低侵襲的低周波超音波脳血栓溶解法の効果増高に関する臨床応用基盤研究

文献情報

文献番号
200917018A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲的低周波超音波脳血栓溶解法の効果増高に関する臨床応用基盤研究
課題番号
H21-トランス・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
古幡 博(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 峰松 一夫(国立循環器病研究センター 内科脳血管部門)
  • 山本 晴子(国立循環器病研究センター 脳循環内科)
  • 古賀 政利(国立循環器病研究センター 内科脳血管部門)
  • 小川 武希(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 救急医学講座)
  • 持尾 聰一郎(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 神経内科学講座)
  • 福田 隆浩(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 神経病理学研究室)
  • 三村 秀毅(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 神経内科学講座)
  • 幸 敏志(田辺三菱製薬株式会社 研究本部 薬理研究所)
  • 金本 光一(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の最終ゴールは、AIS患者の超急性期治療として開発中の、経頭蓋超音波脳血栓溶解法の臨床適用のため、rt-PA低用量化、血流再開通率向上、再開通時間短縮を実現することである。この目標達成に向け、(1)in vitro血栓溶解実験による最適有効範囲の探索、(2)AIS in vivo実験による有効性と経頭蓋超音波併用の安全性評価、(3)臨床研究の対照データとなる現行rt-PA静注療法適用臨床成績の蓄積の三段階を設定し、各々における基礎固めを本年度の目的とした。
研究方法
(1)rt-PA容量超音波条件を多様に変化させるin vitro実験の効率化を図るため、改良型分光計を製作し、ウサギフィブリン塊にて有効性を検証する。多種の周波数振動子を揃え、超音波発射ビームの音場分布を測定することで、in vitro実験のvariationを担保する。(2)高週齢SHR/SPを用い、超音波照射群と領域照射群における出血率の相違を病理組織学的に評価する。超音波条件は、周波数500kHz、連続波、音響強度0.3及び0.5W。(3)国循、慈恵医大にてrt-PA療法を施行したAIS患者のうち、TCCS又はTC-CFIで脳血管部分を描出し得た7例を対象に再開通までの時間を15分間隔で記録する。
結果と考察
(1)血栓溶解率測定法として、フィブリン塊を作り、その透過光量と溶解率の関係式を得た。この手法を超音波ビームの音響強度分布に重ねることにより、一度の照射で強度と溶解率の曲線を得ることができた。さらに分光光度計と一体化した高精度血栓溶解測定システムが整った。(2)超音波に対して最も脆弱な陳旧性脳梗塞発症部分(高週齢SGR/SP)についての安全性評価法を実現した。(3)臨床研究の比較対照データとして、現行rt-PA静注法適用臨床データを蓄積した。例数は少ないが、60分未満で再開通した監察データが高率に存在し、rt-PA静注を停止し得る可能性が示唆された。
結論
研究遂行上必要となる基本的課題として、以下の3点を達成した。(1)効率化した光学式フィブリン塊溶解評価システムの構築と、周波数の異なる超音波振動子類の整備と駆動用電気システムの構築によって、臨床適用範囲をカバーし得る実験実施条件を整えた。(2)高週齢SHR/SPの陳旧性脳梗塞領域を標的とし、経頭蓋超音波照射による評価を行い、安全性を確認した。(3)現行rt-PA静注療法が適用されたAIS患者について、経頭蓋超音波診断評価を行い、対照群データを積むことができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-