高次脳機能障害の診断基準の検討とその普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
202218031A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害の診断基準の検討とその普及啓発に関する研究
課題番号
22GC1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
三村 將(慶應義塾大学 医学部精神神経科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 村松 太郎(慶應義塾大学 医学部精神・神経科学教室)
  • 渡邉 修(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 高畑 圭輔(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構  量子生命・医学部門 量子医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療報酬請求や障害者手帳申請に直接かかわるICDが第11版として日本語版でも利用可能となる令和4年に向けて、高次脳機能障害者診断の再整理を行うことは意義が大きい。
臨床現場での高次脳機能障害の診断についてのデータを十分に収集したうえで、各領域に造詣の深い研究者が、高次脳機能障害の診断について包括的で十分な議論を行う場を構築する。高次脳機能障害の診断においては、頭部MRI、頭部CT、脳波などにより脳の器質的病変の存在が確認されることが診断基準に入っているが、明らかな脳損傷の機転があっても通常臨床で用いられる脳画像検査で特異的な所見が得られないことはしばしば経験する。このような例をどう扱うかはクリテイカルな問題であり、さらに精密かつ先端的な画像診断によって客観的所見を見出すことができるかも本研究の一つの目的である。また、そのようにしてもなお画像所見が得られないケースにおいて、高次脳機能障害の診断根拠を見出す精緻な神経心理学検査や評価法の検討・開発も行う。
研究方法
研究代表者の三村の統括の下に新たな高次脳機能障害診断基準ガイドラインの原案の実臨床における有用性と問題点を調査し、その結果に基づき洗練を重ね、新たな診断基準を完成する。その際、日本精神神経学会、日本高次脳機能障害学会、日本神経心理学会とも議論を重ねる。このとき特に注意すべき点は、高次脳機能障害の適切な診断閾値である。すなわち、学問的厳密さを過剰に重視して閾値を上げすぎれば、医療や福祉のサービスを本来受けるべき人々の多くが除外されてしまう。また、逆に閾値を下げて高次脳機能障害の概念を拡大しすぎれば、サービス提供の対象者が膨大となり、それは医療福祉財政にとって好ましくないのみならず、高次脳機能障害についての健全な研究も阻害することになる。よって、学問的妥当性を維持しつつ、適正なサービス配分に繋がるように、高次脳機能障害の概念を規定する。
結果と考察
近年、頭部外傷の慢性期脳病態を可視化する様々な脳画像検査法が開発されているが、それらが診断の客観的指標として有用であることが強く示唆された。この知見は、各種の文献レビューから見えてきた方向性、および医療現場から収集されたアンケート結果を総合し、より客観性のある洗練された診断手法の確立に繋がるものであると考えられると同時に、当事者への最も有益な支援を実現するための診断基準の作成が現実化している。
結論
令和4年版 新・高次脳機能障害診断基準ガイドライン案を作成することができた。今後はこの新・高次脳機能障害診断基準ガイドライン案について、関連学会を含め、広く関係諸機関にも周知して、パブリックコメントを得て、最終版とする予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-09-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,100,000円
(2)補助金確定額
8,006,278円
差引額 [(1)-(2)]
1,093,722円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,426,708円
人件費・謝金 3,545,209円
旅費 751,750円
その他 182,611円
間接経費 2,100,000円
合計 8,006,278円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-10-20
更新日
-