腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法

文献情報

文献番号
200918008A
報告書区分
総括
研究課題名
腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法
課題番号
H19-臨床試験・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線医学)
研究分担者(所属機関)
  • 郷原 英夫(岡山大学病院 放射線科)
  • 森下 博之(京都第一赤十字病院 放射線科)
  • 山本 孝信(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 三木 恒治(京都府立大学大学院医学研究科 泌尿器科学)
  • 加地 辰美(防衛医科大学校 放射線医学講座)
  • 山門 亨一郎(三重大学 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,003,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腎癌は増加を続けており、偶然発見された小腎癌でさえも高齢、低腎心肺機能などにより根治的な治療法である外科的切除が施行できないことも少なくない。
腎ラジオ波焼灼術(RFA)は経皮的に行う低侵襲なInterventional radiology(以下IVR)手技による治療法であり、前述の手術不能患者においても適用可能な手技である。本研究により腎悪性腫瘍に対するRFAの有効性および安全性を科学的に評価し、低侵襲治療としてのRFAを標準的治療として導入するためのエビデンスを得るのが目的である。
研究方法
がん治療におけるIVR臨床試験組織JIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group)により臨床試験を行った。
 Primary endpointを安全性の評価とし、CTCAE ver3.0を用いて評価する。secondary endpointを臨床的有効性とし、造影CTでの造影効果の消失をもって評価する。さらに安全性評価を目的とする第Ⅰ相試験の方法については、3例を一段階として4週の観察期間をおき、重篤な有害事象頻度1/3以下を確認後次段階に進み、3段階9例の終了時点で第Ⅱ相試験に進むための安全性を最終評価する方法を採用した。予定登録数:33例。
結果と考察
一昨年4月より症例登録を開始した。現在予定の33例の登録が終了し、全例4週間の経過観察も終了した。重篤な有害事象は1例も見られなかった。再発が1例で報告されているが、その他については再発の報告はない。
低侵襲治療とされるIVRについては、特にQOLを考慮したがん治療を行う上で、その有用性に大きな期待が持たれているが、海外も含めこれまで臨床試験による評価はほとんどない。このため、本研究にて行われている多施設共同臨床試験による評価は、先進的であり、かつ意義の大きなものと考えられる。
本年度は予定数の症例登録終了しが実際に開始され、第一相試験部が終了した。今後は効果判定会議を開催し、CRFの回収と共にデータ解析と報告を行う予定である。
結論
腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法の有効性と安全性を検証する臨床試験を計画、症例登録を終了した。現時点までの結果では高い安全性、有効性が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200918008B
報告書区分
総合
研究課題名
腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法
課題番号
H19-臨床試験・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線医学)
研究分担者(所属機関)
  • 郷原 英夫(岡山大学病院 放射線科)
  • 森下 博之(京都第一赤十字病院 放射線科)
  • 山本 孝信(栃木県立がんセンター画像診断部)
  • 三木 恒治(京都府立医科大学大学院医学研究科 泌尿器科学)
  • 加地 辰美(防衛医科大学校放射線医学講座)
  • 山門亨一郎(三重大学放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Interventional radiology(以下IVR)は画像誘導下に経皮的手技により治療を行うものであり、その迅速性、低侵襲性から、がん治療、特にQOLを考慮したがん治療における高い有効性が期待されている。一方腎癌は増加を続けており、偶然発見された小腎癌でさえも高齢、低腎心肺機能などにより根治的な治療法である外科的切除が施行できないことも少なくない。
腎ラジオ波焼灼術(RFA)は低侵襲な治療法であり、前記の手術不能患者においても
適用可能な手技である。本研究により腎悪性腫瘍に対するRFAの有効性および安全性を科学的に評価し、低侵襲治療としてのRFAを標準的治療として導入するためのエビデンスを得るのが目的である。
研究方法
 がん治療におけるIVR臨床試験組織JIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group)により臨床試験を行った。構成は、参加研究組織52施設(日本IVR学会認定専門医所属)、グループ代表者1名(国立がんセンター中央病院 荒井保明)、プロトコール委員11名、効果・安全性評価委員会4名(Medical Oncologist 2名、日本IVR学会認定指導医2名)、統計顧問1名(生物統計学専門家)である。症例登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)内のホームページ (http://jivrosg.umin.jp/)の研究者限定サイトからのオンライン登録とした。また、臨床試験の実施方法はJCOG(Japan Clinical Oncology Group)における臨床試験を雛形とした。
結果と考察
(平成19年)Primary endpointは安全性、Secondary endpointは臨床的有効性となった。参加施設数27、予定症例数33となった。
(平成20年)平成20年度には9例の登録が行われた。3×3法での第I相試験が重篤な副作用なしに終了した。プロトコール逸脱などは認めなかった。
(平成21年)平成22年3月末までで予定の33例の登録が終了し、4週間の経過観察も終了した。しかし中央効果判定会議は開催できず、最終的な効果判定は行えなかった。CRF回収も終了しなかったため、安全性についても最終報告は行えなかった。報告義務のある再発は1例で、重篤なあるいは予期せぬ有害事象の報告はなかった。
結論
腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法の安全性と有効性を検証した。今後は早期に効果判定会議を開催し、CRFの回収と共に最終結果の集計、公表を行っていくことになった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
JIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group)にて腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼術の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を医師主導で行った。本治療の臨床試験は世界的に見ても例がなく、意義深いと思われる。
臨床的観点からの成果
第Ⅰ相試験部分は9症例までを3×3法で行ったが、重篤な有害事象は1例もなかった。その後第Ⅱ相試験に移行した。症例登録は終了したが、効果判定会議は未開催であり有効性の検証は行えなかった。しかし第Ⅰ相試験部分を含めて重篤な有害事象の報告はなく、安全性についてはある程度検証されたといえる。
ガイドライン等の開発
プロトコール作成はJIVROSGの平成19年8月のプロトコール委員会で専門家を含めた複数の委員の合議で決定され、さらに全体会議での承認を得た。プロトコールには適応、除外項目、観察項目、予想される有害事象などが決定された。
その他行政的観点からの成果
本治療法は高度先進医療あるいは時限的先進医療技術として行われていたが,2008年3月をもってこの措置が終了するため,予め申請のなされた施設で「臨床的な使用確認試験」を行う旨が2007年8月16日に通達された。本研究は「臨床的な使用確認試験」としてJIVROSGにて行われたという意味がある。
その他のインパクト
日本医師会治験促進センターによるHPに「腎悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼術」に関する内容が一般向けに公開されている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Arima K,Yamakado K,Kinbara H, et al,
Percutaneous radiofrequency ablation with transarterial embolization is useful for treatment of stage 1 renal cell carcinoma with surgical risk: results at 2-year mean follow up.
Int J Urol. , 14 (7) , 585-590  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-