障害分野の研修及び実地教育(OJT)の効果の検証及び効果的な実施のための要因解明のための研究

文献情報

文献番号
202218015A
報告書区分
総括
研究課題名
障害分野の研修及び実地教育(OJT)の効果の検証及び効果的な実施のための要因解明のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21GC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 温(筑波大学 人間系)
研究分担者(所属機関)
  • 相馬 大祐(福井県立大学 看護福祉学部社会福祉学科)
  • 鈴木 敏彦(和泉短期大学 児童福祉学科)
  • 大村 美保(筑波大学人間系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は相談支援専門員の法定研修(初任研修、現任研修、主任研修)における研修内容と実地教育の効果の検証と効果的な実施の要因の解明及びその知見をもとに障害福祉分野における実践者に対する実地教育への一般化を目的とする。次の4つの研究目的を設定した。①研修内容、カリキュラムからみた研修効果視点の検討、②法定研修及び実地教育の効果的な実施の要因の解明、③実地教育の研修評価法の開発、④効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアル等の開発。2022年度の研究では、このうち、③実地教育の研修評価法の開発(アウトカム評価:研修事前・事後比較、プロセス評価:研修参加者の変化、ストラクチャー評価:実施環境と実施組織体制)と④効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアル等の作成を行った。
研究方法
実地教育の研修評価法の開発では、以下の手続きで研究を進めた。現任研修及び主任研修の受講者を対象に質問紙調査を実施した。現任研修、主任研修ともに複数の都道府県の受講者を対象にした。質問項目は2021年度に実施した項目を使用し、研修前と研修後の回答内容を比較した。また、2021年度に実施した都道府県への質問紙調査の自由記述の分析を行った。効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアルの作成では、研究代表者、研究分担者(3名)に加えて、福井県、長野県、埼玉県の初任者研修、現任者研修、主任研修の実地教育に関わる関係者(5名)および都道府県・市町村行政で法定研修の企画、推進に関わる行政関係者(県関係者1名、市関係者1名)により、検討委員会を組織し、そこで実地教育の実施マニュアルの内容を検討した。
結果と考察
質問紙調査の研究結果から、受講者及びその地域の相談支援専門員の変化を把握し、実地教育従事者のコンピテンシーの確認、実地教育従事者養成研修のカリキュラムの妥当性と研修効果の有効性を把握した。
検討委員会において、実地教育マニュアルに必要な記載事項に関して検討を行った。その結果、以下の内容に留意し作成した。実地教育マニュアルの目的は次の4点に整理することができた。①初任者研修と現任研修の実習ガイドラインを円滑に遂行するため、②主任研修修了者に対して実地教育を通して、主任相談支援専門員に必要なコンピテンスを十分発揮できるため、③実地教育指導者のコンピテンスの確認とそのコンピテンスを十分発揮できるため、④実地教育指導者のコンピテンスが十分発揮できる体制・組織・環境の整備のため。本マニュアルの対象者については、第1層の対象者として、法定研修の受講者の実地教育、修了者に対するフォローアップとしての実地教育の担い手、それを支える第2層の対象者としての実地教育の場の指導・運営者、さらに第3層の対象者として人材育成の方向性や実地教育の地域基盤整備にかかわる実地教育の企画運営者の3層の構造による実地教育の重層的な実施の整理を行った。また、それぞれの対象に応じて実地教育指導の内容を検討した。
結論
本研究では実地教育従事者養成研修を実施して、調査結果をもとに、その効果を考えることで、これまでの研究で得られている実地教育従事者のコンピテンシー及び実地教育従事者養成研修のカリキュラム案について検討を深めた。あわせて、実地教育を円滑に指導するためのマニュアルの基本的な考え方を整理した。

