小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における医療水準並びに患者QOLの向上のための調査研究

文献情報

文献番号
202211081A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における医療水準並びに患者QOLの向上のための調査研究
課題番号
22FC1014
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 宏臣(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 小児成育外科学)
  • 佐々木 英之(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 今川 和生(筑波大学 小児内科)
  • 清水 俊明(順天堂大学 医学部)
  • 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科)
  • 鈴木 光幸(順天堂大学医学部小児科)
  • 安藤 久實(愛知県心身障害者コロニー 発達障害研究所 病理学部)
  • 島田 光生(徳島大学大学院 医歯薬学研究部 消化器・移植外科学)
  • 大塚 将之(千葉大学大学院医学研究院)
  • 浜田 吉則(関西医科大学医学部)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学医学部奈良病院 小児科)
  • 林 久允(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 近藤 宏樹(近畿大学奈良病院)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院こどもセンター 小児科)
  • 別所 一彦(大阪大学大学院医学系研究科小児科学)
  • 笠原 群生(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 病院)
  • 和田 基(東北大学大学院医学系研究科小児外科学分野)
  • 岡本 竜弥(京都大学医学部附属病院 小児外科)
  • 水田 耕一(自治医科大学 医学部)
  • 竹山 宜典(近畿大学 医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院 消化器科)
  • 石黒 洋(名古屋大学総合保健体育科学センター)
  • 田中 篤(帝京大学 医学部内科学講座)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター  研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 大藤 さとこ(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
  • 鈴木 滋(旭川医科大学 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では担当疾病について成人・小児の主要学会と連携して、診断基準・重症度分類・診療ガイドライン等の作成・改定を行い、また移行期を意識した高レベルの研究と診療の体制整備を目指す。更にレジストリ構築・強化やAMED研究との連携を進め、国内外の診断・治療・治療法開発状況を調査し、且つこれらの情報を適切に発信する普及啓発活動を行う。
研究対象
1.胆道閉鎖症
2.アラジール症候群
3.遺伝性膵炎
4.先天性胆道拡張症
5.進行性家族性肝内胆汁うっ滞症
6.カロリ病・先天性肝線維症
7.先天性門脈欠損症
8.新生児ヘモクロマトーシス
9.嚢胞性線維症
10.先天性高インスリン血症
11.成人領域の調査研究
12.疫学データベース研究
研究方法
研究対象ごとの研究方法を以下にお示しする。
1:a.診療ガイドライン改定作業、b.全国登録事業の継続とデータ解析、c.頭蓋内出血の発症とビタミンK投与法との関連調査の実施
2:a.遺伝性胆汁うっ滞疾患の鑑別診断のため次世代シーケンサー解析、b.疾患二次調査準備
3:新規関連遺伝子と疾患発症の関連解明
4:a.診療ガイドラインの改定継続、b.小児期発症患者の長期予後調査、c.海外レジストリとの連携模索、
5:a.レジストリ研究の継続、b.ガイドライン作成準備
6:a.当疾患の移植症例検討、腎障害に関する厚労班と連携した疫学調査
7:先天性肝外門脈体循環短絡症例の検討
8:ガンマグロブリン医師主導試験班との共同研究遂行
9:a.登録制度を用いた症例調査、b.CFTR遺伝子解析、c.汗試験、d.便中膵エラスターゼ試験、e.COVID-19mRNAワクチン接種の抗体価測定、f.当疾患患者の腸内細菌叢解析、g.情報交換会開催
10:a.診療ガイドライン、レジストリ研究にむけた取組み、b.原因不明症症例に関する遺伝子解析
11:移行期・成人期診療ガイド作成
12:a.小慢データを用いた統計学分析、b.胆道閉鎖症に関する情報収集、検索
結果と考察
研究対象ごとの結果と考察を以下にお示しする。
1:a.21個のCQの推奨文案を決定した、b.本年度よりウェブ登録へ移行し、新規75例含め全体で3,775例の登録となった、c.該当症例を有する施設を含め全15施設による新組織を組成、集積データの解析中である。
2:a.当疾患2例を新規で遺伝子診断を実施した、b.関連学会と協力し調査項目を策定した。
3:a.全国の医療機関から計18件の検査依頼があったが既知の遺伝子変異を認めた例はなかった、
4:a.CQの推奨文と解説文のブラッシュアップ作業を行い、推奨文も確定した、b.長期合併症の種類や頻度、治療法にかかるアンケート調査の準備を行なった、c.第45回日本膵・胆管合流異常研究会において、海外のエキスパートを招聘した国際シンポジウムを開催した。
5:a.現在70機関の参加となった、b.ガイドライン作成委員会を組織した。
6:a.当疾患の18歳以下肝移植症例について日本肝移植学会より情報を得て検討を行った、b.常染色体劣性多嚢胞性腎の診療経験に関する一次調査を実施した
7:治療方法や合併症について検討を行なった、
8:現在5例が治験終了しており、2例が治験待機中である、
9:a.今年度は3名の新規登録があった、b.両アレルに病的なCFTR遺伝子バリアントが見られた症例はなかった、c.4名の汗試験を実施した、d.全国から11名の検査依頼を受け、4例にPIを認めた、e.医療関係者を対象に計5回のワクチン接種後の血液を採取し、血中のスパイク蛋白抗体の濃度を経時的に測定した。f.第8回CF情報交換会を開催した。
10:a.・ガイドライン改定予定・疾患レジストリへの参加体制、以上について日本小児内分泌学会へ確認を行なった。
11:対象疾患の妥当性の検証および執筆内容についての調整を行った。
12:a.本研究班対象疾患の登録状況、指定難病、小慢対象状況、受給者所持者数を推計した、b.胆道閉鎖症の罹患率、リスク因子、予後に関し検索を実施した。
結論
診療ガイドラインの整備と疾患レジストリの活用がそれぞれ本班調査研究の柱と考えているが、研究対象が多数の希少疾患であるため、取組み状況には差がある。またガイドラインやレジストリが整備されていることが必ずしも疾患の克服に直結しているとも言えず、やはりそれぞれに困難を抱えているのが現状である。その困難を一つ一つ解決していく上で、各疾患の小児と成人のエキスパートが一堂に会して議論する場はきわめて重要であり、それこそが難治性疾患の医療水準と患者QOLの向上に大きな役割を果たし、ひいては難病克服の鍵となることを期待して作業を継続してゆく所存である。

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211081Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,900,000円
(2)補助金確定額
16,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,186,230円
人件費・謝金 3,283,608円
旅費 869,593円
その他 2,682,702円
間接経費 3,900,000円
合計 16,922,133円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-11-17
更新日
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