難病患者の総合的地域支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
202211088A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の総合的地域支援体制に関する研究
課題番号
22FC2004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター 神経内科)
  • 石山 麗子(国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻先進的ケアネットワーク開発研究分野)
  • 今井 富裕(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
  • 植木 美乃(名古屋市立大学 医学研究科リハビリテーション医学分野)
  • 江口 尚(産業医科大学 産業生態学研究所)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
  • 千葉 圭子(公益社団法人京都府看護協会)
  • 中馬 孝容(滋賀県立総合病院 リハビリテーション科)
  • 中本 富美(永井 富美)(国立病院機構医王病院 医療福祉部地域医療連携室)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
  • 三浦 雅子(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター かながわ難病相談・支援センター かながわ移行期医療支援センター)
  • 溝口 功一(国立病院機構静岡医療センター 臨床研究部)
  • 宮地 隆史(国立病院機構柳井医療センター)
  • 山田 宗伸(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター 療育指導科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
27,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)附則2条に基づく制度見直しに沿って難病患者への柔軟な支援対策が求められ、これまでの難病患者支援体制との継続性に配慮しつつ、新たな政策に適合する研究が必要である。またCOVID-19を経験した後の難病支援の課題整理と患者対応も重要となる。1)医療、介護、障害福祉など複数分野が協調する「難病診療における連携体制の充実」、2)保健所保健師及び難病対策地域協議会と難病相談支援センターや自治体など関係機関がシームレスに協働する「難病の包括的地域支援の充実」、3)これらを担保する難病従事者の質向上に向けた「難病従事者の教育・研修」の3つのカテゴリーで患者・家族を多方面から支援するための施策につながる研究体制を設定した。令和4年度は、難病医療提供体制における難病診療連携コーディネーター等による拠点病院等医療施設間の連携、医療施設と保健所等行政機関や介護・障害福祉分野の連携、看護分野における病院と地域の連携、リハビリテーションの医療介護連携、保健所による難病地域支援体制の充実、難病相談支援センターの標準化と就労支援、保健所が支援する平時・有事の難病患者災害支援、難病ケアマネジメントの確立と充実、多彩な難病支援従事者への効果的かつ統一的な教育・研修の準備などについてそれぞれ客観的調査研究に基づいた政策提言および社会実装への試みを目的とした。
研究方法
難病患者の総合的地域支援体制についての研究であるので、社会医学的側面が強い。そのため、各課題の研究実施にあたっては、調査用紙やWEBを使ってのアンケート調査と先行事例や好事例、また各種サービス運用に課題を持つ施設や個人へのヒアリング調査が主体となる。単に数字で表される統計学的検討だけでなく、自由記載やヒアリング内容の質的分析も重視した。課題によってはテキストマイニングの手法を用いて重要なフレーズを引き出すことも行った。
結果と考察
令和4年度も難病支援に関わる主な職種を包含した実態調査から支援体制を考える研究が推進された。特に今年度の研究成果として、第1に難病支援に関わる多種多様な人材が自分の学びたい項目や知りたい項目を気軽に選んで短時間で勉強するためのe-learningプラットフォームに目処がついたことが挙げられる。コロナ禍を経験した新たな研修方法として発展させるべきであり、分担研究者をはじめ専門家から学ぶべきコンテンツを募集して多彩な内容を提示する次のステップへとつながっていく。第2には地域における支援課題として、難病患者の包括的地域支援の観点で難病相談支援センター運営の標準化に向けて、それぞれの難病相談支援センターが自らをチェックしていくための指標が見えてきたことがある。運営のための提言をまとめた。加えて、保健所保健師が難病患者の災害対策ですべきことについて、リーフレットにまとめることができた。全国の保健所に配布したので、活用されることを願う。また、難病患者の就労支援のうち事業所が事例を通じて対処のポイントを学ぶ問題解決型の研修を用意した。小児発症難病患者を年齢に依らず移行期を含めてシームレスに支援するための調査を開始できた。第3に医療提供体制の中で調査されてこなかった2次医療圏に存在する難病医療協力病院の実態を初めて明らかにし、難病患者の受診行動や協力病院の他施設との連携が2次医療圏を超えて実施されている実態が明らかとなった。対面で身体接触を基本とするリハビリテーションにおいて、コロナ禍においても難病患者のADL維持に寄与する方略が明らかとなり、遠隔リハなど今後の難病リハの方向性も示すことができた。成果物は研究班ホームページで順次公開する。
結論
今後の政策に寄与する研究班の成果物が出来た。成果物はは、ホームページ(https://plaza.umin.ac.jp/nanbyo-kenkyu/)で順次公開している。また、内容により保健所、難病相談支援センター、基礎自治体、都道府県、難病診療連携拠点病院、難病診療分野別拠点病院などに成果物を郵送して周知を図っている。これらが難病施策に反映されることを願っている。e-learningプラットフォームはほぼ完成しており、掲載希望のあるコンテンツの形式を整えて試験公開する手順を整えつつある。一定期間のフィードバックを得て改訂を重ね実用化に繋げたい。

公開日・更新日

公開日
2023-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211088Z