LIFEを用いた介護領域における新たな研究デザインの提案のための研究

文献情報

文献番号
202216007A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFEを用いた介護領域における新たな研究デザインの提案のための研究
課題番号
22GA1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤野 善久(産業医科大学 医学部)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 得津 慶(産業医科大学 公衆衛生学)
  • 劉 寧(リュウ ネイ)(産業医科大学 医学部)
  • 松垣 竜太郎(産業医科大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 藤本 賢治(産業医科大学産業保健データサイエンスセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では近年運用が開始された科学的介護情報システム(LIFE)を、我が国発のエビデンス創出のためのデータベースとするための知見の整理や活用促進のための方法論の検討を行った。
研究方法
(1) 文献レビュー
LIFEデータを用いた研究デザインを考えるために国内外の論文のレビューを行った。
(2)  LIFEデータを用いた研究デザイン
 LIFEデータで検証可能な仮説の立案及び分析計画を作成するために、産業医科大学医学部公衆衛生学教室が保有する自治体の要介護認定及び介護レセプトのデータベースを用いてLIFEのダミーデータを下記の要領で作成し、ベンチマークシステムのモデルを作成した。
【ダミーデータの作成方法】
1. 介護レセプトデータより、2019年10月に介護老人保健施設に入所した高齢者について、入所前直近の介護認定調査票データを取得し、ADLと要介護度、性、年齢のデータを割り付けた。
2. 栄養ケアの課題の各項目、食事時の摂食・嚥下状況については、認定調査票の「2-3 えん下について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。」の評価を用いて、「1.できる 2.見守り等 3.できない」の3群ごとに乱数を発生させ、「なし」及び「あり」を割り付けた。具体的にはExcelの乱数関数を用いて、0-1の間の乱数を発生させ、「2-3 えん下について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。」の評価が「1.できる」の場合は、0.8以上を「1(あり)」、それ以外を「0(なし)」、「2.見守り等」の場合は0.5以上を「1(あり)」、それ以外を「0(なし)」、「3.できない」の場合は0.2以上を「1(あり)」、それ以外を「0(なし)」とした。口腔機能についても同様の手法でダミーデータを作成した。
結果と考察
LIFEの情報を用いて各施設のケアの質向上を目的としたPDCAサイクルを回すためのベンチマークシステムが構築できることをダミーデータを用いて示した。他方、このシステムがケアの質向上のための実務や研究に活用されるためには下記のような課題があることも明らかとなった。
・ 適切な比較のための状態像の選択ができる情報体系(性別、年齢階級別、要介護度別、傷病の有無別、ADLの課題別など)
・ プロセスに関する情報の追加とその標準コード化
・ 予防の視点からの評価指標およびそれを用いたベンチマーク手法の開発。そのために必要なデータ(主治医意見書、ケアプラン、介護レセプト、医療保険レセプト)との連結
・ 複数のサービスを利用している対象者における効果の評価モデルの検討
結論
一自治体の介護認定調査票及び介護保険レセプトを用いてLIFEのダミーデータを作成し、ケアの質向上を目的としたベンチマークシステムのモデルを試作した。状態像別にケアプロセスの詳細を全国平均およびベストプラクティス施設と比較検討することで、PDCAサイクルに基づくケアを行うことができることを示した。また、このような仕組みを構築するために、特にプロセスに関する情報の標準化が必要であり、また主治医意見書やケアプランなどの他の情報が必要であることを示した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202216007Z