摂食障害に対する標準的な治療方法 心理的アプローチと身体的アプローチ とその研修方法の開発及び普及に資する研究

文献情報

文献番号
202218021A
報告書区分
総括
研究課題名
摂食障害に対する標準的な治療方法 心理的アプローチと身体的アプローチ とその研修方法の開発及び普及に資する研究
課題番号
21GC1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中里 道子(学校法人国際医療福祉大学 医学部精神科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉内 一浩(東京大学 医学部附属病院)
  • 河合 啓介(国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院心療内科)
  • 作田 亮一(獨協医科大学医学部 越谷病院 子どものこころ診療センター)
  • 竹林 淳和(浜松医科大学 医学部)
  • 安藤 哲也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所行動医学研究部)
  • 原田 朋子(大阪公立大学 医学部)
  • 川崎 洋平(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 髙倉 修(九州大学病院 心療内科)
  • 細田 真澄(橘 真澄)(千葉大学 総合安全衛生管理機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国で摂食障害患者が標準的、適切な治療や支援を受けられるために、摂食障害に対する標準的な心理的アプローチと身体的アプローチの開発研究、多職種に対する治療マニュアルを作成し、多職種に対する研修システムを構築することである。本研究は、摂食障害の病期や疾患特有の病態に応じた標準的治療法の全国への普及を実現し、厚生労働省の摂食障害対策の推進に寄与し、国民の健康増進に貢献する。
研究方法
1.MANTRAランダム化研究:ANを対象に、マニュアル式モーズレイ神経性やせ症治療( MANTRA)を用いたランダム化比較試験(RCT)を実施する。
対象患者は、16歳以上65歳以下のAN患者, BMI,14kg/m2以上、目標症例数は、1群31名、2群で62名と設定した。介入群は、MANTRAを週1回、30週間で実施し、心理療法の質の担保のために治療者スーパービジョンを定期的に実施し、対照群は、通常の治療群(TAU)(心理教育、栄養療法等)。令和5年度にアウトカム評価を行う。主要評価項目は、治療開始から30週後のBMI(kg/m2)変化量、副次評価項目として、ED症状評価尺度の変化等とする。
2.ANに対するCBT-Eランダム化研究:ANを対象に、CBT-Eを用いたRCTを多施設共同研究で実施する。研究プロトコル作成、認知行動療法の基盤に沿ったCBT-E治療マニュアルを作成、介入群は、CBT-Eを、BMIの重症度に従って25セッションから40セッションで実施し、対照群は、通常の治療(TAU)を行う。主要評価項目は、治療開始から40週目のBMI(kg/m2)変化量, 副次評価項目として、ED症状評価尺度の変化等とした。3.ANの身体治療マニュアルの有用性に関する研究:海外の文献レビュー、治療ガイドラインを吟味し、身体治療マニュアルを作成する。4.小児摂食障害の治療と対応マニュアル作成及び検討に関する研究:小児期ED治療マニュアル作成WG、Family Based Therapy (FBT)マニュアル作成WG、教育と医療の連携マニュアル作成WGを構成し、小児初期治療マニュアル、FBTに基づく家族対応マニュアルを作成し、多職種を対象としたFBT研修会を開催する。各WGはそれぞれ連携、協力し、多職種研修システムの構築研究を行う。最終年度までに、多職種を対象に研修会を開催し、治療指針を全国に普及する。
結果と考察
1.モーズレイ神経性やせ症治療(MANTRA)ランダム化研究
令和4年度の組み入れ件数23例/62例, 有害事象なし、完遂例は、MANTRA群5例、TAU群3例の計8例、試験進捗中は9例であった。
2.ANに対する強化された認知行動療法(CBT-E)ランダム化研究
ANに対するCBT-Eランダム化研究のプロトコルを作成した。令和4年1月から症例登録を開始した。令和4年度の組入件数は、2例/56例となっている。現時点で有害事象は発生していない。
3.ANの身体治療マニュアルの有用性に関する検討
ANの身体治療に関する海外の文献レビュー、治療ガイドラインについて調査し、我が国の臨床に適し、かつ、成人期・若年期の異なる年齢層にも対応できる身体治療のマニュアルを作成した。作成に際して、身体的重症度を明確にし、重症度に応じた治療プログラムを作成、また、入院治療の達成目標(BMI)についても明記し、成人期・若年期の異なる年齢層にも対応できるプログラムとした。
4.小児摂食障害の治療と対応マニュアルの作成および検証
小児期ED治療マニュアル作成WGは、CQを作成、および各CQステートメントを作成、デルファイ法による質問フォームを作成した。FBTマニュアル作成WGはFBT研修の方法、内容について検討した、教育と医療の連携マニュアル作成WGは、全国の養護教諭約1200名に対し、小児摂食障害の学校での現状を調査した。

結論
 本研究は、わが国の摂食障害患者に対する標準的治療のエビデンスを実証し、治療の質の均てん化、多職種治療者の対応力の向上、摂食障害患者の健康増進、生活機能の向上に寄与する。今後、エビデンスに基づく身体治療マニュアルの作成およびその有効性・安全性の検証により、AN治療施設の増加と治療の均てん化が期待される。厚生労働省の摂食障害対策、医療連携体制の構築、摂食障害に対応可能な、切れ目のない地域包括ケアシステムの推進に貢献する。

公開日・更新日

公開日
2024-03-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202218021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,500,000円
(2)補助金確定額
13,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,000,000円
人件費・謝金 8,800,000円
旅費 335,000円
その他 250,000円
間接経費 3,115,000円
合計 13,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-03-27
更新日
-