特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン案の作成のための調査研究

文献情報

文献番号
202218033A
報告書区分
総括
研究課題名
特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン案の作成のための調査研究
課題番号
22GC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
本田 秀夫(信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 篠山 大明(信州大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)の障害認定事務は、都道府県及び政令指定都市において行われている。しかし、数値等の客観的な基準がないことから、各都道府県・政令指定都市の認定医の判断によるところが大きいのが現状である。
 平成29年度~平成30年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(障害者政策総合研究事業)にて行われた「特別児童扶養手当等(精神の障害)の課題分析と充実を図るための調査研究」(先行研究①)の中で、特別児童扶養手当認定診断書(知的障害・精神の障害用)の改定素案が提案された。令和2年度~令和3年度厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業)にて行われた研究「特別児童扶養手当(精神の障害)の認定事務の適正化に向けた調査研究」(先行研究②)では、現行の特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)の認定の地域差を把握するための実態調査を行い、特別児童扶養手当の障害認定における自治体間の地域差の実態を明らかにするとともに、先行研究①で作成された改定素案にさらに修正を加えた認定診断書の改定案を作成した。改定案については、日本児童青年精神医学会の医師会員を対象にサンプル調査を行い、「障害のため要する援助の程度」の判定において、妥当性と評価者間信頼性のいずれもが一定の基準を満たしていることを確認した。
 これらの結果をふまえて、本研究では、認定の地域差の適正化に資する「特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン案」を作成することを目的とする。1年目である本年度は、先行研究②における認定診断書改定案のサンプル調査で得られたデータをもとに、障害基礎年金の精神の障害に係る等級判定ガイドラインを参考にしながら等級判定ガイドライン素案を作成することを目的とした。
研究方法
1.認定診断書改定案および作成要領案の最終調整
 先行研究②で作成された認定診断書の改定案および作成要領案の最終調整として、先行研究②のアンケート調査で得られた日本児童青年精神医学会医師会員の意見をもとに研究班で討議を行い、必要な修正、改訂を行った。

2.等級判定ガイドライン素案の作成
 障害基礎年金の精神の障害に係る等級判定ガイドラインを参考にするために,年金局に文面での質疑応答を行った。さらに、先行研究②におけるサンプル調査で得られたデータをもとに,等級判定ガイドライン素案の作成を行った。
結果と考察
1.認定診断書改定案および作成要領案の最終調整
 先行研究②で実施された日本児童青年精神医学会の医師会員626名を対象としたサンプル調査で寄せられた意見を踏まえ,6回の研究会議を行い,研究代表者,研究分担者,研究協力者が議論を重ねて,認定診断書改定案および作成要領案の微細な修正を行った。修正は主として文言等に関するものであり,診断医の記載結果および認定医の等級判定への影響はないと考えられた。

2.等級判定ガイドライン素案の作成
 年金局に文面での質疑応答を行い、判定表作成に関する方針を定めた。
 先行研究②において「日常生活能力の判定」の評価と「障害のため要する援助の程度」の評価がどのような組み合わせの場合に各模擬症例がどの程度の重症度であったかを分析し、その組み合わせを参考に等級認定の目安となる判定表を作成した。
 さらに、判定表が独り歩きしないよう、診断書記載内容から「考慮する要素」を定め、その他の情報等とあわせて総合評価することで障害等級の妥当性を確認することを、明記することにした。
 「日常生活能力の判定」の内容から「日常生活総合スコア」を求めると、先行研究②で実施した調査における模擬症例において、「日常生活総合スコア区分」と「障害のため要する援助の程度」の2つの指標の組み合わせが、各模擬症例の重症度の目安となることが明らかになった。
 この結果を踏まえて、「日常生活総合スコア区分」と「障害のため要する援助の程度」の組み合わせによる等級判定表案を作成した。
 障害基礎年金(精神の障害)の等級判定との整合性を保つために、障害基礎年金(精神の障害)の等級判定ガイドラインを参照しながら研究班で討議を行い、特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン素案の作成を開始した。具体的には,重症度のスコア化についての検討を行い,診断書に医師が記入した「障害のため要する援助の程度」と「日常生活能力の判定」の数値から,重症度の目安を算出する表の作成を行った。
結論
 先行研究で得られた結果を踏まえて,認定診断書改定案の最終調整および等級判定ガイドライン素案の作成に着手できた。次年度はガイドライン素案に基づいた判定の信頼性・妥当性を検証する予定である。適切な特別児童扶養手当認定のガイドラインの作成により,認定業務の地域格差が是正されることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,462,439円
人件費・謝金 2,152,792円
旅費 0円
その他 45,620円
間接経費 1,500,000円
合計 5,160,851円

備考

備考
コロナ禍の影響により、会議をすべてオンラインで行った。このため、当初計上していた旅費の支出がなかった。また、統計について外部業者に依頼を想定していたが、外部委託せずに研究分担者自らの統計処理で研究が遂行できた。このため、「その他」の支出が予定より少なかった。

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-