言語聴覚士等による人工内耳・補聴器装用者等に対する遠隔医療の体制整備のための研究

文献情報

文献番号
202218040A
報告書区分
総括
研究課題名
言語聴覚士等による人工内耳・補聴器装用者等に対する遠隔医療の体制整備のための研究
課題番号
22GC1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
土井 勝美(医療法人医誠会 本部医療対策部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、小児ならびに成人を対象とする人工内耳・補聴器医療における遠隔医療システムを確立した上で、同遠隔医療の有用性、安全性の検証を行い、さらに遠隔医療と対面医療との優位性、同等性の比較検討を行う。また、海外における遠隔医療の情報解析と本研究の成果を融合させる形で、聴覚障害に対する遠隔診療の指針・ガイドラインの作成を行う。同時に、国内における同遠隔診療の導入に必須となる環境整備や人材育成への提言と、あわせて、対面医療との費用対効果の精緻な検証を重ねて、同遠隔医療の現行の保険医療制度における位置づけを考察し、将来的な同遠隔医療の保険点数化・保険収載に関して一定の見識・方向性を示す。
研究方法
人工内耳装用者の選択基準は、1)装用開始から12ヶ月以上経過した患者(6歳以上)、2)片側・両側に装用する患者、3)遠隔医療が実施可能な最新の人工内耳を装用する患者、4)本研究開始6ヶ月以内に対面医療で作成したマッピングが安定している患者とする。タイムライン(6週間)は、1)第0週:医療機関で対面のマッピング作成と機器調整、聴取能評価、遠隔医療システムの患者への貸出、2)第2週:自宅で遠隔マッピング作成と機器調整、3)第4週:自宅で遠隔マッピング作成と機器調整、4)第6週:医療機関で対面のマッピング作成と機器調整、聴取能評価、遠隔医療システムの回収を行う。
 遠隔医療の有用性、安全性、満足度、費用対効果の検証を目的として、1)機能的聴取質問紙(SSQ12・SSQP)評価、2)装用者・保護者向けの質問紙評価、3)医療従事者向けの質問紙評価、4)医療および非医療資源の利用状況の評価、5)患者の健康関連QOL評価(HUI)を各時点で実施する。
 補聴器装用者については、本研究への参加に同意した患者に対して遠隔医療システムの貸出を行い、同様に6週間のタイムライン[第0週(対面)、第2週(遠隔)、第4週(遠隔)、第6週(対面)]で遠隔フィッテイングを行い、遠隔医療の有用性、安全性、満足度、費用対効果を検証する。
 有効性、安全性、費用対効果に関して、遠隔医療の非劣勢を確認するため、1)主要評価項目として、遠隔医療と対面医療でそれぞれ作成した人工内耳マッピングおよび補聴器フィッテイングの比較検証、2)副次評価項目として、遠隔医療と対面医療による装用者の聴取能および機能的利益の比較検証、3)3次評価項目として、遠隔医療と対面医療における装用者、保護者、医療従事者の満足度、医療・非医療資源の利用状況の評価、患者の健康関連QOL評価の比較検証を行う。解析は、対面医療(A)と遠隔医療(B)のデータを「被験者内反復測定+ABBAデザイン」で比較検証する。
結果と考察
令和4年4月15日付けで修正版の交付申請書を厚生労働省に提出し、同年6月19日付けで最終版の交付申請書が受理となった。令和4年7月27日付けで厚労科研交付決定通知書を受理、同年9月16日付けで研究費の入金を受けて、各研究分担者に予算配分を行った。遠隔診療システムの提供・貸与を担当する(株)コクレア社と、令和4年度よりデータ登録を開始する5施設(東京大学、九州大学、長崎大学、札幌医科大学、東京医療センター)との間で事務作業が進められ、同システムの導入・設置は完了した。研究代表者の施設内の倫理委員会に研究計画書等の提出が行われ、研究分担者の施設と一括審議の形で、研究承認の審議が進められている。同倫理委員会による研究承認を受けて、令和5年6月中に研究班全体会議を実施し、令和5年度のデータ登録を開始する予定である。
結論
小児ならびに成人を対象とする人工内耳・補聴器医療における遠隔医療システムを確立した上で、同遠隔医療の有用性、安全性の検証を行い、さらに遠隔医療と対面医療との優位性、同等性の比較検討を行い、また、海外における遠隔医療の情報解析と本研究の成果を融合させる形で、聴覚障害に対する遠隔診療の指針・ガイドラインの作成を行う予定である。令和4年度は、研究班の構成、研究分担者の5施設における遠隔診療システムの設置作業を進めた。あわせて、研究計画書の倫理委員会への承認申請手続きを進めた。国内における同遠隔診療の導入に必須となる環境整備や人材育成への提言、対面医療との費用対効果の精緻な検証を重ねて、同遠隔医療の現行の保険医療制度における位置づけを考察し、将来的な同遠隔医療の保険点数化・保険収載に関して一定の見識・方向性を示すために、データ登録を近々開始する予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,500,000円
(2)補助金確定額
17,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,322,143円
人件費・謝金 1,685,024円
旅費 655,300円
その他 226,812円
間接経費 4,000,000円
合計 16,889,279円

備考

備考
研究代表者ならびにいくつかの研究分担者の研究施設において、令和4年度の研究費支出が配分された研究費の額を下回ったため。

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-