胸部悪性腫瘍のラジオ波焼灼療法に関する研究

文献情報

文献番号
200918007A
報告書区分
総括
研究課題名
胸部悪性腫瘍のラジオ波焼灼療法に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
金澤 右(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線医学)
研究分担者(所属機関)
  • 郷原 英夫(岡山大学病院 放射線科)
  • 松岡 利幸(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 山下 康行(熊本大学大学院医学薬学研究部放射線診断分野)
  • 西村 恒彦(京都府立医科大学大学院医学研究科放射線診断治療学)
  • 松本 真一(兵庫県立がんセンター 放射線診断科)
  • 井上 武(国立病院機構四国がんセンター 放射線診断科)
  • 清水 匡(北海道大学医学部保健学科 放射線技術学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,521,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺癌は本邦の悪性新生物による死亡原因中、第一位であり、深刻な健康問題であるが、高齢、低心肺機能などにより根治的な治療法である外科的切除が施行できないことも少なくない。
肺ラジオ波焼灼術(RFA)は経皮的に行う低侵襲なInterventional radiology(以下IVR)手技の1つであり、前記の手術不能患者においても適用可能な手技である。本研究により肺悪性腫瘍に対するRFAの有効性および安全性を科学的に評価し、低侵襲治療としてのRFAのエビデンスを得るのが目的である。
研究方法
がん治療におけるIVR臨床試験組織JIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group)により臨床試験を行った。構成は、参加研究組織52施設(日本IVR学会認定専門医所属)、グループ代表者1名(国立がんセンター中央病院 荒井保明)、プロトコール委員11名、効果・安全性評価委員会4名(Medical Oncologist 2名、日本IVR学会認定指導医2名)、統計顧問1名(生物統計学専門家)である。症例登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)内のホームページ (http://jivrosg.umin.jp/)の研究者限定サイトからのオンライン登録とした。
 本年度は症例登録を継続し、予定症例の終了を行い、安全性と有効性について解析を行う。予定登録数:33例。

