腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理および新たな対策の提言に資するエビデンス構築

文献情報

文献番号
202212004A
報告書区分
総括
研究課題名
腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理および新たな対策の提言に資するエビデンス構築
課題番号
22FD2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部 腎臓・高血圧内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
  • 中川 直樹(旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野)
  • 伊藤 孝史(国立大学法人 島根大学 医学部附属病院 ワーキング・イノベーションセンター)
  • 和田 淳(国立大学法人岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 内田 治仁(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学講座)
  • 向山 政志(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系臨床医学域腎臓内科学)
  • 古波蔵 健太郎(琉球大学病院 血液浄化療法部)
  • 森下 義幸(自治医科大学 総合医学第1講座(腎臓内科))
  • 上條 祐司(信州大学 医学部附属病院)
  • 今澤 俊之(独立行政法人国立病院機構千葉東病院臨床研究センター)
  • 服部 元史(東京女子医科大学腎臓小児科)
  • 石倉 健司(北里大学 医学部 小児科学)
  • 横尾 隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 旭 浩一(岩手医科大学 医学部)
  • 田村 功一(横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学)
  • 今田 恒夫(山形大学 医学部)
  • 酒井 謙(東邦大学 医学部)
  • 祖父江 理(香川大学 医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科)
  • 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
  • 和田 健彦(東海大学医学部)
  • 成田 一衛(国立大学法人 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
  • 南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
  • 深水 圭(久留米大学 腎臓内科部門)
  • 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 福間 真悟(京都大学 医学部附属病院 臨床研究教育研修部)
  • 西山 成(香川大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
18,182,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成30年7月に発出された「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して~」の5課題実現・社会実装の為の具体的な計画・方法の立案、評価・進捗管理の方法開発を行う。全国各地の腎疾患対策を評価・分析し、課題抽出、新たな対策立案のPDCAサイクルを回し、継続的に腎疾患対策が実現する体制を構築することを目的とする。
研究方法
普及啓発、診療連携体制の構築、診療水準の向上、人材育成、研究開発を5本の柱とし、公募研究班(代表:岡田浩一)とNPO法人日本腎臓病協会のCKD対策部会(J-CKDI)と連携し、全国各地へ展開していく。本研究班では、上記活動の進捗管理や研究に加え、アルブミン尿の診療報酬の収載へ向けた研究、全国のCKDの有病率を調査する。これらの研究成果を、新たに立ち上げたHPに公開し有効に活用する基盤を構築する。具体的には以下研究結果に示す分科会・WGを構築して実施する。
結果と考察
① 普及、啓発(1)普及啓発資材の開発:既存の普及啓発資材を調査し好事例や課題について抽出した。未病の国民、生活習慣病等CKDリスクを有する国民と対象を分け、資材開発を進めた。(2)地域における普及啓発活動の評価:アンケート調査により、啓発活動の実施数、認知度について、経年的な変化を評価した。web講演会、デジタル資材の利用も進んでおり、コロナ禍での各地の工夫が伺えた。②診療連携体制構築(1)実態調査:前述のアンケートにより、腎専門医、かかりつけ医、行政との連携体制構築についても実態調査した。前回より全国的に会議体の設置は増加していることが明らかになった。(2)好事例共有・横展開:普及啓発及び診療連携体制についてのスライドを合同HPに掲載した。全都道府県の取り組みについて情報を得られるようになった。(3)検診結果に基づく保健指導、受診勧奨の推進:生活習慣病対策、CKD早期発見・早期治療を推進する為には、検診結果に基づく受診者に対する保健指導受診勧奨等のフィードバックの実態の把握が必要と考え、調査計画を立案した。③診療水準向上(1)移行期医療:2014年の移行医療に関する調査ならびに先行研究を分析し、調査票を完成させた。今後円滑な移行医療を進める為の提言作成を目指す。(2)高齢CKD患者、透析・移植後患者のCOL維持向上:高齢腎不全患者の保存的腎臓療法の周知、移植患者の診療水準の向上を各学会で図った。AMED事業で作成されたCKMガイドの普及も継続して図っていく。(3)難治性腎疾患の診療レベルの向上・均霑化:難治性疾患政策研究事業との連携により、難治性腎疾患に関する国民の認識と診療の均霑化が進んだと考えられる。(4)尿中アルブミンの測定診療報酬化:UAEの有用性を証明しうる既存のエビデンスを集約した。さらに、費用対効果の解析に着手した。④人材育成:腎臓病療養指導士の拡充を図った。また厚労科研要班と連携し、多職種連携のエビデンス構築とマニュアルを作成した。⑤研究の推進 (1) AMED,厚労省等の公的研究:腎臓学会員にアンケートを実施し、2008年~2022年に獲得した公的資金獲得状況を調査した。(2)国際動向:国際腎臓学会による国際的なCKD及びESKD診療の状況を把握する為のGlobal Kidney Health Atlas の作成に協力した。また海外の CKD及びESKD診療体制の情報を収集した。(3)疫学調査: CKD患者数の実態調査の為NDBデータを用いることにより、CKD有病率のupdate,CKDに影響を与える生活習慣病等の因子が解明できると考えられた。⑥情報発信、広報:研究班の成果を効率よく発信する為、HPを作成し情報発信した。腎臓専門医、協力医、指導士、新規透析導入患者数等、各都道府県のデータをHP上で閲覧可能とした。 (https://ckd-research.jp/)。
結論
腎疾患検討会報告書では、今後のCKD対策の全体目標が設定されている。1)CKDを早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより、CKD重症化予防を徹底する。2)同時に、CKD患者のQOLの維持向上を図る。2028 年までに、年間新規導入患者数を 35,000 人以下に減少させる(2016 年度、約39000人)。
新型コロナウイルス感染症の蔓延下において、各分科会の活動は一定の制限を受けてきた。その中でも継続可能な活動を見出し、新規活動形態を構築し、今日の腎臓病診療に確実に影響を及ぼし始めている。掲げた目標を達成することがこの研究班の使命であり、より良い腎臓病診療、CKD対策の構築を目指し、腎臓学会、腎臓病協会等と連携して、継続的にオールジャパン体制で取り組む必要がある。

公開日・更新日

公開日
2023-10-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-10-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202212004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,035,209円
人件費・謝金 5,110,602円
旅費 1,119,740円
その他 4,059,745円
間接経費 1,818,000円
合計 20,143,296円

備考

備考
自己資金充当ありのため。

公開日・更新日

公開日
2023-10-20
更新日
-