西嶋 一智(宮城県 リハビリテーション支援センター)
  • 向野 雅彦(北海道大学病院 リハビリテーション科)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部)
  • 硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,532,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、R2年度までに作成した支援機器ICF対応表を活用し、リハ専門職が、適切な支援機器の選定・導入運用を実施するために役立つガイドを開発することを目的とする。R4年度は、ガイドを作成することを目的とし、あわせて支援機器ICF対応表の更新、ガイドの利用モデル案の作成、関連する情報収集を行った。
研究方法
1.支援機器の選定・導入運用ガイドの作成
これまでの研究で検討したガイド一次案を基に、ICFを活用した選定・導入運用に役立つガイドを作成した。
2.支援機器ICF対応表の更新
支援機器ICF対応表の基となる支援機器データベースの更新作業を行った。また、リハ関連専門職がICFを基に支援機器を選定し出来るよう、これまでの研究で開発した可視化システムを改修した。作成した支援機器検索システムについては、模擬シナリオを用いた機器の検索を試行し、ユーザビリティの評価を行った。
3.ガイド利用モデルの構築および課題抽出
在宅支援における支援機器として、スマートデバイスに着目し、その適合に関するヒアリング調査を実施した。
また、ガイド利用で課題となるICFのコード検索を支援するためのICFごく検索システムを作成した。
4.ICFおよびISO9999の動向把握
WHOのICF検討委員会及びISOの福祉用具技術委員会の情報を収集し、改訂等の最新動向を把握し、ガイドの開発につなげる。
結果と考察
1.支援機器の選定・導入運用ガイドの作成
現状、個人の知識や技術レベルに委ねられている支援機器の選定・導入運用に役立つガイドの開発を目的とし、ICF対応表を中心に支援機器の選定・導入運用に関する調査結果及びガイド骨子案について精査及び議論等を行い、ガイドを用いた実証評価を行いガイドを完成させた。本ガイドが、ICF対応表及びICF検索データシステムの活用手順及びガイド利用モデルとともに多くの医療福祉職に使用され、試用及び検証を含めた社会実装が進む事で、統一的な概念のもと障がい者に支援機器を届けられることに寄与すると考えられる。
2. 支援機器ICF対応表の更新
対応表の更新により、支援機器データベースに登録した775件の支援機器について、イラスト、説明文、利用できる可能性のある制度、関連するICF/ISO/ CCTA95コード、参考製品例の情報をICFコードと対応付けて提供することが可能になった。
また、支援機器の選定・導入ガイドで活用できるデータの出力形式として、製品情報を追加することとし、支援機器データベース、可視化システムの改修により、テクノエイド協会の福祉用具情報システムと連結して、参考製品例を表示する「支援機器ICF対応表検索システム」を構築した。
3.ガイド利用モデルの構築および課題抽出
 在宅支援におけるスマートデバイスの適合に関するヒアリング調査の結果、新規性の高さに起因したフォローアップや機器選択における課題が確認され、ガイドライン導入でそれらが解決される可能性が示唆された。
 また、ICF語句検索システムの作成と検索辞書のブラッシュアップの結果、ICF分類に関する専門知識無しにデータベースの検索が可能になり、網羅的語句リストの導入で検索性の向上が期待されることが示唆された。
4.ICFおよびISO9999の動向把握
 WHOおよびWHO国際統計分類ネットワークでは、これまでの成果を踏まえ、アップデートと新しいプラットフォームへの対応を進めている。特に新しい国際分類プラットフォームへの融合は、ICDやICHIとの連携を強化し、分類システム全体の一貫性を高めることにつながると考えられる。また、同義語の収集により検索性を高めたり、症例シナリオを作成するなど、臨床での活用を促進するための取り組みにも積極的に取り組んでいる。
また、5月に発行されたISO9999は、大分類の構成や支援機器の定義など、大きな改訂がなされている。この動向は、世界的に影響を及ぼすものと考えられる。特に支援機器の定義の改訂は、障害の分野に少なからず影響を及ぼすであろう。
結論
今年度は、支援機器の選定・導入運用においてリハ専門職が活用できるガイド二次案を作成し、専門職による試行を経て、ガイドを完成させた。ガイドで活用する支援機器ICF対応表については、製品データベースとの連結などの更新を行い、活用可能な形で提供する事ができた。
また、ガイドの利用場面での課題として、給付制度の対象ではない機器の適合の現状を把握した。また、ICFのコード選択の支援システムも作成している。
ICFおよびISO9999の最新動向に関する調査からは、それぞれの課題と改訂状況の情報を収集することができ、これらの内容はガイドのコラムに記載することとした。
以上より、幅広い支援機器の選定や導入に資するガイドを作成し、その効果および課題を抽出することができた。

