顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による急性心筋梗塞治療の効果と安全性に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200917009A
報告書区分
総括
研究課題名
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による急性心筋梗塞治療の効果と安全性に関する臨床研究
課題番号
H20-トランス・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高野 博之(千葉大学医学部附属病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 小室 一成(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
  • 長谷川 洋(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
  • 宮内 秀行(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
さまざまな心血管疾患が心不全に進展する際に心臓リモデリングが重要な役割をはたしている。効果的な新規の抗リモデリング薬を開発することは今後、心不全患者数の増加が予想される我が国において急務の課題である。これまで申請者らは、動物実験で造血性サイトカインである顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) が急性心筋梗塞後の心臓リモデリングや心不全を強力に抑制することを明らかにした。申請者は、これまで急性心筋梗塞患者を対象にG-CSFの安全性と効果を確認してきたが40例という少数例での解析結果であり、臨床応用させるためには大規模臨床研究により効果と安全性を再検討する必要がある。本研究では100症例の急性心筋梗塞患者を対象に、G-CSF群とコントロール群の2群間で6ヵ月後の心臓の機能やサイズを比較検討する。
研究方法
1. 被験者の目標数
被験者は入院中の急性心筋梗塞患者で、発症後12時間以内にインターベンション治療を施行し再開通が得られた患者。目標症例数は100例(G-CSF群:50例、コントロール群:50例)。
2. 研究方法
①投与方法
急性心筋梗塞発症後、24時間以内に1回目のG-CSFを静脈注射する。1回の投与量は10 microg/kgとする。1日1回、計5日間連続投与する。
②有効性評価項目
a) 1次エンドポイント
梗塞後の心臓リモデリングの抑制- MRI検査、左室造影検査にて評価。
b) 2次エンドポイント
  ・梗塞領域の縮小-RI 検査による定量的評価。
・心血管イベント (MACE) の減少。
結果と考察
平成20年度中には目標症例数の1/3 位の登録を予想していたが、倫理審査委員会および利益相反委員会の実施が遅れてしまい承認までに時間がかかった事、実施施設での検査機器の修理・点検が1ヵ月ほどあったため承認後から試験開始までに間があいてしまった事、などの理由により平成21年度より症例登録が開始された。まだ目標の100例に達しておらず現在も患者の登録を継続して行っている。本研究で目指している治療法は特殊な設備や技術を必要とせず、投与方法も血管への注射ですむため一般病院でも実施が可能である。我が国でも急性心筋梗塞患者数は増加しており、G-CSF治療を受けられる患者数は膨大なものになると予想される。
結論
本研究を遂行することにより、G-CSFが急性心筋梗塞後の心臓リモデリング・心不全抑制薬として実用化できるか明らかになる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200917009B
報告書区分
総合
研究課題名
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による急性心筋梗塞治療の効果と安全性に関する臨床研究
課題番号
H20-トランス・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高野 博之(千葉大学医学部附属病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 小室 一成(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
  • 長谷川 洋(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
  • 宮内 秀行(千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
さまざまな心血管疾患が心不全に進展する際に心臓リモデリングが重要な役割をはたしている。効果的な新規の抗リモデリング薬を開発することは今後、心不全患者数の増加が予想される我が国において急務の課題である。これまで申請者らは、動物実験で造血性サイトカインである顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) が急性心筋梗塞後の心臓リモデリングや心不全を強力に抑制することを明らかにした。申請者は、これまで急性心筋梗塞患者を対象にG-CSFの安全性と効果を確認してきたが40例という少数例での解析結果であり、臨床応用させるためには大規模臨床研究により効果と安全性を再検討する必要がある。本研究では100症例の急性心筋梗塞患者を対象に、G-CSF群とコントロール群の2群間で6ヵ月後の心臓の機能やサイズを比較検討する。
研究方法
1. 被験者の目標数
被験者は入院中の急性心筋梗塞患者で、発症後12時間以内にインターベンション治療を施行し再開通が得られた患者。目標症例数は100例(G-CSF群:50例、コントロール群:50例)。
2. 研究方法
①投与方法
急性心筋梗塞発症後、24時間以内に1回目のG-CSFを静脈注射する。1回の投与量は10 microg/kgとする。1日1回、計5日間連続投与する。
②有効性評価項目
a) 1次エンドポイント
梗塞後の心臓リモデリングの抑制- MRI検査、左室造影検査にて評価。
b) 2次エンドポイント
  ・梗塞領域の縮小-RI 検査による定量的評価。
・心血管イベント (MACE) の減少。

結果と考察
平成20年度中には目標症例数の1/3 位の登録を予想していたが、倫理審査委員会および利益相反委員会の実施が遅れてしまい承認までに時間がかかった事、実施施設での検査機器の修理・点検が1ヵ月ほどあったため承認後から試験開始までに間があいてしまった事、などの理由により平成21年度より症例登録が開始された。まだ目標の100例に達しておらず現在も患者の登録を継続して行っている。本研究で目指している治療法は特殊な設備や技術を必要とせず、投与方法も血管への注射ですむため一般病院でも実施が可能である。我が国でも急性心筋梗塞患者数は増加しており、G-CSF治療を受けられる患者数は膨大なものになると予想される。

結論
本研究を遂行することにより、G-CSFが急性心筋梗塞後の心臓リモデリング・心不全抑制薬として実用化できるか明らかになる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200917009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
申請者のグループは造血性サイトカインである顆粒球コロニー刺激因子 (granulocyte colony-stimulating factor; G-CSF) が白血球数の増加作用だけでなく臓器保護作用、血管新生作用、抗アポトーシス作用なども有することを明らかにし、急性心筋梗塞後の心臓において血管新生や心筋細胞と血管細胞のアポトーシスを抑制することにより心臓リモデリングを強力に抑制することを報告した。また、心臓に対するG-CSFの分子機序を世界で初めて報告した。
臨床的観点からの成果
虚血性心疾患による心不全の病態に心臓リモデリングが重要な役割をはたしている。これまで世界中の研究グループが心臓リモデリングの治療法を検討してきたが、現存の薬物療法では心臓リモデリングおよび心不全を十分抑制することはできない。我が国でも虚血性心疾患の患者数は増加傾向にあることから、強力に心不全の進展を抑制できる新しい抗リモデリング薬の開発が待たれる。本研究で目指している治療法は特殊な設備や技術を必要とせず、投与方法も血管への注射ですむため一般病院でも実施が可能である。
ガイドライン等の開発
特記事項なし。
その他行政的観点からの成果
我が国でも急性心筋梗塞患者数は増加しており、G-CSF治療を受けられる患者数は膨大なものになると予想される。本研究の成果は、市場における心不全治療薬の製品戦略にも大きな変革をもたらし医療経済にも好影響を及ぼすと期待される。
その他のインパクト
本研究により得られた研究成果は、国内外の学会で発表しすみやかに論文としてまとめ外国の専門誌に投稿する。また、可能な限り当研究機関のホームページ(すでに作成済み)や新聞等のマスメディアを介して広く世間にも発信する。急性心筋梗塞後の心臓リモデリングや心不全に対する G-CSFの効果と安全性が確認できれば、厚労省へ適応拡大の申請を進める予定である。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-