シロリムスによるリンパ脈管筋腫症の第Ⅲ相国際共同臨床試験:MILES trial

文献情報

文献番号
200918002A
報告書区分
総括
研究課題名
シロリムスによるリンパ脈管筋腫症の第Ⅲ相国際共同臨床試験:MILES trial
課題番号
H19-臨床試験・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中田 光(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 義一(国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 吉澤 弘久(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 田澤 立之(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 高田 俊範(新潟大学 医歯学系 内部環境医学講座)
  • 寺田 正樹(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
  • 中山 秀章(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
54,003,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、LAM患者に対するシロリムスの有効性と安全性を検証し、薬事承認を目指す。
研究方法
本部は、シンシナティ小児病院メディカルセンターにあり、。日米加3カ国で合計11施設が試験に参加し、各施設に施設主任研究者がいる。データ技術コーディネイティングセンターがプロトコール、手順書などを各施設のスタッフに配信し、患者登録とデータ送信を行うためのEDC システムを作り、データ送信は全てEDCを通じてWeb上で行う。1年間のシロリムスまたは偽薬投与を行い、その後、1年間後観察する。1日2錠(1錠にシロリムス1mgを含む)を投与する。1年目には3ヶ月毎(肺活量のみ9ヶ月目に測定)、2年目には6ヶ月毎に肺機能検査を実施する。治療前一秒量のベースライン値に対する12ヶ月投薬後の一秒量の改善である。副次評価項目として、SF-36, SGRQなどのQOL, 肺活量、DLcoなどを含む精密肺機能、6分間歩行試験における歩行距離、定量的HRCT、血清VEGF-D値などである。
結果と考察
2008年5月に新潟が、6月に近畿が被験者を登録し、試験がスタートした。2009年8月10日の登録終了の時点で、新潟が6例、近畿が22例登録された。日米加3カ国では、111例が組み入れられ、22例が除外または、脱落し、うち89例が終了または、投薬中である。
新潟と近畿の有害事象は、2008年5月から2010年2月まで299件が報告された。09年11月に中間解析の条件である実薬20例、偽薬20例が1年間の服薬を終了したため、中間解析が行われ、DSMBが結果を審議し、10年2月25日に発表となった。その結果、① 試験全体の中止を余儀なくされるような重篤な副作用も認められなかった。② 実薬と偽薬群の一秒量の改善が有意水準0.002に達しなかった。
 以上から、DSMBは現在投薬を受けているすべての被験者が1年間の服薬を終える10年9月初旬まで試験は継続するように勧告した。
結論
リンパ脈管筋腫症にラパマイシン治療の第Ⅲ相国際多施設臨床試験に我が国から、新潟大学医歯学総合病院生命科学医療センターと近畿中央胸部疾患センターが参加し、08年5月より患者登録を開始し、09年8月までに28名を登録した。試験は、10年8月に終了し、11月までに最終解析結果が公表される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200918002B
報告書区分
総合
研究課題名
シロリムスによるリンパ脈管筋腫症の第Ⅲ相国際共同臨床試験:MILES trial
課題番号
H19-臨床試験・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中田 光(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 義一(国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 吉澤 弘久(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 田澤 立之(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 高田 俊範(新潟大学 医歯学系 内部環境医学講座)
  • 寺田 正樹(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
  • 中山 秀章(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis: LAM)は若年女性が罹患し進行性予後不良の難治性稀少疾患である(15年生存率68%)。本研究では、本邦の患者へのシロリムスの有効性と安全性を検証し、本邦における薬事承認を目指す。
研究方法
07年より1年間連日2mgの服用による肺一秒量の改善を主要評価項目として、日米加11施設が参加する第Ⅲ相国際共同臨床試験が開始された。米国フロリダにあるデータ技術コーディネイティングセンター(DTCC)が配信するEDCシステムにより、被験者は実薬と偽薬に割り振られ、各施設の責任医師はデータと有害事象を送信し、DTCCが解析する。我が国からは、新潟大学医歯学総合病院と近畿中央胸部疾患センターが参加した。
結果と考察
09年8月までに111例がエントリーされ、10年8月に終了、最終解析が行われる。新潟大学と近畿中央胸部疾患センターでも08年5月に開始され、09年8月までに28例が登録された。有害事象はこれまで新潟と近畿で127件確認されたがいずれも軽症であった。09年11月の時点で実薬・偽薬各20例のデータが中間解析され、10年2月に解析結果が公表された。試験中止の条件(p=0.006)に至らず、かつ重大な副作用が認められなかったとして、10年8月に全ての被験者が1年間の服薬を終えるまで、試験は継続されることとなった。
結論
リンパ脈管筋腫症にラパマイシン治療の第Ⅲ相国際多施設臨床試験に我が国から、新潟大学医歯学総合病院生命科学医療センターと近畿中央胸部疾患センターが参加し、08年5月より患者登録を開始し、09年8月までに28名を登録した。試験は、10年8月に終了し、11月までに最終解析結果が公表される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
一国のみでは、集学的研究が困難で、EBMが得られにくい稀少疾患の臨床試験を国際共同研究で行い、医師主導で実施しえた一例で、この形の臨床試験が今後の手本になると思われる。
臨床的観点からの成果
まだ、最終解析に至っていないが、これまで有効な治療が見出されていなかったリンパ脈管筋腫症に対する初めての第Ⅲ相の化学療法臨床試験である。プラセボ対象二重盲験試験で、2010年11月に結果が公表される。
ガイドライン等の開発
いまだに試験は継続中で、2010年11月に結果が公表され、FDAの承認を得る予定である。安全性、有効性が確認されれば、アメリカ胸部学会のガイドラインに一治療法として記載される予定である。
その他行政的観点からの成果
医師主導で行われている国際共同臨床試験で、モニタリング、プロトコールマネージメントなどどの部分をとってもGCP基準を満たしている。
その他のインパクト
年に二回の患者のためのLAM勉強会(東京と大阪で開催)で、本治療を取り上げており、毎回100~200名の患者や家族が参加している。

発表件数

原著論文(和文)
1件
林田、井上ら、日本呼吸器学会誌、46、2008
原著論文(英文等)
2件
Young L, Inoue Y, McCormack F, New Engl, J. Med. 199-200, 2008
その他論文(和文)
2件
中田、呼吸器科、15,393-400,2009
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
中田ら第50回日本呼吸器学会総会 ミニシンポジュウム
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
LAM勉強会(東京、大阪)2007-2009年

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
2015-06-16