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202218015B
報告書区分
総合
研究課題名
障害分野の研修及び実地教育(OJT)の効果の検証及び効果的な実施のための要因解明のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21GC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 温(筑波大学 人間系)
研究分担者(所属機関)
  • 相馬 大祐(福井県立大学 看護福祉学部社会福祉学科)
  • 鈴木 敏彦(和泉短期大学 児童福祉学科)
  • 大村 美保(筑波大学人間系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は相談支援専門員の法定研修(初任研修、現任研修、主任研修)における研修内容と実地教育の効果の検証と効果的な実施の要因の解明及びその知見をもとに障害福祉分野における実践者に対する実地教育への一般化を目的とする。次の4つの研究目的を設定した。①研修内容、カリキュラムからみた研修効果視点の検討、②法定研修及び実地教育の効果的な実施の要因の解明、③実地教育の研修評価法の開発、④効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアル等の開発。2021年度の研究では、①研修内容、カリキュラムからみた研修効果視点の検討と②法定研修及び実地教育の効果的な実施の要因の解明を行った。2022年度の研究では、③実地教育の研修評価法の開発(アウトカム評価:研修事前・事後比較、プロセス評価:研修参加者の変化、ストラクチャー評価:実施環境と実施組織体制)と④効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアル等の作成を行った。
研究方法
①の研究では、実地教育指導者養成研修の受講者(30名)を選定しモデル研修を実施し、受講者に対して、研修参加の前後の習熟度を前後のデータの比較によって検討した。②の研究では、法定研修における実地教育を行っている都道府県(47都道府県)・政令市(2政令市)の研修担当者に対して質問紙調査を行い、実地教育を行う上での現状と課題を把握し、法定研修及び実地教育の効果的な実施の要因に関して検討した。③の研究では、現任研修及び主任研修の受講者を対象に質問紙調査を実施した。現任研修、主任研修ともに複数の都道府県の受講者を対象にした。質問項目は①の研究で実施した項目を使用し、研修前と研修後の回答内容を比較した。また、①の研究で実施した都道府県への質問紙調査の自由記述の分析をあわせて行った。④の研究では、研究代表者と分担者(3名)に加えて、福井県、長野県、埼玉県の初任者研修、現任者研修、主任研修の実地教育に関わる関係者(5名)および都道府県・市町村行政で法定研修の企画、推進に関わる行政関係者(県関係者1名、市関係者1名)により、検討委員会を組織し、実地教育の実施マニュアルの考え方と内容を検討した。
結果と考察
研修内容、カリキュラムからみた研修効果視点の検討では、カークパトリックの「4レベル評価モデル」を参考に考察した。受講者を対象にした研究では、振り返りシートの分析を行った。これは受講前と後での知識等の変化を把握するものであり、レベル2「学習」に位置づき、効果的な研修であったかを評価するものと言える。次に、質問紙調査の分析では、実施した実地教育の内容、実地教育従事者のコンピテンシーの評価、謙虚なリーダーシップ尺度、スーパービジョンスキル評価指標にて、複数の項目において研修前後で優位な差が認められた。これらはレベル3「行動」における変化と言え、受講者自身の行動に何らかの変化がみられた。特に研修後に新たな実地教育に取り組んだ者が複数いることから、本研修の効果として、行動変容が起きていることが示唆された。法定研修及び実地教育の効果的な実施の要因の解明では、初任者研修、現任研修においては、実地教育が法定研修カリキュラムに位置づけられていることから、基幹相談支援センターと主任相談支援専門員の果たしている役割の重要性が都道府県・政令市担当者調査から示された。これに対して、主任相談支援専門員研修では、研修内のカリキュラムでは明確に位置づけられていないことから、自治体によって、どの時点で実地研修を行うのか、さらに、研修後のフォローアップとして行うのか明確でないことから実地研修の位置づけに混乱がみられた。実地教育の研修評価法の開発では、2021年度研究の結果を踏まえ、2022年度では、法定研修での受講者の変化の把握を試みた。結果として、2021年度の研究と同様に、レベル3「行動」の変化として、質問紙調査の結果から、現任研修、主任研修の受講者のコンピテンシー等の変化を把握することができた。効果的な法定研修及び実地教育の実施マニュアルの作成では、実地教育を円滑に遂行するために、基幹相談支援センター、市町村行政、都道府県行政のそれぞれの果たす役割の整理とそれぞれの役割に応じた取り組みの重要性が明らかになった。
結論
実地教育従事者養成研修において、受講者及びその地域の相談支援専門員の変化を把握することにより、実地教育従事者のコンピテンシー、実地教育従事者養成研修のカリキュラム案及び教材を深化させ、研修効果の視点とその有効性を示した。実地教育マニュアルの作成に関しては、検討委員会の中での議論を踏まえた上で、その構成および必要な内容を検討して、基本的な骨子を作成することができた。

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202218015C

収支報告書

文献番号
202218015Z