「重症クローン病患者に対するタクロリムス治療」に向けての臨床試験の実施に関する研究

文献情報

文献番号
200918027A
報告書区分
総括
研究課題名
「重症クローン病患者に対するタクロリムス治療」に向けての臨床試験の実施に関する研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 勉(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 仲瀬 裕志(京都大学 医学研究科)
  • 岡崎 和一(関西医科大学 内科学第三講座)
  • 伊藤 裕章((財)田附興風会医学研究所)
  • 佐藤 俊哉(京都大学 医学研究科)
  • 松田 文彦(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,621,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
クローン病(CD)に対するタクロリムスの保険適応承認を目標として、「重症CD患者に対するタクロリムス治療」の臨床試験を実施し、治療効果について質の高いエビデンスを得ることを目的とした。
研究方法
(1)最終的な臨床試験計画書を作成し、「京都大学医の倫理委員会」に提出し、承認を得た。
(2)本試験の開始が遅れたために、25例の難治性CD患者を対象に、パイロットスタデイをおこなった。目標トラフ値によって3群に分けてタクロリムスを投与し、60日目に評価した。
(3)倫理委員会の承認後、3例のCD患者のエントリーをおこなった。
結果と考察
(1)タクロリムスによるパイロットスタデイで、高トラフ群(11-15 ng/ml)
の有効例8/8 (100%)、また緩解例7/8 (87.5%) と、ともに高トラフ群で最も高い効果が得られた。また副次効果としてのステロイド減量効果も、高トラフ群で最も高く、60日目で全例ステロイド離脱が可能であった。副作用として、腎障害、高K血症、振戦が認められたが、重篤な副作用はなかった。
(2)3例のCD患者に対してタクロリムス(あるいはプラセボ)投与をおこなった。その結果タクロリムス投与群で4週後にCDAIスコアが著明に低下した。
(3)関係協力施設の協力を得て、患者の検体および臨床情報の収集を開始した。
結論
(1)「重症CD患者に対するタクロリムス治療」の臨床試験について、「京都大学医の倫理委員会」の承認をえた。
(2)パイロットスタデイとして、薬剤抵抗性のCD患者25例にタクロリムス治療をおこない、高トラッフ群において、すぐれた緩解導入、維持効果が確認された。また大きな副作用はみられなかった。
(3)難治性CD患者にタクロリムス投与の本試験を開始し、現時点でタクロリムスが効果的であることが認められた。
(4)多数のCD患者の検体収集をおこなった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-