就労系障害福祉サービスの支給決定プロセスにおける職業的なアセスメントを介した多機関連携のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202218018A
報告書区分
総括
研究課題名
就労系障害福祉サービスの支給決定プロセスにおける職業的なアセスメントを介した多機関連携のあり方に関する研究
課題番号
21GC1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
前原 和明(秋田大学 教育文化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 八重田 淳(筑波大学 人間系)
  • 縄岡 好晴(大妻女子大学人間関係学部)
  • 西尾 香織(小泉 香織)(帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科)
  • 後藤 由紀子(筑波技術大学 産業技術学部)
  • 大谷 博俊(鳴門教育大学大学院)
  • 山口 明日香(藤井 明日香)(高松大学 発達科学部)
  • 野崎 智仁(国際医療福祉大学 保健医療学部作業療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 障害者の職業的自立の促進に向けては、支援利用する障害者の希望や適性に応じた支援の提供を前提としつつ、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援といった就労系障害福祉サービス全体が一般企業への移行に向けた支援の必要性を共通認識することが必要不可欠である。そのためにも、障害福祉サービスの支給決定等の過程において、障害者に対して適切なアセスメントが実施され、その結果を障害者本人も含めた関係者が共有し、活用していくことが重要である。
 この研究では、支給決定に関連するプロセスにおいて効果的なアセスメントと多機関連携を実行していくことできる支援モデル及び情報を収集し、この収集された実践モデルを広く全国に周知し、研究成果を実践現場に還元することを目的とする。
研究方法
 アセスメントを介した連携促進に向けたモデル事例の収集を行った。令和4年度(研究1年目)に引き続き、2021年4月~2022年3月の期間において、全国11カ所の自立支援協議会等の団体に協力を頂き、地域におけるアセスメントに関連する多機関連携の取組みを実施した。この事例収集では、このような参与的かつ継続的に研究に研究者が関わるというアクションリサーチで得られたモデル事例を研究データとした。
 市区町村における就労アセスメントの実施実態調査については、全国の市区町村、計1741所に対して、就労アセスメントの実施実態(人数、日数、課題など)を把握するオンライン調査を実施した。
 就労移行支援事業所におけるアセスメントの実施実態調査については、全国の就労移行支援事業所、4096所に対して、就労アセスメントの実施実態(人数、日数、課題など)を把握するオンライン調査を実施した。
 これらの研究実施に際しては、研究代表者及び分担者の所属する組織が実施する研究倫理審査委員会等での承認を得た。また、研究対象者に対する人権権利上の配慮、不利益・危険性の排除や説明と同意(インフォームド・コンセント)を十分に行い、研究を実施した。
結果と考察
 市区町村における就労アセスメントの実施実態調査の結果、就労アセスメントの対象は知的障害者、実施機関は就労移行支援事業所、実施日数は1週間程度が最も多く選択された。課題として、就労移行支援事業所が少ないこと、就労アセスメントの形式化が確認できた。その一方で、就労アセスメント実施の効果として、対象者の状況理解、対象者のための支援の明確化、支援サービスの方向性の理解、共通理解の形成、対象者の希望の明確化があった。
 就労移行支援事業所におけるアセスメントの実施実態調査の結果、就労アセスメントを担う就労支援者の知識とスキルの不足が明らかになった。また、就労移行支援事業所のアセスメントに対する準備性の課題やアセスメント手続きが形式化し、計画立案や支援に活用されていないという状況が明らかになった。
 アセスメントを介した多機関連携の事例収集として、全国11地域におけるアセスメントを介した連携の取組についての事例収集を行った。事例では、まだまだ多機関連携の取組が十分に整備されていない準備段階にある地域から、多機関連携の取組が機能して新たな取組行っていく展開段階にある地域まで様々であった。また、都会部における連携を強めることが必要な地域、地方部の社会資源が少ない地域など状況が地域毎に大きく異なる中で、様々な取組を講じていた。これらの各地域の取組では、多機関連携の完成まで/構築の経過において、地域の他の支援機関の役割認識、アセスメントに関する共通理解の形成、共通のアセスメントツールの導入、定期的な情報交換、アセスメントに関する学びの機会、リーダーシップを発揮する支援機関の存在などのポイントがみられた。今後の就労選択支援制度を展開する際の多機関連携の取組の参考資料を得ることができた。
結論
 本研究では、全国11地域におけるアセスメントを介した多機関連携のモデル事例を収集し、実践事例集として整理した。この実践事例集は、今後の就労選択支援事業の実施に向けて各地域が取組を行っていく上で、どのような取組を、どのように実施すれば良いか等の見通しを提示し、実践現場において有用な参考資料となると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202218018B
報告書区分
総合
研究課題名
就労系障害福祉サービスの支給決定プロセスにおける職業的なアセスメントを介した多機関連携のあり方に関する研究
課題番号
21GC1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
前原 和明(秋田大学 教育文化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 八重田 淳(筑波大学 人間系)
  • 縄岡 好晴(大妻女子大学人間関係学部)
  • 西尾 香織(小泉 香織)(帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科)
  • 後藤 由紀子(筑波技術大学 産業技術学部)
  • 大谷 博俊(鳴門教育大学大学院)
  • 山口 明日香(藤井 明日香)(高松大学 発達科学部)
  • 野崎 智仁(国際医療福祉大学 保健医療学部作業療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 この研究では、支給決定に関連するプロセスにおいて効果的なアセスメントと多機関連携を実行していくためのモデル事例を収集し、この収集されたモデル事例を広く全国に周知し、研究成果を実践現場に還元することを目的とする。
研究方法
〈令和3年度:1年目〉
(1)アセスメントを介した連携促進に向けたモデル事例の収集
 2021年4月~2022年の3月の期間において、全国11カ所における実践を実施した。

