新規治療法が開発された小児希少難病の疫学調査と長期フォローアップ体制の確立

文献情報

文献番号
200918022A
報告書区分
総括
研究課題名
新規治療法が開発された小児希少難病の疫学調査と長期フォローアップ体制の確立
課題番号
H20-臨床研究・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤文夫(熊本大学大学院医学薬学研究部小児科学分野)
  • 中村公俊(熊本大学大学院医学薬学研究部小児科学分野)
  • 田中あけみ(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 鈴木康之(岐阜大学医学部医学教育開発研究センター)
  • 加藤俊一(東海大学医学部基盤診療学系)
  • 掛江直子(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
33,105,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
酵素補充療法が実用化された希少疾患の我が国における実情と高額医療を適正な実施に資するために以下の項目を検討した。(1)血液ろ紙検体を利用したファブリー病の新生児マススクリーニング実施し、診断率の向上をはかる。(2)ポンペ病への治療効果をFIM(Functional Independence Measure)スコアを用いて評価する。(3)ムコ多糖II型について造血幹細胞移植に関する長期観察データを収集し、酵素補充療法と比較する。(4)日本人ムコ多糖IV型の自然歴調査を行い、酵素補充療法国際共同治験に日本が参加できるための基礎資料とする。
研究方法
(1)α-ガラクトシダーゼAに対する特異抗体を用いた方法(固相化プレート法)で、新生児マススクリーニングパイロット研究を行った。(2)12人のポンペ病患者を対象にFIMスコアによる酵素補充療法の治療効果を検討した。(3)造血幹細胞移植登録されたムコ多糖症Ⅱ型患者に対して2次アンケートを行い、臨床データの集積・解析をする多施設共同調査研究を行った。(4)日本人ムコ多糖症IV型患者の実態把握のために3131施設を対象に全国調査を行った。
結果と考察
(1)ろ紙血を用いた新生児マススクリーニングにより、新生児約182,000名中33名の酵素活性の異常低値者が明らかになった。(2)FIMスコアを用いたポンペ病酵素補充療法の効果判定12名のポンペ病患者より回答があった。FIMスコア合計を検討した結果、スコア上昇が8例、不変3例、低下1例であった(3)全国のムコ多糖症II型造血幹細胞移植症例から、IQ/DQ、日常生活動作(ADL)、身長、肝脾腫、心機能、呼吸機能、関節可動域、頭部MRIの項目を検討した。すべての項目である程度の効果が認められ、ADL、心機能、頭部MRIでは症状が発現する以前に移植することで治療効果が認められた。(4)ムコ多糖症IV型患者の身体発育に関して、昨年度の調査例と過去の診断例をあわせて検討した。その結果、本邦のムコ多糖症IV型患者の身体発育は低年齢から顕著であり、成人時には全例が健常者の成長曲線の-3SDをはるかに下回っていた。

結論
ファブリ病の新生児スクリーニング法を確立した。FIMスコアを用いたポンペ病の治療効果の検討が可能であった。ムコ多糖症II型の骨髄移植の実情の把握し、酵素補充療法との比較検討を開始した。ムコ多糖症IV型患者の身体発育の自然歴を得た。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-