脂肪細胞由来ホルモン、レプチンのトランスレーショナルリサーチの推進

文献情報

文献番号
200917005A
報告書区分
総括
研究課題名
脂肪細胞由来ホルモン、レプチンのトランスレーショナルリサーチの推進
課題番号
H20-トランス・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 海老原 健(京都大学 医学部附属病院 探索医療センター)
  • 平田 雅一(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
  • 細田 公則(京都大学 医学研究科 人間健康科学系専攻)
  • 日下部 徹(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
52,668,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
レプチンは脂肪細胞由来の抗肥満ホルモンで、強力な摂食抑制作用、糖脂質代謝調節作用などを有する。脂肪萎縮症は有効な治療法が確立していない難治性疾患であるが、本研究は脂肪萎縮症のレプチンを用いた画期的な治療法の開発を目指すものである。
さらに本研究では脂肪萎縮症にとどまらず「生活習慣病を対象としたレプチンのトランスレーショナルリサーチ」を実施する。レプチン系を標的とした新規治療法の開発が期待される。
研究方法
レプチンの薬事承認を目指して医師主導治験(第Ⅱ相試験)および高度医療評価制度下での長期安全性臨床試験を実施する。この2つの臨床試験のデータにこれまでの臨床研究での治療成績および海外データを併せてレプチンの薬事承認を目指す。また本年度は、これまで不明な点の多かったレプチンの糖脂質代謝改善における作用メカニズムについて動物モデルを用いた解析を試みた。さらに生活習慣病を対象としたレプチンのトランスレーショナルリサーチの一環として脂肪肝治療薬としてのレプチンの有用性についてモデルマウスを用いた検討を行った。またレプチンの糖脂質代謝改善におけるアミリンのレプチン抵抗性改善薬としての有用性も検討した。
結果と考察
医師主導治験の試験デザインについて2010年1月22日に医薬品医療機器総合機構と対面助言を実施し、これに基づき実施計画書等を作製。現在、学内倫理委員会およびIRBの審査中であり、本年度中に治験届けを提出する予定。高度医療評価については2009年12月22日厚生労働省医政局と事前相談を実施し、現在すでに学内倫理委員会の承認を得て厚生労働省に申請中である。
動物モデルを用いた基礎研究では、今回初めてレプチンの肝臓におけるAMPK活性化作用およびその作用経路を明らかにした。レプチンの肝臓に対する特異的な作用を明らかにし、脂肪肝治療薬としての有用性を示した。また、レプチンの糖脂質代謝改善におけるアミリンのレプチン抵抗性改善薬としての有用性も明らかにした。
結論
医師主導治験および高度医療の実施によりレプチンの脂肪萎縮性糖尿病治療薬としての早期確立が期待される。またレプチンの脂肪肝治療薬としての新たな展開も期待される。さらにアミリンとの併用により肥満やメタボリックシンドロームにおけるレプチンの治療的意義も期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-