小児悪性固形腫瘍領域における体系的な臨床試験実施に基づく適応外医薬品の臨床導入の妥当性検討に関する研究

文献情報

文献番号
200918020A
報告書区分
総括
研究課題名
小児悪性固形腫瘍領域における体系的な臨床試験実施に基づく適応外医薬品の臨床導入の妥当性検討に関する研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院 第二領域外来部 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 康英(慶應義塾大学医学部 小児外科)
  • 金子 道夫(筑波大学 人間総合科学研究科病態制御医学 小児外科)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野)
  • 福澤 正洋(大阪大学大学院 医学系研究科 外科学講座 小児成育外科)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
  • 檜山 英三(広島大学自然科学研究支援開発センター)
  • 正木 英一(国立成育医療センター 放射線診断部)
  • 大喜多 肇(成育医療センター研究所 発生・分化研究部 機能分化研究室)
  • 森田 智視(横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床統計学・疫学分野)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター研究所 RI管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
48,890,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、小児悪性固形腫瘍(以下、小児がん)領域において、治療上特に問題になる再発腫瘍患者を対象に、適応外薬剤を含む新規併用化学療法の臨床試験を体系的に実施することによって、臨床導入の妥当性を検討する事である。これによって、希少かつ多様な病態を持つがん種を含み、再発後も適切な治療を行うことで長期に生存し得る小児がんの患者に対し、各がん種および治療歴に基づく最適な治療を行い得る医療提供体制を整えることを目標とする。
研究方法
小児固形がん臨床試験共同機構内で、各小児がん種の薬剤開発の方向性の議論を行い、科学的に妥当な治療開発を進めるため、モデルケースとして適応外薬剤を含む臨床試験4つを含む合計6つの臨床試験を企画、実施する。
(1)再発小児固形腫瘍に対する低侵襲性外来治療としてのビノレルビン+シクロホスファミド対テモゾロミド+エトポシドランダム化第II相臨床試験
(2)転移性小児固形腫瘍に対する大量化学療法を含む集学的治療法の第II相臨床試験
(3)再発小児がんに対するgefitinib、irinotecan併用療法(Ir2療法)のpilot試験
(4)難治性/再発小児がんを対象としたbevacizumab + irinotecan併用療法の実行可能性試験
(5)進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家末梢血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相臨床試験
(6)限局性ユーイング肉腫に対する標準的治療の第II相臨床試験
結果と考察
臨床試験1:2010年1月より臨床試験を開始した。臨床試験2:臨床試験デザインについて、ベイズ流試験デザインを応用し、成人用量を事前情報として小児用量を推定する新たな手法を考案した。臨床試験3:東京都立駒込病院の単施設臨床試験としてこれまでに3症例を登録し、臨床的な改善を経験した。臨床試験4:大阪市立総合医療センターの単施設臨床試験として、これまでに7症例を登録した。臨床試験5:2008年10月に合計37例の登録で登録終了とし、現在追跡中である。臨床試験6:平成19年5月に53例にて登録終了し、現在追跡中である。後者(ユーイング肉腫)に関しては、従来生存率が30-40%代にとどまっていたが、この臨床試験の登録例では、観察期間は短いものの、推定3年全生存割合が77%を示しており、試験治療の有効性が示唆される。
結論
適応外薬剤を含む新規併用化学療法の臨床導入の妥当性を検討するための臨床試験を複数実施すると共に、従来から継続する初発患者を対象とした2つの臨床試験の症例追跡を行い、データ管理を継続した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
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