筋過緊張に対するmuscle afferent block治療

文献情報

文献番号
200918004A
報告書区分
総括
研究課題名
筋過緊張に対するmuscle afferent block治療
課題番号
H19-臨床試験・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学 医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,489,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痙縮やジストニアなどの筋の過緊張を主体とする病態で歩行や日常生活動作の障害に悩む患者は多い。これに対して、従来はボツリヌス毒素製剤の筋注が用いられてきたが高価である。Muscle afferent block(MAB)は1995年に申請者らが開発した治療法であるが、その後他の海外をふくむ研究者からも報告され、とくに、ボツリヌス毒素製剤が購入できない開発途上国で実際に用いられている。本研究の目的は、1.痙性斜頚患者においてボツリヌス毒素製剤(BOTOX)とMAB法とのオープン比較試験を行い、2.ボツリヌス治擦の適応にならない舌ジストニアにおいてその有効性・安全性を検討し、3.ラット後肢において安全性を確認し、4.脳卒中後遺症の痙縮に対する安全性を確認することである。
研究方法
MAB法として1筋につき10?20ccの0.5%リドカインを、筋過緊張を来たす2?4筋に注射した。痙性斜頚37名(M27, age 21-81)において本法に関する十分な説明と同意を得た後、MAB法12名,低用量(100単位)BOTOX治療群11名,高用量(200単位)BOTOX治療群14名に無作為割り付けを行った。MAB法は毎週1回計4回、 BOTOXは1回の投与とし、開始後8週間臨床的重症度をTsui変法で評価した。舌ジストニア患者15名において前項と同じ手技でMAB法を舌筋に下顎下からのアプローチで10?15cc筋注し、月に1-2回の投与を行った。ラット50匹について後肢にMAB筋注1mlを行い反対側にはコントロールとして生食を1ml筋注した。注射1、7、28日後に筋組織の損傷の程度を、コントロール側と比較検討した。また、同意を得た数名の脳卒中後の痙縮患者に前項と同様にMAB法を施行し臨床的な安全性を確認した。
結果と考察
痙性斜頚においてMAB法によるボツリヌス治痕は小用量のBOTOX治癌の重症度改善に匹敵した。舌ジストニアでは5例中7例で日常生活上の支障がなくなるまでの症状の改善がみられた。ラットにおいて筋組織の破壊は軽微であり少なくとも4回までのMAB治療では永続する筋線維化は認められなかった。脳卒中後の痙縮患者への単回のMAB法では臨床的な有害事象はなかった。
結論
MAB法は痙性斜頚の治療において低用量(100単位)を用いた単回のBOTOX治療に匹敵する臨床効果があり、舌ジストニアの安全な治療法と言える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200918004B
報告書区分
総合
研究課題名
筋過緊張に対するmuscle afferent block治療
課題番号
H19-臨床試験・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学 医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痙縮やジストニアなどの筋の過緊張を主体とする病態で歩行や日常生活動作の障害に悩む患者は多い。これに対して、従来はボツリヌス毒素製剤の筋注が用いられてきたが高価である。Muscle afferent block(MAB)は1995年に申請者らが開発した治療法であるが、その後他の海外をふくむ研究者からも報告され、とくに、ボツリヌス毒素製剤が購入できない開発途上国で実際に用いられている。本研究の目的は、1.痙性斜頚患者においてボツリヌス毒素製剤(BOTOX)とMAB法とのオープン比較試験を行い、2.ボツリヌス治擦の適応にならない舌ジストニアにおいてその有効性・安全性を検討し、3.ラット後肢において安全性を確認し、4.脳卒中後遺症の痙縮に対する安全性を確認することである。
研究方法
MAB法として1筋につき10?20ccの0.5%リドカインを、筋過緊張を来たす2-4筋に注射した。痙性斜頚37名(M27, age 21-81)において本法に関する十分な説明と同意を得た後、MAB法12名,低用量(100単位)BOTOX治療群11名,高用量(200単位)BOTOX治療群14名に無作為割り付けを行った。MAB法は毎週1回計4回、 BOTOXは1回の投与とし、開始後8週間臨床的重症度をTsui変法で評価した。舌ジストニア患者15名において前項と同じ手技でMAB法を舌筋に下顎下からのアプローチで10-15cc筋注し、月に1-2回の投与を行った。ラット50匹について後肢にMAB筋注1mlを行い反対側にはコントロールとして生食を1ml筋注した。注射1、7、28日後に筋組織の損傷の程度を、コントロール側と比較検討した。また、同意を得た数名の脳卒中後の痙縮患者に前項と同様にMAB法を施行し臨床的な安全性を確認した。
結果と考察
痙性斜頚においてMAB法によるボツリヌス治痕は小用量のBOTOX治癌の重症度改善に匹敵した。舌ジストニアでは5例中7例で日常生活上の支障がなくなるまでの症状の改善がみられた。ラットにおいて筋組織の破壊は軽微であり少なくとも4回までのMAB治療では永続する筋線維化は認められなかった。脳卒中後の痙縮患者への単回のMAB法では臨床的な有害事象はなかった。
結論
MAB法は痙性斜頚の治療において低用量(100単位)を用いた単回のBOTOX治療に匹敵する臨床効果があり、舌ジストニアの安全な治療法と言える。脳卒中後遺症の痙縮へ使用できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918004C