結果と考察
平成20年4月より症例登録を開始した。現在24例の登録が終了した。有害事象は軽度(Grade2
以下)の有害事象が5例に見られた。Grade3以上の重篤な有害事象はなかった。予定登録症例を終了できなかったため、効果判定会議、CRF回収も終了していない。低侵襲治療とされるIVRは、特にQOLを考慮したがん治療を行う上で、その有用性に大きな期待が持たれているが、海外も含めこれまで臨床試験による評価はほとんどない。このため、本研究にて行われている多施設共同臨床試験による評価は、先進的であり、かつ意義の大きなものと考えられる。
本年度は症例登録を継続し、現在まで24例の登録が行われている。結果の検証は時期尚早であり、今後の結果で最終的に判断する。今後は早期に予定登録症例の終了をめざして試験を継続し、終了後は速やかに効果判定会議、CRF回収などを経て結果を公表する予定である。
結論
胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法の有効性と安全性を中間解析した。安全性は高いことが示された。有効性の検証には症例が少なく時期尚早であった。今後も試験を継続する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200918007B
報告書区分
総合
研究課題名
胸部悪性腫瘍のラジオ波焼灼療法に関する研究
課題番号
H19-臨床試験・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
金澤 右(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線医学)
研究分担者(所属機関)
  • 郷原英夫(岡山大学病院 放射線科)
  • 松岡利幸(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 山下康行(熊本大学大学院医学薬学研究部放射線診断分野)
  • 西村恒彦(京都府立医科大学大学院医学研究科放射線治療学)
  • 松本真一(兵庫県立がんセンター 放射線診断科)
  • 井上 武(国立病院機構四国がんセンター がん検診科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年肺癌は本邦の悪性新生物による死亡原因の中で、男性、全体で第一位であり、深刻な健康問題である。
 肺ラジオ波焼灼術(RFA)は低侵襲な治療法であり、前記の手術不能患者においても適用可能な手技である。本研究により肺悪性腫瘍に対するRFAの有効性および安全性を科学的に評価し、低侵襲治療としてのRFAのエビデンスを得るのが目的である。
研究方法
がん治療におけるIVR臨床試験組織JIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group)により臨床試験を行った。構成は、参加研究組織52施設(日本IVR学会認定専門医所属)、グループ代表者1名(国立がんセンター中央病院 荒井保明)、プロトコール委員11名、効果・安全性評価委員会4名(Medical Oncologist 2名、日本IVR学会認定指導医2名)、統計顧問1名(生物統計学専門家)である。症例登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)内のホームページ (http://jivrosg.umin.jp/)の研究者限定サイトからのオンライン登録とした。また、臨床試験の実施方法はJCOG(Japan Clinical Oncology Group)における臨床試験を雛形とした。
結果と考察
(平成19年)Primary endpointは臨床的有効性、Secondary endpointは安全性となった。参加施設数27、予定症例数33となった。
(平成20年)12例の登録が行われた。プロトコール逸脱などは認めなかった。
(平成21年)平成22年3月末までで24例の登録が行われた。予定症例33例が終了しなかったため、中央港か判定会議は開催されず、最終的な効果判定は行えなかった。CRF回収も終了しなかったため、安全性についても最終報告は行えなかった。報告義務のある再発は1例で、grade2の予期せぬ有害事象の報告があった。
低侵襲治療とされるIVRについては、特にQOLを考慮したがん治療を行う上で、その有用性に大きな期待が持たれているが、海外も含めこれまで臨床試験による評価はほとんどない。このため、本研究にて行われている多施設共同臨床試験による評価は、先進的であり、かつ意義の大きなものと考えられる。
結論
胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法の有効性と安全性を検証した。今後も症例登録を重ね最終結果の集計、公表を行っていくことになった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
肺悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法の有効性と安全性について第II相臨床試験を多施設共同で、医師主導で行った。プロトコール作成から臨床試験を開始し、予定症例33例中23例の登録を行った。被験者の匿名性やデータのアウトソーシングなどを行った。
臨床的観点からの成果
JIVROSGにおけるプロトコール作成の過程で、本治療の適応、除外項目など臨床的な側面が決定されたことは意義深い。臨床試験が終了しておらず、臨床的有効性については現時点では評価できていない。しかしGrade3以上の有害事象の報告はなく、現時点で安全性についてはある程度検証されたものと思われる。
ガイドライン等の開発
ガイドラインの作成は行っていない。しかしプロトコール作成はJIVROSGのプロトコール委員会で専門家を含めた複数の委員の合議で決定され、さらに全体会議での承認を得ている。この過程で、適応症例、除外項目などの決定がなされた。本治療の基本的な適応決定には有用であったと考えられる。
その他行政的観点からの成果
本治療法は高度先進医療あるいは時限的先進医療技術として行われていたが,2008年3月をもってこの措置が終了するため,予め申請のなされた施設で「臨床的な使用確認試験」を行う旨が2007年8月16日に通達された。本研究は「臨床的な使用確認試験」としてJIVROSGにて行われたという意味がある。
その他のインパクト
平成22年3月13日(土)に、日本医師会館大講堂において臨床研究シンポジウムが行われ、セッションⅡ、臨床研究の現状で「胸部悪性腫瘍のラジオ波焼灼療法に関する研究」として発表を行った。要点、スライドが医師会HP上から公開されている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sano Y, Kanazawa S,Gobara H,et al.
Feasibility of Percutaneous Radiofrequency Ablation for Intrathoracic Malignancies. A Large Single-Center Experience.
CANCER , 109 (7) , 1397-1405  (2007)
原著論文2
Hiraki T,Gobara H,Iishi T, et al
Percutaneous Radiofrequency Ablation for Pulmonary Metastases from Colorectal Cancer: Midterm Results in 27 Patients.
J Vasc Interv Radiol. , 18 (10) , 1264-1269  (2007)
原著論文3
Higaki F,Okumura Y,Sato S, et al.
Preliminary retrospective investigation of FDG-PET/CT timing in follow-up of ablated lung tumor.
Ann Nucl Med. , 22 , 157-163  (2008)
原著論文4
Hiraki T,Mimura H,Gobara H, et al.
Repeat radiofrequency ablation for local progression of lung tumors: does it have a role in local tumor control?
J Vasc Interv Radiol. , 19 , 706-711  (2008)
原著論文5
Hiraki T,Gobara H,Mimura H, et al.
Does tumor type affect local control by radiofrequency ablation in the lungs?
Eur J Radiol , 74 , 136-141  (2010)
原著論文6
Sakurai J,Hiraki T,Gobara H, et al.
Radiofrequency  Ablation of Small Lung Metastases by a Single Application of a 2-cm Expandable Electrode: Determination of Favorable Responders
J Vasc Interv Radiol , 21 , 231-236  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-