(2)アセスメントの内容に関する研究
 米国のアセスメントツールであるIntake Assessment and Outcome Evaluation (IAOE)を用いて、2021年10月15日~2021年11月19日の期間に、全国の障害者就業・生活支援センター336所に対して、郵送調査を行った。

(3)知的障害当事者の社会参加に対するニーズ調査
 2022年1月14日~2月10日の期間で、知的障害児・者の共同体である秋田市手をつなぐ育成会の会員世帯316世帯に調査を行った。IAOEの項目に対するニーズを調査するとともに、社会参加や現状に関する自由回答を求めた。

〈令和4年度:2年目〉
(1)多機関連携のモデル事例収集及び事例集の作成
 全国11カ所の自立支援協議会等の団体に協力を頂き、地域におけるアセスメントに関連する多機関連携の取組みを実施しつつ、事例収集を行った。得られた事例は、その内容を分析し、実践事例として整理した。最終的に、この実践事例は、研究成果物である実践事例集として整理した。

(2)市区町村及び就労移行支援事業所に対する就労アセスメントの実態調査
 市区町村における就労アセスメントの実施実態調査については、全国の市区町村、計1741所に対して、就労アセスメントの実施実態(人数、日数、課題など)を把握するオンライン調査を実施した。
 また、就労移行支援事業所におけるアセスメントの実施実態調査については、全国の就労移行支援事業所、4096所に対して、就労アセスメントの実施実態(人数、日数、課題など)を把握するオンライン調査を行った。
結果と考察
〈令和3年度:1年目〉
(1)アセスメントを介した連携促進に向けたモデル事例の収集
 様々な地域毎の特徴等の異なる取組が収集された。モデル事例を収集していくことは、今後の研究成果の実践現場に還元する際に、実践現場における取組のに対する悩み等を解消するための多様な視点を事例として提供できると考えられた。

(2)アセスメントの内容に関する研究
 職業リハビリテーションの従事者は、障害特性に応じて、的確にアセスメントを実行している状況が確認できた。また、この研究の結果は、障害特性に応じたアセスメントの内容のポイントを示したこと、職場内のスーパーヴィジョン等の関わりの必要性を示した。

(3)知的障害当事者の社会参加に対するニーズ調査
 当事者は、親亡き後も視野にいれた生活面での自立等の支援ニーズが高くあることが考えられた。また、調査を通じて、当事者は、一般企業での就労に向けた支援の見通しが持てていない現状や支援ニーズを考慮したら必要となると考えられる情報を十分に得ることができていない現状があると考えられた。

〈令和4年度:2年目〉
(1)多機関連携のモデル事例収集及び実践事例集の作成
 各地域の取組では、地域の他の支援機関の役割認識、アセスメントに関する共通理解の形成、共通のアセスメントツールの導入、定期的な情報交換、アセスメントに関する学びの機会、リーダーシップを発揮する支援機関の存在などのポイントがみられた。これらの分析された事例から実践事例集を作成した。この実践事例集は、今後の就労選択支援制度を展開する際の多機関連携の取組の参考資料となると考えられた。

(2)市区町村及び就労移行支援事業所に対する就労アセスメントの実態調査
 市区町村における就労アセスメントの実施実態調査の結果、就労アセスメントの対象は知的障害者、実施機関は就労移行支援事業所、実施日数は1週間程度が最も多く選択された。課題として、就労移行支援事業所が少ないこと、就労アセスメントの形式化が確認できた。
 就労移行支援事業所におけるアセスメントの実施実態調査の結果、アセスメントに対する準備性の課題やアセスメント手続きが形式化し、計画立案や支援に活用されていないという状況が明らかになった。
結論
 本研究では、就労アセスメントに関する基礎的なデータを得ることができた。これまで就労アセスメントに関する調査研究は十分になされておらず、今後の就労アセスメントを中心的手法として実施される就労選択支援事業の実施に向けた基礎的なデータを得ることができた。また、アセスメントを介した多機関連携の実践を行い、実践事例集として整理した。これは、今後の多機関連携に向けて有用な資料となることが期待できた。

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202218018C

収支報告書

文献番号
202218018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,668,048円
人件費・謝金 512,500円
旅費 525,924円
その他 1,922,944円
間接経費 1,384,000円
合計 6,013,416円

備考

備考
研究分担者において、自己資金、合計 13,416円が発生したため。

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
2024-03-27