将来出現が予想される新型インフルエンザに即応できる次世代ワクチンの臨床応用に向けた研究

文献情報

文献番号
200918037A
報告書区分
総括
研究課題名
将来出現が予想される新型インフルエンザに即応できる次世代ワクチンの臨床応用に向けた研究
課題番号
H21-臨床・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田 宏(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 河岡 義裕(東京大学医科学研究所)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所)
  • 内田 哲也(国立感染症研究所)
  • 保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 岡本 成史(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
○昨年4月に発生した新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))は、日本を含む世界各地で流行・感染が拡大し、社会に多大な影響を与えたが、流行したインフルエンザA(H1N1)は当初想定されていたH5N1の型とは異なったように、今後とも新たに発生するインフルエンザの型を予め予測することは困難である。
○そのため、将来どのようなインフルエンザが出現しても直ちに対応できる次世代ワクチンを開発することは、極めて重要な国家的な課題である。
○本研究では、こういった背景を踏まえ、インフルエンザウイルスライブラリーを用いた種ウイルス株の製造と保存方法の確立および、その株を用いた交叉防御能を有するワクチンデザインの開発を目的とする。
研究方法
○インフルエンザワクチン作製に用いる種ウイルス作製方法の検討
○インフルエンザウイルスのVero細胞への馴化
○有効な粘膜免疫用アジュバントの検索
○インフルエンザ全粒子ワクチンの経鼻接種による交叉防御効果
結果と考察
○ウイルスライブラリーに保存している株のうち、最も新型インフルエンザの由来株に遺伝子型が近縁である株を用いて不活化全粒子ワクチンを作製したところ、新型インフルエンザに対する防御効果を示すことを明らかにした。
○鶏卵によるウイルスの培養方法に代わる方法として、Vero細胞などによるウイルス培養の検討
を行った。
○交叉防御効果を誘導できるワクチンを作製するために、経鼻接種によるワクチンデザインの検討を行い、二本鎖RNAとグルカンとの併用やポリガンマグルタミン酸ナノ粒子がインフルエンザヘマグルチニンワクチンにおける有効な粘膜アジュバントになることおよび、不活化全粒子ワクチンの経鼻接種がアジュバントなしでも十分な交叉防御効果を誘導することを明らかにした。
○インフルエンザに対する防御効果にTh1活性が重要であることから、リポゾーム表面にTh1およ
びTh2活性を誘導する抗原エピトープを結合した新規ワクチンの検討を行った。


結論
以上の結果をもとにこれらの方法論を確立し、組み合わせていくことにより、新型インフルエンザの出現に即応できる新たなインフルエンザワクチン製造方法が確立され得ることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-