低侵襲性体外衝撃波治療法の実用化を目指したエビデンス確立のための拠点形成

文献情報

文献番号
200918039A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲性体外衝撃波治療法の実用化を目指したエビデンス確立のための拠点形成
課題番号
H21-臨床研究・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科循環器病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 健太(東北大学 大学院医学系研究科循環器病態学分野)
  • 館 正弘(東北大学 大学院医学系研究科形成外科学分野)
  • 下瀬川 徹(東北大学 大学院医学系研究消化器病態学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、生活の欧米化により動脈硬化性疾患が増加しており、従来の治療法では十分な効果が得られない重症例や複数の疾患を合併する症例が増えている。そのため低侵襲で身体的負担が少なく、かつ有効性の高い治療法の開発が期待されている。体外衝撃波治療は、尿路結石破砕治療として、20年以上前から保険適用となっている確立した治療法である。我々は、低出力(結石破砕治療に用いる出力の10%)の衝撃波を用いた非侵襲性血管新生療法を開発し、重症狭心症において、その有効性と安全性を基礎的・臨床的研究により確認し論文発表してきた。また、急性心筋梗塞および下肢虚血を対象に基礎研究論文を発表し、現在 臨床試験を行っている。一方、近年 慢性膵炎の発症・進行に、虚血の関与が示唆されている。また、衝撃波治療は、血管壁以外の細胞例えば、血管と発生起源が同じであるリンパ管細胞にも対しても新生作用があると期待されるため、現在 有効な治療法に乏しいリンパ浮腫に対しても有効性が期待される。
研究方法
本研究では低出力体外衝撃波治療の実用化に向けたエビデンス確立のための拠点形成を目指す。具体的には、狭心症、急性心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症に対する臨床試験をさらに進め、平成23年度までに高度医療評価制度への申請を目指す。さらに、この非侵襲性血管新生療法の対象を、慢性心不全、リンパ浮腫、難治性皮膚潰瘍、慢性膵炎に拡大することを目指す。平成21年度から3年間の計画で開始し、平成21・22年度において、動物モデルにおいて有効性・安全性について検討を行う。平成23年度は、動物実験を継続して作用機序を明らかにするとともに、臨床試験の開始を目指す。臨床研究については東北大学医学系研究科倫理委員会の承認を、動物実験については東北大学動物実験委員会の承認のもと行う。
結果と考察
低出力の体外衝撃波を用いたこの画期的な治療法は、麻酔や手術操作が一切不要で非侵襲性であること、必要ならば繰り返し実施可能であること、副作用がないこと、コストが安く医療費の大幅な削減につながること、など数多くの利点がある。
結論
本研究により、患者の肉体的・精神的負担の軽減や医療費の大幅な削減により、我が国の活力のある社会の実現に大きく貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-