指定難病の普及・啓発に向けた包括的研究

文献情報

文献番号
202211084A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病の普及・啓発に向けた包括的研究
課題番号
21FC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 勉(京都大学 医学研究科)
  • 村山 圭(千葉県こども病院 代謝科)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
  • 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 塚本 達雄(田附興風会医学研究所北野病院 腎臓内科)
  • 戸田 達史(国立大学法人東京大学医学部附属病院脳神経内科)
  • 中村 誠(神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野)
  • 錦織 千佳子(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 平井 豊博(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科)
  • 山科 章(桐生大学/桐生大学短期大学部 医療保健学部/看護学科)
  • 大木 隆生(東京慈恵会医科大学 医学部外科学)
  • 大竹 明(埼玉医科大学 ゲノム医療科)
  • 佐藤 晃一(高岡市民病院 内科)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 )
  • 原 章規(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター  研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 直江 知樹(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 飯野 ゆき子(自治医科大学附属医学部)
  • 千原 和夫(社会医療法人愛仁会明石医療センター 糖尿病・内分泌内科)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 佐々木 秀直(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 松田 秀一(京都大学大学院医学研究科)
  • 宮坂 信之(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学)
  • 越坂 理也(千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科)
  • 古澤 嘉彦(武田薬品工業 ジャパンメディカルオフィス)
  • 湯浅 貴博(金沢大学附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
27,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難病法に基づき、指定難病患者への医療費助成や、調査及び研究の推進等が実施されている。現在338疾病にまで指定難病は増加した。一方で、指定難病制度に係る普及・啓発、指定難病の選定の公平性および疾患群間の診断基準や重症度分類の整合性や公平性の担保および難病患者のデータベース(以下、DBという)の研究への利活用等が重要な課題として指摘されている。これを受け、本研究班では、①指定難病制度の運用に係る基盤構築、②指定難病制度に係る情報化促進のための方策を討議することを目的とし研究を実施した。
研究方法
(基盤分科会)
1)難病情報センター・ホームページの「一般向け情報」の改訂作業:今回難病情報センターでは、ホームページの各指定難病の「一般向け情報」の改訂作業をおこなった。本分科会では、各疾患研究班から提出された見直し案について、本分科会メンバーが専門分野ごとにすべての指定難病についてチェックをおこなった。
2)各疾患群の重症度基準(医療費助成基準)についての問題点の整理と提案:指定難病14疾患群の重症度基準について、現行の重症度基準の問題点などを様々な角度から検討した。その上で疾患群ごとに共通の重症度基準を設定できないかについて検討した。
(情報促進化分科会)
1)前研究班において、医師のみならず、患者と医療事務等の医療従事者を含めた3者を同時に普及・啓発の対象とする電子カルテおよび医事会計システム(以下、医療システムという)の導入をおこなった。本システム改良による申請率の変化や指定難病制度の普及状況等の効果を評価するためのアンケート調査を実施し、解析した。
2)指定難病DBおよび小児慢性特定疾病DBの研究利用におけるfeasibility studyの追加解析のためにデータ利用申請等の準備をすすめた。
結果と考察
(基盤分科会)
1) 本分科会では、各疾患研究班から提出された見直し案について、本分科会メンバーが専門分野ごとにすべての指定難病についてチェックをおこなった。その後、難病情報センターでは本分科会のチェック(意見)を各疾患研究班に送付して再検討を依頼し、各研究班はそれに基づいて最終案を提出した。本改訂版はすでに難病情報センターのホームぺージに掲載されている。
2) 14疾患群についてそれぞれ共通の重症度基準を適応できる可能性が考えられた。ただし、その基準作りはあくまで科学的根拠に基づいておこなわれるべきであること、すなわち、統一した重症度基準を適応できる疾患、できない疾患について、しっかりと医学的な理由を示す必要があることが確認された。さらに各疾患にはそれぞれ独自性が存在するため、すべての重症度基準を統一させることについては慎重であるべきとも考えられた。
(情報促進化分科会)
1) 前研究班において、医療システムの試験的改良による「指定難病支援機能」を研究代表者が所属する金沢大学附属病院で開発した。令和3年3月17日から本機能の使用を開始した。このシステムの稼働に伴い、3者の指定難病に対する普及・啓発が進み、①指定医以外の医師への指定難病等に対する理解の向上、②患者の指定難病に対する認識の向上、③医療事務等の医療従事者の指定難病への意識の向上等を通じ、申請率の向上、指定難病制度のさらなる活用が期待された。システム改良後に、システム改良に伴う効果(申請率の向上、指定難病制度の普及状況など)を評価するにあたり、アンケートを作成、実施した。アンケート結果から、指定難病申請数の向上に貢献していることが示唆された。そのため、指定難病支援機能の汎用化により、指定難病制度全般の普及および申請率の向上が期待された。
2) HTLV-1関連脊髄症の feasibility studyについては患者から提供された臨床調査個人票を用いて解析を行う方向でその準備を進めた。来年度は実際のデータを用いて解析し、指定難病DBの研究利用における妥当性や有用性を検討する。ウェルナー症候群およびミトコンドリア病のデータ利用を前提として各資料作成を行った。今後は2023年4月28日の締め切りまでに申請を行い、6月のワーキンググループで審査される予定である。
結論
本研究班は、①重症度分類の疾患間の整合性、公平性についての検討、②金沢大学附属病院における医療システムの試験的な改良の効果の検討および検証的研究による指定難病DBの有用性の確認について、検討を行った。引き続き、研究を継続し、①各指定難病間での整合性、公平性の向上、②指定難病制度の普及、効果的なデータの収集・評価による研究開発の促進等の成果を期待する。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211084Z