新規性の高い技術を活用した障害者支援機器の開発と利活用を促進するための分野横断的調査研究

文献情報

文献番号
202218036A
報告書区分
総括
研究課題名
新規性の高い技術を活用した障害者支援機器の開発と利活用を促進するための分野横断的調査研究
課題番号
22GC1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 和幸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 門馬 博(杏林大学 保健学部)
  • 原田 祐輔(杏林大学 保健学部 )
  • 澤田 有希(帝京科学大学 医療科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
12,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年,多様な分野で生まれた革新的技術を支援機器に導入する試みが進んでいる.しかし,それらの新規性の高い支援機器の評価基準・指標や,障害当事者の生活環境への導入時に用いる適応判定基準は明確ではない.そこで本研究では,新技術を用いて開発された既存の支援機器について,開発及び選定・導入の事例や課題を把握・整理することで,必要となる基準・指標の必要条件を抽出し,速やかな開発と普及を可能にするための基礎的指針を構築する.本年度は,各技術分野での支援機器開発の現況の網羅的把握と新技術の導入における配慮事項の抽出を目的とした.
研究方法
1)支援機器の評価・適応判定のための基準・指標に関する指針
 義肢装具関連の下記学術雑誌,講演集を中心に近年の3Dプリンタを活用した義肢装具の開発・試験に関する文献を収集し,比較・分析した.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針
 支援機器関連企業を対象に,企業内での医療専門職の関与,支援機器開発の好事例・問題事例,および,その際の医療専門職の関与の実態を明らかにするためのアンケート調査を実施した.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術
臨床での自助具製作などへの3Dプリンタの活用状況や,活用の促進・阻害因子を把握するため,作業療法士への大規模アンケート調査を実施した.
4) VR・AR・MR関連技術
XR技術はその新規性の高さから,学術報告としては開発途上,製品化に至る前段階の技術に関する報告が多くみられる.本研究では対象を製品化されている機器,アプリケーション,技術とし,現時点において実際に利用が可能であるものを対象として調査を行った.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術
 施設入所支援サービス提供機関を対象に,入所者のスマートデバイス利用状況と適合時の課題をアンケート形式により調査した.また,視線を利用したスイッチとして市販されているアイスイッチと九州工業大学と国立障害者リハビリテーションセンターが開発している眼鏡型スイッチについて,機能の比較を実施した.
結果と考察
1)支援機器の評価・適応判定のための基準・指標に関する指針
 義足ソケットのように,既存の試験規格があり,3Dプリンタ製との比較や優位性を示すことを目的とする研究では,ISO10328や16955のような規格が参照されていた.一方で,義肢装具に直接関連した規格以外にも,JISやASTMの材料試験全般に関する規格が幅広く参照されていた.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針
有効回答数は85,有効回答率は10.5%だった.社内に医療専門職がいる企業は85社中13社(15.3%)だったが,社外の医療専門職と関わりを持つ企業は52社(61.2%)であった.社内外問わず,医療専門職は開発のプロジェクトメンバーではなく,必要に応じて適宜関わるとされた.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術
 回答者総数は3,469名であった.3Dプリンタの使用経験があると回答した153名のうち,作業療法で使用したことがある者は84名であった. 3Dプリンタを使用することのメリットは,「既製品とは異なり,対象物や対象者の状態に合わせることができる」などの回答数が多かった.
4) VR・AR・MR関連技術
 前述の条件に基づく検索の結果,32の製品が抽出された.抽出された製品を利用されている技術で分類するとVRが最も多く26製品,AR,MRはそれぞれ3製品となった.また,抽出された32製品において,国内で開発されたものが11製品,国外で開発された製品が21製品であった.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術
 施設入所支援サービス提供機関への調査では,2500件の送付数に対して1144件の回答を得た.支援対象者がスマートデバイスを環境制御装置として使用している施設は4.3%で,環境制御装置としてはほとんど使用していないと推測できる.視線入力装置の導入に関しては,視線入力装置を使用するためにはキャリブレーション操作が必要であり,眼球運動が水平方向のみになり,垂直方向への視線移動が難しい難病患者では使用が困難になるケースが見受けられた.
結論
 本年度は,新技術を導入した支援機器開発の網羅的な現況調査と,それにもとづく配慮事項の整理を実施した.支援機器開発企業へのアンケート調査からは,医療専門職の関わり方が開発の成否に影響を与えうることが示唆された.3Dプリンタを含むDF技術とAI・IoT を中心とした情報通信技術については,それぞれで利用実態と導入に際しての課題を把握するためのアンケート調査を実施し,さらなる普及に向けての配慮事項を明らかにした.また,XR関連技術については製品化事例に絞った調査から,技術活用分野の特徴を明らかにした.

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218036Z
報告年月日
-

収入

(1)補助金交付額
0円
(2)補助金確定額
0円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
2024-05-31