痴呆性疾患の生活機能維持のための訓練療法に関する研究―く初期症例の症状進行抑制を目標にー

文献情報

文献番号
199700600A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性疾患の生活機能維持のための訓練療法に関する研究―く初期症例の症状進行抑制を目標にー
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
林 茂信(国立療養所犀潟病院長)
研究分担者(所属機関)
  • 田中政春(三島病院院長)
  • 川室優(川室記念病院理事長)
  • 金子満雄(浜松医療センター副院長)
  • 近藤喜代太郎(放送大学教授)
  • 寺尾心一(愛知医大第四内科講師)
  • 山田孝(秋田医療短大教授)
  • 山崎英樹(国療南花巻病院院長)
  • 田伏薫(国療松籟荘院長)
  • 高松淳一(国療菊池病院臨床研究部長)
  • 遠藤英俊(国療中部病院医長)
  • 宇野正威(精神神経センター武蔵病院副院長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成7(1995)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 痴呆のごく初期状態の症状進行抑制、生活機能維持、悪化防止、情動安定、残存機能温存の具体的方法を開発する。
研究方法
 対象は(1)GDS3,4、HDS-R 16点以上、(2)HDS-R 8~22、(3)HDS-R 16~24、かなひろいテスト年齢標準以上、(4)自覚的物忘れ症例、(5)IADLの障害など。訓練の動機付け、脳血管性痴呆の縦断的評価、アルツハイマー進行要因の分析等広義の訓練療法、短期・集中介入法、外来通院精神療法、音楽療法、紙芝居療法、集団精神療法、感覚統合的アプローチ、手段的ADL法、脳活性化訓練、脳リハビリ合宿訓練等狭義の訓練療法である。
結果と考察
 初期痴呆では,HDS-R MMSEの年間得点低下率1.3程度と緩やか(武蔵)で,生活能力は日常生活・運動機能・脳機能活性化(趣味・教養)が健常者より低下(犀潟)し,手段的日常生活動作(電話,食事準備,買物,洗濯,掃除,服薬金銭管理)が障害され(中部),家にこもりがち(愛知医大)で, 家族の介護に問題があり(武蔵,三島,浜松),SDSでうつ気分を認める(南花巻),などが指摘された。訓練や介入では,紙芝居での見当識や記憶の改善,意欲や感情の賦活(菊池),4こま漫画によるIADL改善(中部),デイケアでの生活能力の劣る領域への介入(犀潟),デイケアによる脳機能活性化(近藤,浜松),レクレーション(三島),回想・家族カウンセリング・動作療法(趣味,料理,買い物;三島),集団精神療法(川室),音楽療法(松籟荘),感覚統合療法(秋田)が実施され,短期的に痴呆症状の進行抑止,生活機能維持が認められた。
極軽度痴呆の症状進行は、訓練療法で短期間抑制される。今後は(1)ATD,CVDの極初期の定義統一、(2)研究目的の整理、(3)評価方法の統一、(4)訓練療法の指定―デイケア、遊技,、感覚統合、動作療法、生活能力維持、(5)効果の評価方法の統一等があり、更に検討する必要がある。
結論
 3年の全体計画の中で、初年度は予備研究、2、3年目で研究成果を出すことにしたが、最終年度の本年は、研究結果の検証や症例数の点でまだ問題がみられるも、広義・狭義にわたり、具体的な訓練療法が開発された。このいくつかは今後さらに評価検討され、広く実施されることを期待する。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)