小児慢性特定疾病児童等の自立支援に資する研究

文献情報

文献番号
202211066A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾病児童等の自立支援に資する研究
課題番号
21FC1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
檜垣 高史(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
  • 三平 元(千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)
  • 石田 也寸志(公益財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床疫学センター)
  • 高田 秀実(愛媛大学 医学部)
  • 落合 亮太(公立大学法人横浜市立大学 学術院 医学群 医学研究科 看護学専攻)
  • 滝川 国芳(京都女子大学 発達教育学部)
  • 仁尾 かおり(三重大学 大学院医学系研究科)
  • 樫木 暢子(愛媛大学大学院教育学研究科)
  • 三沢 あき子(京都府立医科大学 小児科学教室)
  • 新家 一輝(名古屋大学大学院 医学系研究科総合保健学専攻)
  • 太田 雅明(愛媛大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
8,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年1月より、都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市(以下「実施主体」という)は、幼少期から慢性的な疾病に罹患していることにより、自立に困難を伴う小児慢性特定疾病児童等(以下「小慢児童」という)について、地域支援の充実により自立促進を図るため、小児慢性特定疾病児童等自立支援員(以下「自立支援員」という)を配置する等して小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(以下「自立支援事業」という)を実施している。
先行研究で、『好事例集』、『小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集』、『保健所における小児慢性特定疾病児童等相談支援等好事例集』、『慢性疾患児の自立支援のための就園に向けたガイドブック』、『きょうだい児支援取組事例集』などを作成した。
さらにニーズや課題を分析し、自立支援員をはじめ医療・保健・教育・就労・福祉などの多分野の専門職を含む関係者と情報を共有し、小児慢性特定疾病児童等の自立支援に資することを目的として、以下の研究を計画した。
研究方法
【研究1】小慢児童及びその家族の自立支援に関する真のニーズを把握
1 相談支援の実態調査
2 自立支援を受けた患者及び家族からの声を把握
3 自立支援に関する尺度開発
4 自立支援事業全国実施状況調査(経年的比較)
【研究2】自立支援員の資質向上をめざした研修の在り方に関する研究
1 先行研究で作成した相談対応モデル集の試用・評価
2 情報共有シート(就園、就学、就職)を用いた支援実績の検討
【研究3】自立支援事業の周知・啓発及び任意事業の立ち上げ支援に資する研究
【研究4】関連施策と自立支援事業の連携における現状分析と課題抽出
結果と考察
研究1-1では、相談支援個票を用いて全国の協力施設における相談対応の内訳、実件数、連絡調整した関係機関などを明らかにした。7団体(9地方公共団体)を対象とし、相談対応4336件を分析した。「関係機関との連絡調整」、「傾聴のみ」、「助言」、「各種支援策についての情報提供」等の対応が多く、関係機関との連絡調整において「医療関係機関」、「福祉関係機関」、「地域の支援団体等」、「教育関係機関」が上位を占めた。「小児慢性特定疾病児童等自立支援員による相談対応モデル集」の改訂や「小慢自立支援員研修」を検討する基礎データとなる。ブロック別小児慢性特定疾病児童等自立支援員連絡会を開催した。自立支援員の交流により情報収集および情報共有を行うことができ、自立支援事業の展開に寄与する。
研究1-2では、複数自治体において、自立支援事業による支援を受けた患者及び家族、きょうだいに対して、インタビューを実施した。聞き取り内容を検討し、小慢児童等の社会的自立を見通した支援になっているかどうか検証を進めている。
研究1-3では、小慢児童のニーズ評価に適した指標と考えられるHealth Literacy and Resiliency Scale for Youth with chronic illness (HLRS-Y)日本語版を開発した(Frontiers in Pediatrics 2022)。モニター会社に登録する13~21歳の子どもとその保護者のうち、小児期発症慢性疾患により継続的医療を必要とする者を対象に調査し290名から有効回答を得た。小児慢性特定疾病受給者証を有する者は50名(17.2%)であった。HLRS-Y日本語版は、I-T相関分析の結果などから、内容的妥当性と構成概念妥当性、および内的一貫性を有することが確認された。プレコンセプションケアの知識を測定する尺度を、デルファイ法を用いて開発した。
研究1-4では、自立支援事業全国実施状況調査で、経年変化を捉え課題を分析した。
研究2-2では、就園に向けた『ガイドブック』『就園のための情報共有シート』の活用促進において、「情報共有シート」を活用し就園に至ったケースが報告され、園が必要と考えている情報が網羅されていること、各項目の情報を詳細に書くことで園側の受入れが良いことなどが明らかになった。
研究3の、自立支援事業に関するWEB調査では、認知度は低いが、65.6%が必要であると回答しており、周知・啓発の重要性が示された。小児慢性特定疾病児童等自立支援事業ポータルサイトにおいて情報を共有している。
研究4では、自立支援事業と移行期医療支援センターとの連携について調査中である。小児がんサバイバーと母親の就労状況に影響する因子について検討した。早期介入の重要性の観点から、今年度よりNICU入院患者に対するニーズ調査などを新規研究として追加した。
結論
相談支援の実態調査および支援を受けた患者及び家族からの声を調査し、真のニーズを把握した。自立支援事業の目指す方向性を検討していくための基礎データになる。自立支援員の資質向上、任意事業の活性化、自立支援事業の発展を目指している。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211066Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,400,000円
(2)補助金確定額
11,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,166,641円
人件費・謝金 3,496,603円
旅費 972,360円
その他 3,134,396円
間接経費 2,630,000円
合計 11,400,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-01-16
更新日
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