類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法に関する研究

文献情報

文献番号
200918009A
報告書区分
総括
研究課題名
類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 啓吾(群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
  • 篠崎 哲也(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 村山 貞之(琉球大学 医学部)
  • 曽根 美雪(岩手医科大学 附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,003,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Interventional radiology(以下IVR)は画像誘導下に経皮的手技により治療を行うものであり、その迅速性、低侵襲性から、特にQOLを考慮した治療における高い有効性が期待されている。しかし客観的データに乏しく、標準的治療として導入するためのエビデンスが不十分なことが多い。本研究は、日本腫瘍IVRグループ(JIVROSG)にて「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法についての第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(JIVROSG-0704)」として立案して「臨床的な使用確認試験」として行うことにより、多施設においてその安全性と臨床的有効性を評価するものである。
研究方法
主任研究者および分担研究者にて以下の項目について研究を行った。
1.類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験に関する研究(遠藤啓吾)
2.ラジオ波凝固療法の誘導画像に関する研究(名井陽)
3. 類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法の有効性・安全性に関する研究(篠崎哲也)
4. ラジオ波凝固療法の有害事象に関する研究(村山貞之)
5. 臨床試験症例登録システムに関する研究(曽根美雪)
結果と考察
研究結果は以下の如くである。
1.(遠藤) 平成20年4月より症例登録が開始され、平成22年3月までに全21症例が登録された。報告書が回収された15症例のうち、治療後4週目の有効性判定にて、全15症例が著効と判定された。
2.(名井)フルオロナビゲーションシステムによる本治療の有効性について確認された。
3.(篠崎)いずれの症例とも合併症は見られなかった。術直後より術前に存在していた疼痛や違和感が消失し、翌朝より通常歩行で退院となった。
4.(村山)2009年に発表された文献では約104例の報告のうち93例では1回のRFA治療で疼痛が消失した。9例では持続するあるいは再発する痛みを認めたが、2回目のRFA治療で消失した。
5.(曽根)登録予定症例数は、21例であった。4施設より21例が登録され、登録に伴うトラブルはみられなかった。
結論
「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法」は、IVR治療に精通した施設および術者が行うと、安全で有効性の高い治療であることが示された。また、「ラジオ波凝固療法の誘導画像・有害事象」「臨床試験登録システム」について研究することにより、本法の技術・安全性および臨床試験の基盤を強化することが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200918009B
報告書区分
総合
研究課題名
類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 啓吾(群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
  • 篠崎 哲也(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 村山 貞之(琉球大学 医学部)
  • 曽根 美雪(岩手医科大学 附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Interventional radiology(以下IVR)は、その迅速性、低侵襲性から、高い有効性が期待されている。しかし客観的データに乏しく、承認の下に標準的治療として導入するためのエビデンスが不十分なことが多い。本研究は、日本腫瘍IVRグループ(JIVROSG)にて「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法についての第I/II相臨床試験(JIVROSG-0704)」として立案して「臨床的な使用確認試験」として行うことにより、その安全性と臨床的有効性を評価するものである。
研究方法
平成19年度に臨床試験の立案を行い、平成20年度に臨床試験の症例登録を開始、平成21年度までに症例登録の完了と結果の解析を行った。JIVROSGにて臨床試験の立案を行ったが、試験の概要は以下の如くである。プライマリエンドポイント:安全性の評価。セカンダリエンドポイント:臨床的有効性の評価。有害事象の発現頻度と程度。(症例選択規準)1.臨床的あるいは画像診断上、類骨骨腫であると診断された。2.標的病変(nidus)がCTにより描出可能である。3.手術(外科的切除)適応外あるいは手術を希望していない。4.類骨骨腫に伴う疼痛を緩和するために鎮痛剤を内服している。5.主要臓器機能が保たれている。6.P.S. (ECOG):0,1,2 7.患者本人もしくは代諾者から文書による同意が得られている。(治療)画像ガイド下に経皮的にラジオ波電極針を腫瘍に穿刺し、腫瘍に対してラジオ波による凝固療法を施行する。(評価方法)有害事象及び有効性の鎮痛剤使用量とVAS値の変化により評価する。(予定登録数と研究期間)予定登録数:21例。登録期間:24ヶ月。追跡期間:登録終了後3ヶ月。総研究期間:27ヶ月。
結果と考察
<平成19年度>
分担研究者と共にラジオ波凝固療法に関する研究を行い、臨床試験のプロトコールを作成した。
<平成20年度>
プロトコールに基づき、平成21年3月までに本試験の第I相部分である9症例が登録された。
<平成21年度>
平成22年3月までに全21症例が登録された。報告書が回収された15症例のうち、治療後4週目の有効性判定にて、全15症例が著効(鎮痛剤の増量なしにVAS値が2未満もしくは5以上低下)と判定された。試験中止に至る重篤な合併症の報告はなかった。
結論
多施設共同研究組織にて「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法についての第I/II相臨床試験」のプロトコールを立案・策定し、これに基づいて症例登録を行い完了した。本法は、IVR治療に精通した施設および術者が行う限り、安全で有効性の高い治療であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法」は1990年代前半に米国にて開発された。それ以来、欧米ではこの治療に対する様々な報告がなされ、治療効果は76-100%、合併症発生率も3%以下と従来の治療法である「外科的切除術」と比較しても遜色ないものであった。しかしこの治療法に対する前向き臨床試験についての報告はなく、本研究の結果が公表されれば世界初の本治療に対する前向き臨床試験となり、本治療のエビデンス確立に大きく寄与すると考えられる。
臨床的観点からの成果
「類骨骨腫に対するラジオ波凝固療法」は欧米では標準的治療法として認められているが、本邦においては依然として「外科的切除術」や「薬剤による疼痛コントロール」が主な治療法となっている。本研究を公表することにより本法あるいはアジア地域など本治療に対する認識が低い国でも本治療が普及されることが期待され、これにより類骨骨腫患者に治療の選択肢が増え、より良い治療を享受できるようになると考えられる。
ガイドライン等の開発
「類骨骨腫」は骨腫瘍の中でも比較的稀な病気であり、その診断ガイドラインは本邦および欧米各国でも確立されていない。また、その治療法に関するガイドラインも確立していない。本研究は本治療に対する世界初の前向き臨床試験であり、この研究成果により類骨骨腫に対する診断・治療ガイドライン確立へ向けての一つのステップとなる可能性がある。
その他行政的観点からの成果
「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法」は欧米ではすでに標準治療法として米国FDAの認可なども受けているが、本邦においては保険収載もなく治療機器の薬事法承認も受けておらず、「先進医療」などにより治療を行っている状況である。そのため、本研究は、今後本治療の保険収載や治療機器の薬事法承認する上での根拠となりうる。
その他のインパクト
「類骨骨腫に対する経皮的ラジオ波凝固療法」は本邦において整形外科医や放射線科医からの認識が低いのが現状である。我々は国内の放射線科学会やインターベンショナルラジオロジー(IVR)学会また地域の研究会などや国内のIVR学会誌などで本治療を紹介することで、放射線科医や整形外科医に本治療についての啓蒙活動を行っている。また、インターネットのホームページ上でも本治療の紹介を行い、広く国民に向けても宣伝活動を行っている。

発表件数

原著論文(和文)
63件
原著論文(英文等)
37件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
56件
学会発表(国際学会等)
13件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-