自己免疫性自律神経障害の全国調査、診断基準策定、国際的な総意形成

文献情報

文献番号
202211074A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫性自律神経障害の全国調査、診断基準策定、国際的な総意形成
課題番号
22FC1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中根 俊成(日本医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鵜沢 顕之(千葉大学 附属病院 脳神経内科)
  • 小池 春樹(佐賀大学 医学部)
  • 大塚 俊昭(日本医科大学 衛生学公衆衛生学)
  • 松尾 秀徳(独立行政法人国立病院機構 長崎川棚医療センター(臨床研究部) 医歯(薬)学総合研究科)
  • 竹内 英之(横浜市立大学 附属病院)
  • 川上 純(国立大学法人長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻)
  • 木村 和美(川崎医科大学 脳卒中医学)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
  • 伊藤 保彦(日本医科大学 医学部)
  • 岩切 勝彦(日本医科大学 消化器内科学)
  • 樋口 理(国立病院機構長崎川棚医療センター 臨床研究部)
  • 三橋 隆行(慶應義塾大学 医学部)
  • 伊原 栄吉(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者は2011年より自己免疫性自律神経節障害(AAG)の臨床と研究に取り組み、他の研究計画として『自己免疫性自律神経節障害の「多様性」に関する多角的研究』(基盤研究B)が進行中である。この基盤研究Bにおいて基礎研究では自律神経節アセチルコリン受容体(gAChR)に対する自己抗体の病原性とAAG動物モデル樹立に取り組み、臨床研究では小児AAG症例、膠原病におけるAAG症例など非典型的AAGの報告を行った。今回の研究計画はこれらの成果を基にした「免疫異常が介在した自律神経障害(=自己免疫性自律神経障害)」の全国的な患者数調査と診断基準の策定である。
研究方法
まず「自己免疫性自律神経障害(AAG、自己免疫性消化管運動障害、急性自律神経性感覚性ニューロパチー)の国内患者数の把握(一次調査)」を、続いて「一次調査登録症例の臨床像解析(二次調査)」を行い、一次・二次調査を踏まえて「診断基準を策定」し、それを関係学会に提示する。
結果と考察
1)上記3疾患の一次調査組入基準の完成:これは診断基準(暫定)となるものである。学問的立場、各診療科(脳神経内科・消化器内科・リウマチ膠原病科・小児科及び抗体測定技術に関する基礎医学)の立場からディスカッションを入念に行い、研究班員全員による診断基準(暫定)が完成した。
2)本研究班のホームページ作成:本研究班の活動を周知するために必要と考え、ホームページ作成を行い、学会活動までカバーして案内することとした。メディアからの取材も2紙(毎日新聞・日経メディカル)より受け、学問的重要性のみならずLong COVIDを背景とする難治性の自律神経障害への社会的関心の高さを感じた。
3)これまでの自律神経節アセチルコリン受容体抗体陽性AAG・AGID症例の把握:3疾患のうち、これら2疾患については我々のこれまでの抗体測定活動によって204症例を特定できており、これらの症例は二次調査への登録を進める方向である。
4)難病プラットフォームによるレジストリ作成支援の手続き:上記204症例に合わせて新たな症例の掘り起こし作業が必要である。上記組入基準を踏まえ、本研究班からの自律神経節アセチルコリン受容体抗体測定援助を行って新規症例の把握に努める。レジストリ作成においては難病プラットフォームから支援を受け、京都大学「医の倫理委員会」での審査が予定されている。
5)患者会との連携:患者会(POTS & Dysautonomia Japan)「第5回起立不耐症研究会」においてAAGなど免疫異常が介在する自律神経障害やLong COVIDの臨床と病態について講演を行い、専門家及び患者とのディスカッションも行った(2022年11月27日)。
結論
今後、全国調査を行う素地が整った。一次調査にとりかかっており、これから国内患者数を把握し、臨床像を明らかにし、最終的に診断基準を策定する。
また、喫緊の国際的な重要臨床課題として自律神経節アセチルコリン受容体抗体測定法のvalidationである。テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(米国)、シドニー大学(豪州)、サルトス・ニューロダイアグノスティクス(ギリシャ)、われわれの四者では測定法が異なり、validationが必要であることは共通認識となっている。実際の作業実現に向けて調整を継続する。
また、自己免疫性自律神経障害に関する国際診断基準はいまだ存在しないが、これには人種間の有病率や臨床像の違いが影響しているとも考えられる。これについてもリモート会議で議論を醸成していく。上記2施設に加え、自己免疫性自律神経障害の診療と研究で世界をリードしつつある米国メイヨークリニックも交えた議論を行う。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211074Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,500,000円
(2)補助金確定額
2,853,000円
差引額 [(1)-(2)]
647,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,035,640円
人件費・謝金 0円
旅費 46,860円
その他 963,969円
間接経費 807,000円
合計 2,853,469円

備考

備考
今年度は全国調査に取りかかるためのリモート会議などディスカッションに時間を充てることが多かったため、研究費使用が予定より少なかったと考える。

公開日・更新日

公開日
2024-02-13
更新日
-