NDDPX08の筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導臨床研究

文献情報

文献番号
200918025A
報告書区分
総括
研究課題名
NDDPX08の筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導臨床研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 穰衛(東海大学 医学部・基礎医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 吉井 文均(東海大学 医学部・内科学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位と下位の運動神経の変性脱落を特徴とする原因不明の難治性運動神経変性疾患であり、その治療法は未だ確立していない。ALS治療薬の開発はALS患者とその家族の肉体的、精神的、経済的負担を取り除き、生活の質の向上と医療保険費の軽減に大きく貢献するものである。
本臨床研究では、既存の神経疾患治療薬NDDPX08 (安全性ならびに知財保護等の観点からコードネーム使用)の孤発性および家族性ALS患者における安全性と臨床効果を検証し、ALS治療薬の早期開発を目的としている。
研究方法
本臨床研究では、臨床治験に準拠した臨床研究プロトコールと臨床研究コーディネーターによるモニタリングの導入、外部諮問・評価委員会「ALS治療計画評価委員会」および臨床研究事務局(東海大学)の設置のもと、臨床研究期間として66-98週間を計画し、多施設(東海大学付属病院、北里大学東病院、東邦大学大森医療センター)において偽薬対照を含むALS患者50名を対象とするリルゾール併用二重盲検試験を行う。
結果と考察
本臨床研究2年次は、臨床研究の進捗に伴って顕在化した改善点について、1)実施手順の改良、2)臨床研究計画の一部修正、3)データ解析法の新たな付加を行い、改訂版を各医療機関審査委員会に提出した。さらに、臨床研究の実施体制の強化を図った。研究初年度から2年次終了時点での本臨床研究参加被験者は21名(7名;観察期、4名;本登録(投薬開始)に至らず、10名;試験薬の段階的増量期間)である。これまでのところ憂慮すべき有害事象は観察されていない。
先行研究において、我々は酸化ストレス選択的に働く神経細胞防御因子NAIPを標的としてNDDPX08を選抜した。さらに、NDDPX08の新規薬理作用として、選択的酸化ストレス性神経細胞死抑制活性とALS(SOD1H46R)マウスへの発症後投与での顕著な症状改善と発症後生存期間延長効果を見出した。本臨床研究により、NDDPX08が孤発性および家族性のALS治療における有用なALS治療法となる可能性がある。
結論
本臨床研究参加被験者は現時点で21名であるが、臨床研究実施機関ごとに倫理委員会の承認基準が異なることや、平成21年4月に改訂・施行された臨床研究倫理指針への対応の遅れから臨床研究開始時期が大幅に遅れた医療機関もあり、本年度は被験者の登録数が伸びなかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-