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202218052B
報告書区分
総合
研究課題名
リハビリテーション関連職等が支援機器の適切な選定・導入運用時に用いるガイドラインの開発
課題番号
21GC2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅川 育世(茨城県立医療大学 保健医療学部 理学療法学科)
  • 上村 智子(信州大学 医学部)
  • 西嶋 一智(宮城県 リハビリテーション支援センター)
  • 向野 雅彦(北海道大学病院 リハビリテーション科)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部)
  • 硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、R2年度までに作成した支援機器ICF対応表を活用し、リハ専門職が、適切な支援機器の選定・導入運用を実施するために役立つガイドラインを開発することを目的とする。
研究方法
1.支援機器の選定・導入運用ガイドの作成
令和2年度までに作成したICF対応表を中心に支援機器の選定・導入運用に関する調査結果及びガイドライン骨子案について精査及び議論等を行い、ガイドライン案を作成した。作成にあたっては、研究班全体での議論により選定・導入運用手法を作成し、それを基にガイド一次案、二次案を作成した。さらに、リハ専門職53名を対象に、「支援機器の選定・導入ガイド(二次案)」を配布し、それに基づき特定の支援機器の利用者を想定したシナリオについて、想定される支援機器を選定し、アンケート調査を行った。
2.支援機器ICF対応表の更新
これまでの研究で構築した支援機器ICF対応表について、新たな機器に関する情報を収集し、データを更新した。また、支援機器とICFの対応についてデルファイ法を用いて、ICFコーディングの妥当性を確認した。さらに、対応表を利用する専門職のニーズや知識を把握し、対応表を更新した。
3. ガイド利用モデルの構築および課題抽出
ガイドの想定利用者が臨床現場において直面する課題を抽出・整理するためのアンケート調査を実施した。対象は、障害者の在宅支援に関する相談業務の処理件数が多いと考えられる調査対象施設として、都道府県・指定都市に設置されている難病相談支援センター78施設、一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会が公開する認定療法士所属施設403施設とした。
また、リハビリテーション関連職等が支援機器の適切な選定・導入運用を行うにあたり、利用者が容易に情報にアクセスするためのICF辞書、コード検索システムを開発した。
4.ICFおよびISO9999の動向把握
ICF及びISO9999について、関連する会議の動向を調査した。
結果と考察
1.支援機器の選定・導入運用ガイドの作成
ICF対応表を中心に支援機器の選定・導入運用に関する調査結果及びガイド骨子案について精査及び議論、実証評価を行いガイドを完成させた。本ガイドが、多くの医療福祉職に使用され、社会実装が進む事で、統一的な概念のもと障がい者に支援機器を届けられることに寄与すると考えられる。
2.支援機器ICF対応表の更新
本研究により、新たな支援機器の情報を追加し、支援機器ICF対応表を更新した。また、リハ専門職を対象としたデルファイ調査から、支援機器のICFコーディングの妥当性を確かめた。対応表の更新により、支援機器データベースに登録した775件の支援機器の情報をICFコードと対応付けて提供することが可能になった。また、テクノエイド協会の福祉用具情報システムと連結して、参考製品例を表示する「支援機器ICF対応表検索システム」を構築した。
3. ガイド利用モデルの構築および課題抽出
障害者支援施設へのアンケート調査から、支援機器の選定に際しての課題が確認され、本研究課題において構築するデータベースの有用性が示唆された。在宅支援におけるスマートデバイスの適合に関するヒアリング調査の結果、新規性の高さに起因したフォローアップや機器選択における課題が確認され、ガイド導入でそれらが解決される可能性が示唆された。また、ICF語句検索システムの作成により、ICF分類に関する専門知識無しにデータベースの検索が可能になり、網羅的語句リストの導入で検索性の向上が期待されることが示唆された。
4.ICFおよびISO9999の動向把握
 WHOおよびWHO国際統計分類ネットワークでは、これまでの成果を踏まえ、アップデートと新しいプラットフォームへの対応を進めている。特に新しい国際分類プラットフォームへの融合は、ICDやICHIとの連携を強化し、分類システム全体の一貫性を高めることにつながると考えられる。2023年5月に発行されたISO9999は、大分類の構成や支援機器の定義など、大きな改訂がなされている。
結論
本研究では、支援機器の選定・導入運用においてリハ専門職が活用できるガイド案を作成し、専門職による試行を経て、ガイドを完成させた。ガイドで活用する支援機器ICF対応表については、製品データベースとの連結などの更新を行い、活用可能な形で提供する事ができた。
また、ガイドの利用モデルの構築では、対象となる利用者像や利用フローを作成し、利用モデル案を構築した。さらに、ICFのコード選択の支援システムも作成した。
ICFおよびISO9999の最新動向では、それぞれの課題と改訂状況の情報を収集することができ、これらの内容はガイドのコラムに記載することとした。
以上より、幅広い支援機器の選定や導入に資するガイドを作成し、その効果および課題を抽出することができた。

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202218052C

収支報告書

文献番号
202218052Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,500,000円
(2)補助金確定額
12,331,000円
差引額 [(1)-(2)]
169,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,094,142円
人件費・謝金 2,726,185円
旅費 721,980円
その他 6,821,525円
間接経費 968,000円
合計 12,331,832円

備考

備考
自己資金832円

公開日・更新日

公開日
2024-02-28
更新日
-