文献情報
文献番号
200918019A
報告書区分
総括
研究課題名
重症川崎病患者に対する免疫グロブリン・ステロイド初期併用投与の効果を検討する前方視的無作為化比較試験
課題番号
H20-臨床研究・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐地 勉(東邦大学医療センター 大森病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 森川 昭廣(社会福祉法人希望の家附属 北関東アレルギー研究所)
- 小林 徹(群馬大学医学部附属病院 小児科)
- 荒川 浩一(群馬大学医学部附属病院 小児科)
- 中村 哲也(群馬大学医学部附属病院臨床試験部)
- 小川 俊一(日本医科大学付属病院 小児科)
- 竹内 一夫(埼玉大学 教育学部)
- 浜岡 建城(京都府立医科大学 医学系研究科 発達循環病態学)
- 原 寿郎(九州大学大学院 医学研究院 成長発達医学分野)
- 市田 蕗子(富山大学 医学部 小児科)
- 阿部 淳(国立成育医療センター研究所 )
- 野村 裕一(鹿児島大学 小児発達病態分野)
- 三浦 大(東京都立清瀬小児病院循環器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
52,549,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
発見後40年を迎えた川崎病は免疫グロブリン(IVIG)療法が開発されて以来25年近くが経過したが、よくデザインされた臨床試験は全く行われずに経過してきたのが現状である。
我々は急性期の重症患者を層別化し、冠動脈瘤発症の減少を主な目的とした我国で最初の大規模臨床研究を計画した。
我々は急性期の重症患者を層別化し、冠動脈瘤発症の減少を主な目的とした我国で最初の大規模臨床研究を計画した。
研究方法
多施設共同前方視的無作為化比較試験を選択した。対象はRisk Scoreを算出し、重症例を層別化したIVIG抵抗例(無反応例)とした。重症群に通常の治療薬であるIVIGとIVIG+プレドニゾロン(PSL)初期併用療法の2群を設定し、割付のばらつきを少なくするよう「最小化法」を用いて動的無作為割付を行い新規治療法の優越性を検証した。
Primary endpointは1ヵ月後の冠動脈病変合併頻度とし、PROBE法を用いてendpointの盲検化を行う。検定に必要な目標症例数を重症川崎病症例392症例と設定し、entry率を40%と仮定すると研究期間3年として年間症例数は約1000例が必要と推測した。
無作為割付にはUMIN INDICEを利用した。研究者むけHP、MLの構築を行い一般用HPも作成した。患者説明用DVD、心エコー撮影者用検査マニュアルDVD、疾患説明用DVDも作成し、entry率の向上と研究自体の理解度の向上を目指した。
Primary endpointは1ヵ月後の冠動脈病変合併頻度とし、PROBE法を用いてendpointの盲検化を行う。検定に必要な目標症例数を重症川崎病症例392症例と設定し、entry率を40%と仮定すると研究期間3年として年間症例数は約1000例が必要と推測した。
無作為割付にはUMIN INDICEを利用した。研究者むけHP、MLの構築を行い一般用HPも作成した。患者説明用DVD、心エコー撮影者用検査マニュアルDVD、疾患説明用DVDも作成し、entry率の向上と研究自体の理解度の向上を目指した。
結果と考察
現時点で全国の小児科研修施設で46以上が参加し、これまでに22施設から37症例が既にentryされた。順調に症例数が増加している。中間解析は、1年後で概ね症例数が約300を越えた時点で行うと計画した。
重症例、不応例の層別化には、サイトカイン・ケモカイン・接着因子、内皮細胞関連マーカーの動態が、一般臨床データに加えて今後はさらに重要であると推測された。またこれまで、統一化されていなかった冠動脈病変の重症度の基準を設定できたことは、今後の研究に極めて有用である。
重症例、不応例の層別化には、サイトカイン・ケモカイン・接着因子、内皮細胞関連マーカーの動態が、一般臨床データに加えて今後はさらに重要であると推測された。またこれまで、統一化されていなかった冠動脈病変の重症度の基準を設定できたことは、今後の研究に極めて有用である。
結論
計画にほぼ準ずる形で実際の臨床試験を開始する事が可能であった。このような大規模無作為化比較試験はこれまでに小児領域、とくに乳幼児を対象とした状況では困難と考えられていたが、比較的問題なく継続できると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
-