マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築

文献情報

文献番号
202211072A
報告書区分
総括
研究課題名
マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築
課題番号
22FC1005
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
山本 俊至(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マイクロアレイ染色体検査が保険収載され、臨床現場で実施できるようになった。しかしながら、マイクロアレイ染色体検査で診断できる染色体微細構造異常の臨床的な理解が進んでいないため、患者がスムーズに適切な医療や福祉のサポートが受けられるようになっているとは言い難い。そこで本研究班では、これらの疾患の「疾患概要」と「診断の手引き」を作成し、診断基準や診療ガイドライン等の策定につながるエビデンスを収集することを目的としている。
研究方法
1. 実態調査のための学術団体との連携
マイクロアレイ染色体検査によって新規に診断された患者の実態把握を行うため、日本小児神経学会・共同研究推進委員会に協力を依頼するとともに、会員を対象としたwebによる独自調査を実施した。

2. データベース構築
研究分担者・研究協力者の所属する施設においてこれまでに実施されたマイクロアレイ染色体検査の結果を収集した。また、webツールであるCNVチェックサイトからも情報収集を行った。

3. クリニカルクエスチョンの検討
実態調査の結果を利用して対象疾患の診療ガイドライン策定に向けたクリニカルクエスチョン抽出を行とともに、まだ指定難病となっていない染色体微細構造異常について、「疾患概要」と「診断基準」の案を策定した。

4. 小児成人移行医療体制の検討
染色体微細構造異常を持つ患者の成年期における移行医療体制を検討するため、その問題点を抽出する作業を行った。

5. 家族会サポート
本研究班が対象とする症候群のうち、まだ家族会が存在していない疾患としてPotocki-Lupski症候群の家族会設立を支援した。

6. 啓発活動
ホームページを設置し、情報発信を行う体制を目指した。

7. 研究連携
本研究班が調査対象とする症候群に関する病態研究を促進させるために、他の研究事業との連携を図った。
結果と考察
1. 実態調査のための学術団体との連携
日本小児神経学会員を対象としたwebによる独自調査を実施し、ごく簡便な頻度情報を得た。

2. データベース構築
研究分担者・研究協力者の所属する施設から計120例分の情報を収集した。また、webツールであるCNVチェックサイトからも計20例分の情報を収集することができた。

3. クリニカルクエスチョンの検討
対象疾患の全てについて、「疾患概要」と「診断基準」の案を策定し、ホームページで公開した。

4. 小児成人移行医療体制の検討
移行医療の問題点を抽出する作業を終えた。

5. 家族会サポート
研究班のサポートによりPotocki-Lupski症候群の家族会が設立され、現在自律的かつ活発に活動している。今後、家族会と連携して実態調査などを進める。

6. 啓発活動
ホームページを設置し、情報発信を行う体制を構築した。

7. 研究連携
本研究班が調査対象とするWAGR症候群について、iPSマッチング事業と連携し、病態解明研究を開始した。

結論
疾患概要・診断基準案を取り纏めることができた。ホームページで公開し、啓発に努めている。希少疾患においては家族会の存在は重要であり、今回Potocki-Lupski症候群の家族会が設立されたことは大きな一歩である。
マイクロアレイ染色体検査が臨床で保険診療の一環として行うことができるようになったことは、この技術がなければ診断できない疾患患者およびその家族にとってこの上ない朗報である。しかしながら、検査結果を的確に運用し、診断、そして診療にスムーズに繋げることができなければ意味がない。よりスムーズにマイクロアレイ染色体検査が運用されるようになることを目指し、さらなる活動が必要である。

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
その他
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,250,000円
(2)補助金確定額
3,250,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,999,094円
人件費・謝金 0円
旅費 39,780円
その他 461,126円
間接経費 750,000円
合計 3,250,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-01-19
更新日
-