モルフォリノを用いたDuchenne型筋ジストロフィーに対するエクソン51スキップ治療の臨床応用

文献情報

文献番号
200918042A
報告書区分
総括
研究課題名
モルフォリノを用いたDuchenne型筋ジストロフィーに対するエクソン51スキップ治療の臨床応用
課題番号
H21-臨床・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
武田 伸一(国立精神・神経センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 尚巳(国立精神・神経センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
  • 永田 哲也(国立精神・神経センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
  • 大澤 真木子(東京女子医科大学)
  • 木村 重美(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 中林 哲夫(国立精神・神経センター 病院 治験管理室)
  • 村田 美穂(国立精神・神経センター 病院 第二病棟部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症の単一遺伝子病であるDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)について、これまでモデル動物を用いてエクソン・スキップの安全性と有効性を示し、前臨床的治験を進めてきた。エクソン・スキップは遺伝子変異に依存したテーラーメイド治療に留まることが課題である。そこで本研究ではスキップの対象が、欠失をもつDMD患者の約19%と最も多いエクソン51スキップについて国際共同治験の実施を目的とする。
研究方法
1. mdx52マウスおよび患者由来細胞を用いて、エクソン51スキップに最適なアンチセンス・オリゴ(AO)配列を検索する。2.臨床治験のため、患者レジストリーの構築を始める。3.国際的な臨床指標の評価方法の導入を開始する。4. 欧米での先行する臨床試験において申請された安全性情報を参考にして、エクソン51スキップ治療薬の前臨床的な安全性の評価を行う。5. GMPレベルのエクソン51スキップ治療薬の導入に向け協議を進める。
結果と考察
1. マウスでスキップ効率が高いAO配列の組み合わせを決定し、患者由来細胞でも、同配列で高いスキップ効率が得られた。2.当院データベース内で、エクソン51スキップ対象患者を把握した。3. 国際対応の評価方法の導入を進めた。4. 欧米で先行するエクソン51スキップ治療薬の前臨床的な安全性の評価を行った。5. オーファン・ドラッグ薬の開発実績のある国内製薬企業を介しておよび直接、欧米製薬企業とGMPレベルのエクソン51スキップ治療薬の導入に向け協議を進めた。
結論
本研究により、DMDを対象にしたエクソン51スキップ治療の妥当性が示された。またエクソン51スキップの国際共同臨床治験を推進するための基盤整備として、対象患者の把握、評価の準備を行い、国際的な評価方法の確立を進めている。今後、基礎研究の確立と同時に欧米で先行するエクソン51スキップのGMPレベルの治療薬を導入し、治験を推進する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
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