文献情報
文献番号
202212003A
報告書区分
総括
研究課題名
腎疾患対策検討会報告書に基づく慢性腎臓病(CKD)対策の推進に資する研究
課題番号
22FD1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部 腎臓・高血圧内科学)
- 伊藤 孝史(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(腎臓内科))
- 中川 直樹(旭川医科大学 医学部)
- 西尾 妙織(北海道大学 北海道大学病院 リウマチ・腎臓内科)
- 旭 浩一(岩手医科大学 医学部)
- 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系臨床医学域腎臓内科学)
- 南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
- 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
- 今澤 俊之(独立行政法人国立病院機構千葉東病院)
- 成田 一衛(国立大学法人 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
- 若杉 三奈子(新潟大学 医学部)
- 丸山 彰一(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科)
- 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 和田 淳(国立大学法人岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 内田 治仁(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学講座)
- 寺田 典生(高知大学教育研究部医療学系)
- 向山 政志(熊本大学 大学院生命科学研究部)
- 桒原 孝成(熊本大学 大学院生命科学研究部)
- 深水 圭(久留米大学 腎臓内科部門)
- 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
26,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
腎疾患政策研究班(研究代表:柏原直樹)と日本腎臓学会、そして特に日本腎臓病協会CKD対策部会の日本全国47都道府県を網羅するネットワークと連携し、腎疾患対策検討会報告書に基づいたCKD対策の社会実装を推進する。
研究方法
1)普及啓発
(1)腎臓専門医、かかりつけ医、行政と連携した普及啓発活動の推進
(2)普及啓発資材の利活用を推進し、また新たに開発する
2) 診療連携体制構築
地域の実情に即したかかりつけ医と腎臓専門医・連携協力医との連携体制構築を推進する。
3)診療水準の向上
病診連携体制を通して、ガイドラインに沿った標準医療の提供を図る。
4)人材育成
CKD診療に長けた看護師/保健師、管理栄養士、薬剤師等の人材を育成する。
5)研究開発
CKD患者数の概算を更新する。またCKD対策支援のためのデータベースを構築する。
(1)腎臓専門医、かかりつけ医、行政と連携した普及啓発活動の推進
(2)普及啓発資材の利活用を推進し、また新たに開発する
2) 診療連携体制構築
地域の実情に即したかかりつけ医と腎臓専門医・連携協力医との連携体制構築を推進する。
3)診療水準の向上
病診連携体制を通して、ガイドラインに沿った標準医療の提供を図る。
4)人材育成
CKD診療に長けた看護師/保健師、管理栄養士、薬剤師等の人材を育成する。
5)研究開発
CKD患者数の概算を更新する。またCKD対策支援のためのデータベースを構築する。
結果と考察
1) 普及、啓発
各都道府県で行政と連携したCKD普及啓発活動を展開した。またこれまでの取り組みをvisual abstractとして、新たに立ち上げた研究班ホームページのCKD対策支援データベースに掲載した。さらにこれまでに作成された啓発用資材を研究班ホームページに公開した。
2) 診療連携体制構築
各都道府県で行政と都道府県医師会、腎臓専門医、かかりつけ医とが連携するCKD診療連携体制の構築が試みられた。またこれまでの取り組みを、連携パスや独自の紹介基準などとともにvisual abstractとして、新たに立ち上げた研究班ホームページに掲載した。その際、好事例である旭川市、千葉県、岡山県美作市、熊本市を定点観測地域としてより詳細な情報を公開し、横展開を目指した。
3) 診療水準の向上
各都道府県でガイドラインで推奨されている標準診療を、診療連携体制構築の一環として普及促進した。定点観測地域でかかりつけ医における標準治療の実施率の推移をモニタリングし、研究班ホームページに公開した。
4) 人材育成
各都道府県で腎臓病療養指導士を育成し、CKD診療に長けた医療従事者数の増加を図った。
5) 研究開発
CKD患者数の概算値について、見直しに着手した。またCKD対策支援データベースを構築し、各エリアのa)普及・啓発の取り組み(visual abstract)、b)診療連携体制構築の取り組み(visual abstract)、c)腎臓専門医と腎臓病療養指導士数の推移、d)新規透析導入患者数(人口当たり・年齢調整)の性別・世代別年次推移のデータを収納した。日本全体での増加率は漸減し、2020年度は3.5%の微増であった。女性では全世代で、男性でも75歳未満の世代では減少~横這いが達成されている一方、75歳以上の男性では増加となっていた。都道府県間の格差が認められ、格差の大きなエリア間の比較を通して問題点・改善ポイントを明らかにする必要がある。
