有痛性悪性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験に関する研究

文献情報

文献番号
200918011A
報告書区分
総括
研究課題名
有痛性悪性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松井 修(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 浩(九州大学大学院医学研究院)
  • 櫛橋 民生(昭和大学横浜市北部病院)
  • 小林 信雄(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,003,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有痛性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験を行うことにより、その臨床的有効性と安全性を評価するものである。
研究方法
JIVROSGにて臨床試験を行う。症例登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)内のホームページ (http://jivrosg.umin.jp/)の研究者限定サイトからのオンライン登録とする。
【エンドポイント】Primary endpoint:臨床的有効性の評価。Secondary endpoint:有害事象の発現頻度と程度の評価。【症例選択規準】以下の条件を満たす症例。①悪性腫瘍の転移や原発性腫瘍による胸椎、腰椎、あるいは骨盤骨の病変と診断されている。②①による疼痛が強く日常生活の行動に制限が生じている、あるいは骨折の危険性から運動制限が医師から指示されている。③主要臓器(骨髄、心、肝、肺、腎など)の機能が保持されている。④P.S. (ECOG):0,1,2,3。⑤4週間以上の生存が見込める。⑥年齢20歳以上である。⑦患者本人から文書による同意が得られている。【治療】X線透視下またはCTガイド下に経皮的に骨セメント注入針を病巣部へ刺入し、透視下に骨セメントを注入する。【評価方法】有害事象についてはCTCAE v3.0を用い、有効性については、薬物療法の影響を排除したVAS値の変化により評価する。【予定登録数と研究期間】予定登録数:33例。登録期間:17ヶ月。追跡期間:登録終了後3ヶ月。総研究期間:20ヶ月。平成20年6月より症例登録開始。
結果と考察
①平成22年5月までに28例の症例集積を行った。
②これまでのところ重篤な有害事象の発生は認めていない。
③予定症例数まで到達していないため、現在、症例集積を継続中である。
④登録はUMINのサイトを利用し、データの信頼性を高めるために、データマネージメントを専門的に行う外部組織に委託して運用している。
⑤定期的なモニタリングと年2回の全体会議を開催し、試験の進行について議論を行った。
⑥症例登録はあと5例のところまで到達しており、平成23年度中に症例登録の完了、データ解析、公表を行う予定である。
結論
がん患者のQOL向上をめざしたIVR技術の開発として、多施設共同研究組織JIVROSGにより臨床試験JIVROSG-703「有痛性悪性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験」を行った。本年度は、昨年度からの症例登録を継続し、15例(計28例)の症例を集積した。現在症例集積を継続中であり、平成22年度中の症例登録完了ならびに研究総括を予定している。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200918011B
報告書区分
総合
研究課題名
有痛性悪性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松井 修(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 浩(九州大学大学院医学研究院)
  • 櫛橋 民生(昭和大学横浜市北部病院)
  • 小林 信雄(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有痛性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験を行うことにより、その臨床的有効性と安全性を評価するものである。
研究方法
JIVROSGにて臨床試験を行う。症例登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)内のホームページ (http://jivrosg.umin.jp/)の研究者限定サイトからのオンライン登録とする。
【エンドポイント】Primary endpoint:臨床的有効性の評価。Secondary endpoint:有害事象の発現頻度と程度の評価。【症例選択規準】以下の条件を満たす症例。①悪性腫瘍の転移や原発性腫瘍による胸椎、腰椎、あるいは骨盤骨の病変と診断されている。②①による疼痛が強く日常生活の行動に制限が生じている、あるいは骨折の危険性から運動制限が医師から指示されている。③主要臓器(骨髄、心、肝、肺、腎など)の機能が保持されている。④P.S. (ECOG):0,1,2,3。⑤4週間以上の生存が見込める。⑥年齢20歳以上である。⑦患者本人から文書による同意が得られている。【治療】X線透視下またはCTガイド下に経皮的に骨セメント注入針を病巣部へ刺入し、透視下に骨セメントを注入する。【評価方法】有害事象についてはCTCAE v3.0を用い、有効性については、薬物療法の影響を排除したVAS値の変化により評価する。【予定登録数と研究期間】予定登録数:33例。登録期間:17ヶ月。追跡期間:登録終了後3ヶ月。総研究期間:20ヶ月。平成20年6月より症例登録開始。
結果と考察
平成19年度に試験プロトコールの検討と確定を行い、平成20年6月に症例登録を開始し、平成22年5月までに予定登録数33例中28例の症例集積を完了した。また、定期的なモニタリングと年2回の全体会議を開催し、試験の進行について議論を行った。現在、症例集積途中であるため、現時点で当該治療法の評価に言及するのは時期尚早であるが、これまでのところ重篤な有害事象の発生は認めていない。予定よりも症例集積の遅れがあるが、あと5例のところまで到達しており、一定のペースで症例登録は進んでいるため、平成22度中に全症例登録を完了し、データの解析ならびに結果公表を行えるものと考えている。
結論
がん患者のQOL向上をめざしたIVR技術の開発として、多施設共同研究組織JIVROSGにより臨床試験JIVROSG-703「有痛性悪性骨腫瘍に対する経皮的骨形成術についての第Ⅱ相臨床試験」を行った。これまでに28例の症例登録を完了し、現在症例集積を継続中である。平成22年度中の全症例登録完了ならびに研究総括を予定している。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
IVRはQOLを考慮したがん治療を行う上でその有用性に大きな期待が持たれているが、これまで臨床試験による評価はほとんどない。本研究で多施設共同臨床試験により緩和IVRの評価を行ったことは、先進的で意義の大きなものである。また、医師が自主的に行う多施設共同臨床試験はデータマネージメントの維持に大きな問題を有していたが、今回、外部専門組織にアウトソーシングする方法に試験基盤を整備したことはこの種の臨床試験の質の向上、データの信頼性の向上、公的研究費の有効利用の上で極めて大きな進歩であると考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究は未だ臨床的に満足できる治療法が確立していない骨腫瘍による疼痛に対する新たな治療オプションとして期待されている経皮的骨形成術について臨床試験による科学的な評価を与えるものである。この研究により本治療法の臨床的有効性、安全性に関するエビデンスが示されれば、当該症例における標準的治療法の一つとして導入される道を拓くことになり、我が国における有痛性骨腫瘍に対する治療法が進歩するとともに、担癌患者のQOL向上に大きく寄与することが期待される。
ガイドライン等の開発
ガイドラインの開発は行っていないが、本研究で定めた症例選択の適格基準、除外基準というものは、今後、有痛性骨腫瘍に対する経皮的椎体形成術を行う上での一つの基準になるものと考えられる。また、本研究で定めたプロトコール治療手技も、本治療における標準的手技になるものと考えられる。
その他行政的観点からの成果
有効なIVRを臨床現場に効率的に導入するためには、機器ならびに手技の行政からの承認と診療報酬上の適正な処理が必須であり、本臨床試験がもともと「臨床的な使用確認試験」として計画され、行われることは極めて大きな意義をもつものであると考えられる。こうした臨床試験により緩和IVRに科学的な評価を与え、将来的に保険診療としての認可につなげられれば、進行癌患者の臨床症状の改善、特にQOL向上に繋がる治療体系を確立する上で極めて有用なものであると考えられる。
その他のインパクト
平成22年5月第39回日本IVR学会総会もおいて「緩和医療とIVR」・「椎体形成術とEBM」のシンポジウムが開催された。平成21年10月第45回日本医学放射線学会秋季臨床大会では「IVRのエビデンスを求めて」のシンポジウムが開催された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-