臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験

文献情報

文献番号
200918015A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 津川 浩一郎(聖路加国際病院 乳腺外科)
  • 岩田 広治(愛知県がんセンター 中央病院)
  • 大野 真司(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター)
  • 元村 和由(地方独立行政法人 大坂府立病院機構 大坂府立成人病センター)
  • 秋山 太(財団法人癌研究会 癌研究所)
  • 徳田 安春(水戸協同病院内筑波大学附属水戸地域医療教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,068,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
センチネルリンパ節生検は、腋窩郭清に比べ、患側上肢の運動障害やリンパ浮腫などの合併症が少ない低侵襲な手術であり、標準治療として、さらに多くの施設に普及することが望まれている。
しかしながら、我が国で使用する色素やRIが、保険適応外のため、手技自身の保険適応が得られなかった。そのために、全国どこでも行える手技とはなっておらず、医療の均てん化という点からも問題となっていた。従って、本研究では、我が国で広く使用されている色素、RIを用いた場合の、安全性と同定率に関して、高度医療評価制度のもとで前向きに検討することとした。

研究方法
本試験は,日本で使用される色素,RIの安全性をPrimary endpointとし、さらに同定率が欧米の成績と差がないことを検証することをSecondary endpointとした。対象は、Tis-T3N0M0,stage0〜IIIAの乳癌とした。使用した色素は、インドシアニングリーンもしくは、インジゴカルミン,RIとしては、スズコロイド或いはフチン酸,アイソトープ核種は99mTcを用い,色素法,アイソトープ法および併用法によるSLN生検について、安全性および同定率を評価した。
欧米で標準的に使用している色素(イソスルファンブルー)での、重度アレルギー反応(アナフィラキシーショック等)の頻度は0.5?1.1%、また、同定率93%と報告されており、それらをもとに、設定症例数は、色素法単独で300例以上、色素+RI併用法で300例以上、最終的には合わせて、最低1600例の症例集積を予定し、症例集積期間は2年間とした。
結果と考察
2010.10末の最終登録数は、予想をはるかに上回る10000例を超え、全体の同定率は98.4%,方法別では色素法単独97.6%,色素・RI併用99.0%と、欧米論文から設定した同定率93%を上回った。また、色素によるGradeIII,IVの重篤な副作用は,全く認められず、Grade Iに相当する一過性の皮疹を3例(0.02%)認めるのみであった。
結論
 我が国で使用可能な色素、RIでのセンチネルリンパ節生検は、いずれも海外の大規模臨床研究の成績を上回る良好な同定率を示し、また、極めて安全性の高い薬剤であることが示された。本研究結果をもとに、使用薬剤の保険適応拡大および同手技の保険収載がなされた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200918015B
報告書区分
総合
研究課題名
臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 津川 浩一郎(聖路加国際病院 乳腺外科)
  • 岩田 広治(愛知県癌センター 中央病院)
  • 大野 真司(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター)
  • 元村 和由(独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター)
  • 秋山 太(財団法人癌研究会 癌研究所)
  • 徳田 安春(水戸協同病院内筑波大学病院附属水戸地域医療教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
センチネルリンパ節生検は、腋窩郭清に比べ、患側上肢の運動障害やリンパ浮腫などの合併症が少ない低侵襲な手術であり、標準治療として、さらに多くの施設に普及することが望まれている。
しかしながら、我が国で使用する色素やRIが、保険適応外のため、手技自身の保険適応が得られなかった。そのために、全国どこでも行える手技とはなっておらず、医療の均てん化という点からも問題となっていた。従って、本研究では、我が国で広く使用されている色素、RIを用いた場合の、安全性と同定率に関して、高度医療評価制度のもとで前向きに検討することとした。
研究方法
本試験は,日本で使用される色素,RIの安全性をPrimary endpointとし、さらに同定率が欧米の成績と差がないことを検証することをSecondary endpointとした。対象は、Tis-T3N0M0,stage0〜IIIAの乳癌とした。使用した色素は、インドシアニングリーンもしくは、インジゴカルミン,RIとしては、スズコロイド或いはフチン酸,アイソトープ核種は99mTcを用い,色素法,アイソトープ法および併用法によるSLN生検について、安全性および同定率を評価した。
欧米で標準的に使用している色素(イソスルファンブルー)での、重度アレルギー反応(アナフィラキシーショック等)の頻度は0.5~1.1%、また、同定率93%と報告されており、それらをもとに、設定症例数は、色素法単独で300例以上、色素+RI併用法で300例以上、最終的には合わせて、最低1600例の症例集積を予定し、症例集積期間は2年間とした。
結果と考察
2010.10末の最終登録数は、予想をはるかに上回る10000例を超え、全体の同定率は98.4%,方法別では色素法単独97.6%,色素・RI併用99.0%と、欧米論文から設定した同定率93%を上回った。また、色素によるGradeIII,IVの重篤な副作用は,全く認められず、Grade Iに相当する一過性の皮疹を3例(0.02%)認めるのみであった。
結論
我が国で使用可能な色素、RIでのセンチネルリンパ節生検は、いずれも海外の大規模臨床研究の成績を上回る良好な同定率を示し、また、極めて安全性の高い薬剤であることが示された。本研究結果をもとに、使用薬剤の保険適応拡大および同手技の保険収載がなされた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
既に他領域では使用されているものの、センチネルリンパ節生検での臨床データがなかったため、本研究により有効性(同定率)と安全性が示され、色素2種及びRI2種の保険適用拡大が認められた。
臨床的観点からの成果
不要なリンパ節郭清を減らすことで述語のリンパ浮腫や上肢挙上困難を低減する等患者のQOL向上に寄与する。同手技の保険適用により全国に普及することが期待され、がん診療の均てん化に貢献する。
ガイドライン等の開発
H21.5.12高度医療評価会議にて、試験の結果が報告され、使用薬剤の適応拡大に関し、公知申請がなされた。その結果、色素2種及びRI2種の保険適用拡大に関し、薬事承認が得られ、 H21.9.10の先進医療専門家会議において、それまでの第3項先進医療から、第2項先進医療に移行した。なお、①本検査法に十分な知識と経験を有する医師のもとで、実施が適切と判断される症例において実施すること②症例の選択にあたっては、最新の関連ガイドラインを参照し、適応について十分な検討を行うことが付記された。
その他行政的観点からの成果
色素とRIの保険適用拡大に関する薬事承認が得られた(H.21.9)
センチネルリンパ節生検の手技も、保険適応となった、(H.22.4)
その他のインパクト
H22.3.13臨床研究シンポジウム(厚生労働科学研究成果発表会:於日本医師会館)において成果の発表を行った。日本乳癌学会総会、会員向けニュースレターにて、逐次経過報告を行った。その内容の一部は、医療関連の新聞、雑誌等でも適宜報道された。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
1)臨床研究シンポジウム、H22.3.13、東京. 2)第17回日本乳癌学会学術総会、H22.7.3-4、東京. にてそれぞれ発表した。  
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中村清吾、津川浩一郎、岩田広治、他
センチネルリンパ節生検に対する多施設共同臨床確認試験における安全性と同定率に関する報告
乳癌の臨床 , 24 (2) , 271-277  (2009)
原著論文2
津川浩一郎、中村清吾
センチネルリンパ節生検に関する全国アンケート調査結果と今後の展望 ―臨床確認試験から保険適応承認に向けて―
乳癌の臨床 , 24 (2) , 265-270  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-