各都道府県で行政と連携したCKD普及啓発活動を展開した。またこれまでの取り組みをvisual abstractとして、新たに立ち上げた研究班ホームページのCKD対策支援データベースに掲載した。さらにこれまでに作成された啓発用資材を研究班ホームページに公開した。
2) 診療連携体制構築
各都道府県で行政と都道府県医師会、腎臓専門医、かかりつけ医とが連携するCKD診療連携体制の構築が試みられた。またこれまでの取り組みを、連携パスや独自の紹介基準などとともにvisual abstractとして、新たに立ち上げた研究班ホームページに掲載した。その際、好事例である旭川市、千葉県、岡山県美作市、熊本市を定点観測地域としてより詳細な情報を公開し、横展開を目指した。
3) 診療水準の向上
各都道府県でガイドラインで推奨されている標準診療を、診療連携体制構築の一環として普及促進した。定点観測地域でかかりつけ医における標準治療の実施率の推移をモニタリングし、研究班ホームページに公開した。
4) 人材育成
各都道府県で腎臓病療養指導士を育成し、CKD診療に長けた医療従事者数の増加を図った。
5) 研究開発
CKD患者数の概算値について、見直しに着手した。またCKD対策支援データベースを構築し、各エリアのa)普及・啓発の取り組み(visual abstract)、b)診療連携体制構築の取り組み(visual abstract)、c)腎臓専門医と腎臓病療養指導士数の推移、d)新規透析導入患者数(人口当たり・年齢調整)の性別・世代別年次推移のデータを収納した。日本全体での増加率は漸減し、2020年度は3.5%の微増であった。女性では全世代で、男性でも75歳未満の世代では減少~横這いが達成されている一方、75歳以上の男性では増加となっていた。都道府県間の格差が認められ、格差の大きなエリア間の比較を通して問題点・改善ポイントを明らかにする必要がある。
結論
1) 普及、啓発
各都道府県一部の都道府県ではCKDの疾患概念についての普及度のモニタリングがなされ、概ね増加傾向が確認された。ただし若年層での普及度はまだ低めにとどまっており、SNSを含む様々な媒体を介した情報発信が必要と考えられる。
2) 診療連携体制構築
地域の実情に即したCKD診療連携体制の構築が試みられ、行政や都道府県医師会を通した大規模な連携を構築するトップダウンのアプローチ、腎臓専門医・専門施設とその医療圏におけるかかりつけ医との小規模な連携からスタートして横展開するボトムアップのアプローチなどが行われた。定点観測地域である旭川市、千葉県、岡山県美作市、熊本市の内、千葉県では、腎臓専門医不在のエリアが県全域の50%を占めることから、CKD診療に積極的なかかりつけ医をCKD対策連携医として認証し、腎臓専門医不在のエリアのCKD診療を補填する試みが行われた。千葉県における連携体制は拡張傾向で、その他の3エリアでも安定した体制が維持されていた。
3) 診療水準の向上
定点観測地域における、かかりつけ医による標準治療の実施率の推移をモニタリングした結果、血圧、血糖、ヘモグロビン濃度の管理目標を達成している患者割合が増加し、また栄養相談の受診率も増加しており、病診連携体制の構築を通して診療水準の向上が確認された。
4) 人材育成
各都道府県で腎臓専門医および腎臓病療養指導士は増加傾向にある。
5) 研究開発
新規透析導入患者数は腎疾患対策検討会報告書で設定された全体目標として10%減(<35000人/年)が求められている。日本全体での増加率は漸減し、2020年度は3.5%の微増であった。女性では全世代で、男性でも75歳未満の世代では減少~横這いが達成されている一方、75歳以上の男性では増加となっていた。高齢者に多い腎硬化症への対策や、透析導入率の高い世代に対する積極的な受診勧奨等を行うことで、透析導入患者数減少へ繋がることが期待される。
各都道府県一部の都道府県ではCKDの疾患概念についての普及度のモニタリングがなされ、概ね増加傾向が確認された。ただし若年層での普及度はまだ低めにとどまっており、SNSを含む様々な媒体を介した情報発信が必要と考えられる。
2) 診療連携体制構築
地域の実情に即したCKD診療連携体制の構築が試みられ、行政や都道府県医師会を通した大規模な連携を構築するトップダウンのアプローチ、腎臓専門医・専門施設とその医療圏におけるかかりつけ医との小規模な連携からスタートして横展開するボトムアップのアプローチなどが行われた。定点観測地域である旭川市、千葉県、岡山県美作市、熊本市の内、千葉県では、腎臓専門医不在のエリアが県全域の50%を占めることから、CKD診療に積極的なかかりつけ医をCKD対策連携医として認証し、腎臓専門医不在のエリアのCKD診療を補填する試みが行われた。千葉県における連携体制は拡張傾向で、その他の3エリアでも安定した体制が維持されていた。
3) 診療水準の向上
定点観測地域における、かかりつけ医による標準治療の実施率の推移をモニタリングした結果、血圧、血糖、ヘモグロビン濃度の管理目標を達成している患者割合が増加し、また栄養相談の受診率も増加しており、病診連携体制の構築を通して診療水準の向上が確認された。
4) 人材育成
各都道府県で腎臓専門医および腎臓病療養指導士は増加傾向にある。
5) 研究開発
新規透析導入患者数は腎疾患対策検討会報告書で設定された全体目標として10%減(<35000人/年)が求められている。日本全体での増加率は漸減し、2020年度は3.5%の微増であった。女性では全世代で、男性でも75歳未満の世代では減少~横這いが達成されている一方、75歳以上の男性では増加となっていた。高齢者に多い腎硬化症への対策や、透析導入率の高い世代に対する積極的な受診勧奨等を行うことで、透析導入患者数減少へ繋がることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2023-12-18
更新日
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