文献情報
文献番号
202217006A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度認知障害の人における進行予防と精神心理的支援のための手引き作成と介入研究
課題番号
21GB1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 孝(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
- 島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター)
- 大塚 礼(国立長寿医療研究センター 老化疫学研究部)
- 大沢 愛子(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター リハビリテーション科部)
- 山田 実(筑波大学 人間系)
- 藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
- 清家 理(立命館大学 スポーツ健康科学部)
- 木下 文恵(名古屋大学 医学部附属病院)
- 山下 真里(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
- 鈴木 宏幸(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) 社会参加とヘルシーエイジング研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,368,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
軽度認知障害(MCI)は、認知症のハイリスク群であり、認知症への進行を予防するため、ライフスタイルの改善や精神的支援が必要である。現在、認知症への進行を抑止する薬剤はなく、進行遅延のための十分な指導を受けず、置き去りにされているケースがみられる。そこで本研究班は、MCIの進行予防のために2つの研究を行う。①手引きの作成:MCIの進行予防・心理的支援について文献調査を行い、エビデンスに基づいた手引きを作成、②手引きを用いた介入研究:MCIの人に対する手引きに沿った指導を12か月間行う介入研究により、手引きによる啓発と支援の実現可能性を検証し、認知機能や行動変容をアウトカムとした介入の効果を明らかにすることである。初年度は、MCI進行予防のための「手引きの作成」を中心に行った。2年目にあたる令和4年度は上半期に手引きの初版および関連資料を完成させた。並行して介入研究の準備を行い、9月より介入研究を開始している。
研究方法
介入研究では、愛知と神奈川の二か所において、MCI高齢者を対象とした12か月間のプログラムを行う。介入は動画やテキストを活用して標準化された60~75分間の運動(有酸素運動、筋力トレーニング、二十課題訓練)と15~30分間のグループワーク(手引きの読み合わせやMCIのための認知行動療法:GCBT for MCI)からなる。主要アウトカムは初回評価時点と12か月後評価時点までのMoCA-Jの変化量として解析を行う予定としている。
結果と考察
令和4年度の主たる成果はハンドブック初版およびその関連資材(生活ノートとアブストラクトテーブル集)の完成である。これらの成果は厚生労働省や国立長寿医療研究センターのwebサイトにて一般向けに広く展開している。また、9月から愛知県大府市と神奈川県川崎市で計画通り開始された介入研究も目標症例数を達成し、令和5年3月末時点では、36名のMCI高齢者を対象に介入プログラムを継続している。手引きの読み合わせを通してこれまでに69件の質問が参加者や補助員から寄せられ、手引きの改訂のための基礎資料として集積されている。
結論
MCI進行予防のための実践的な介入方法を提案すべく、「手引きの作成」と「手引きを用いた介入の効果判定」を2つの柱として遂行している。3年計画の2年目にあたる本年度は手引きの初版が完成し、手引きを用いた介入が開始された。介入研究を通して改訂のポイントを集積し、令和5年度における手引きの最終版の完成を目指す。
公開日・更新日
公開日
2023-07-27
更新日
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