慢性呼吸不全に対するグレリンの臨床応用研究

文献情報

文献番号
200917006A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性呼吸不全に対するグレリンの臨床応用研究
課題番号
H20-トランス・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中里 雅光(宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 福原 俊一(京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学専攻 医療疫学分野 )
  • 前倉 亮治(独立行政法人国立病院機構 刀根山病院 呼吸器内科)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学 内科学第二講座 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
26,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、慢性呼吸不全の呼吸器疾患患者を対象に、グレリン投与の無作為化二重盲検比較試験を行い、慢性呼吸不全に対する臨床的有効性を確立することを目的とする。グレリンは成長ホルモン分泌、食欲亢進、エネルギー蓄積、抗炎症、骨格筋増強など、多彩な生理機能を有する。申請者らは、ヒトへの投与による探索的研究により、慢性閉塞性肺疾患や慢性気道感染症における臨床的有用性を確認した。これまでにグレリンの創薬に関する研究基盤は十分構築されており、本研究により呼吸器疾患に対するグレリンの治療応用に必要なエビデンスを得ることが可能である。
研究方法
1)慢性呼吸不全または準呼吸不全患者を対象にグレリンの二重盲検容量比較試験を実施した。グレリンを1μg/kgと2μg/kgの2群の投与量に割付けし、朝夕2回3週間経静脈的に投与し、QOLスコア(SGRQ)と運動耐容能を主要評価項目として評価した。2)慢性閉塞性肺疾患患者を対象にグレリンの二重盲検比較試験を実施した。グレリンを2μg/kgの実薬群と生理食塩水のプラセボ群に割付けし、朝夕2回3週間経静脈的に投与した。主要評価項目は運動耐容能を評価した。3)慢性下気道感染症患者を対象にグレリンの二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した。グレリンを2μg/kgと生理食塩水の2群に割付けし、いずれかを朝夕2回2週間経静脈的に投与し、1週間の休薬後、実薬群には生理食塩水を、生理食塩水群には実薬を、朝夕2回2週間経静脈的に投与した。気道炎症の指標である痰量と痰中好中球を主要評価項目とした。
結果と考察
平成21年度には、重症慢性閉塞性肺疾患に対する検証試験に加えて、慢性呼吸不全に対する容量探索試験と慢性下気道感染症に対する検証試験にも着手し、3施設で合わせて50症例の臨床試験を終了した。二重盲検比較試験であるため、キーオープンまで有効性の評価は不可能であるが、安全性に関する問題はない。臨床試験は円滑に遂行されており、計画は順調に達成している。
結論
平成21年度は、慢性呼吸不全に対するグレリンの臨床応用に向けて、試験実施態勢を確立し、症例の蓄積を加速させた。平成21年度までに3施設で合わせて50症例の臨床試験が終了するなど、成果は順調に上がっている。平成22年度は新たに3名の研究分担者を追加して症例の集積をさらに加速させるとともに、企業との連携による特許申請や製薬化への移行を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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